第34話 くたばれっ! 汚物共がぁ!
――〈サンドリヨン視点〉――
「へぇー、確かに結界が消えてるじゃねぇか……」
『ヒジキ』こと純真な乙女のわたし。
その頭の上に乗っかり、我らが
外見は小柄で可憐な少女なのだけれど、年齢は
レイの【魔術】の師匠で時折、目付きが凶悪になる。
彼は上手く
口より先に手が出るという、わたしが苦手とするタイプの人間だ。
「手始めに、あのイカれた連中――『
この戦闘狂は完全に
やはり、彼が
「いえ、
そんなわたしの言葉に――アハハッ、わーってるって――と
彼女は笑って――バンバン――とわたしの頭を叩いた。
見掛けによらず、力が強いので
「いや、分かってないよな……」
と
因みに【魔王災害】が起こったのは昭和だ。
そのため【魔境】の文化がそこで
主に女性が移動する際、自家用車で送り迎えをする都合の良い男性の事を指す。
また一人だけ、
まあ、そういうポジションだ。
「
早く、兄さん達を助けに行こう――とは『モモ』。
普段は冷静な彼女だけれど、どうにも
「フハハハッ! この肉体美を
とは『キャベツ』。うん、こっちはいつも通りだ。
早速、筋肉をアピールする
わたしとしても――月を利用して【魔力】を増幅する――そのため、計画を実行するのは夜だと思い込んでいた。
昼間でも白い月は出ているし、【魔力】を増幅する方法は月だけではない。
しかし、これでは計画が失敗するリスクが高い。だとしたら、計画の実行自体に意味がある、もしくは失敗する事こそが目的の可能性も出て来た。
また、東京以外にも【魔境】は存在する。今回の計画を行う事で、世界に対し
思い起こせば、わたし達が集められたあの時も、戦争を開始しようとしていた。
あの時は【魔境】の外では【魔術】が使えないという事で計画は見直されたが――
やはり、この地には
「オラァっ『ヒジキ』っ! ぼさっとしてないで行くぞ!」
今度はガシガシと
乱暴ではある。けれど、彼女の存在が、わたし達の切り札であるのも事実だ。
「ゴ、ゴメンでやんす……」
だから、乙女の顔を
「テメェーは
と返される。やれやれ……これだから、この人は苦手だ。
わたしは『キャベツ』の手により、車の後方――荷台へと積まれる。
重機
「よっしゃーっ! 突撃だ!」
と
彼女は赤い
これ以降は『レッド』と呼ばないと怒られるので注意が必要だ。
気分は変身ヒーローである。
「また、オレの車がお
『レオパルド』は目に涙を浮かべ、アクセルを踏み込む。
車が勢いよく発進した。
「ヒャッハーッ! 敵は皆殺しだぁ!」
まるでこちらが悪党のような発言。
『レッド』がそう叫んだ
当然、飛行する機能など付いている訳がないので、重力に
ただし、車は壊れない。
『レッド』の【魔術】だ。得意とするのはあらゆるモノの強化。
今は車の性能を強化している。
多少の段差や障害物など、物ともしない。銃弾だって跳ね返す。
ただし、乗っているわたし達が無事である保証はない。
【
その
同時に『レッド』は車の天井から顔を出し、
【魔術】で強化されているため、面白いように人が千切れ飛ぶ。
「くたばれっ!
ワッハッハッハッハッ!――『レッド』は楽しそうに叫んだ。ノリノリである。
いつもならストッパー役の『モモ』も目が
説明が悪かったのだろうか? 姉の
「ひぃ~! もう帰りたい……」
とは『レオパルド』で、情けない事を言いつつも、的確に敵の兵士達を
一方で、わたしの任務は後方の敵を相手にする事だ。
前回は
けれど、今回は違う。どうせ、乱戦では使えないので爆弾を
『レッド』の【魔術】で威力が強化されているため、火力が恐ろしい事になっていた。人間も空を飛べるらしい。周囲に土と血の雨が降る。
これでは戦車だ。一方的な
しかし、この基地は無力化できただろう。
後はこのまま【
しかし、一人の大男が前に立つと車を受け止めた。
「
と『レオパルド』。自分の車に
更に走りを
ある意味、彼も面倒な性格だ。
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