第32話 楽しい事だよ
「待ってください! お嬢様っ……」
と空中を飛んで逃げるアイラをメイドが追い掛けている。
どうやら、服を着せたいようだ。
わたしはその光景を見ながら、髪を乾かす。
その後、ツインテールに
――ちょっと、伸びたかな?
無造作に髪を
そして、振り上げた。すると、
「ぎゃあ~っ!」
と悲鳴が上がる。メイドが
「な、
メイドは声を上げると慌てて、わたしの
無意識のようだけれど、意外に早く動けるらしい。
「
そんなわたしの
どうやら、怒っているようだ。
「
大事になさってください!――と注意された。
「後で、わたくしが切って差し上げますから……」
とメイド。そこまで言われてしまっては仕方がない。
わたしは『
「そう言えば、カグヤも髪を大事にしていたね……」
まあ、普通の女の子はそうか――とわたしは
正直、手入れなどしなくても、わたしの髪は綺麗だ。
【魔力】が高い
「カグヤ様の場合は、旦那様に
とメイドが言う。わたしが大人しく言う事を聞いたので、安心したのだろう。
聞いてもいない事を
「へぇー、レイは髪が長い方が好きなのか……」
いい事を聞いた。外の世界では、あまりお洒落に気を遣う事も出来ない。
『モモ』も髪を伸ばせば良かったのに――と
「普通、男性の方はそうではないのですか?」
後はポニーテールでしょうか?――メイドはそう言って首を
レイのその辺の感覚は、一般的なモノとズレていそうだ。
(『マーメイド』相手でも欲情していなかったようだし……)
『オヤユビ』相手にも、女の子として
ボーイッシュな『モモ』や合法ロリの『
どうやら、彼の攻略は
「カグヤ様は『自分の髪と似ている』と言って……」
よく『シラユキ』様の髪型で遊んでいましたが――と告げる。
メイドは――んー?――と口元に人差し指を置き、
「アレも髪型の研究だったのかも知れませんね……」
仲の良い姉妹のようでした――メイドは『うんうん』と
丁度、部屋のインターホンがなった。誰か来たようだ。
【
確認しなくても想像はつく。
メイドが応対しようとしたので、
「アイラ、風邪を引くとパパとママが悲しむよ」
バンザイして――わたしがそう言うとアイラは着地する。
そして、言う通りした。その様子に
「わたしが出るから、アイラの事をお願い」
そう言って、わたしは
モニターを確認すると、そこに映っていたのは『ラプンツェル』だった。
わたしも
しかし、予想通りではある。
アイラに会いに来たという理由なら、別に不思議な事ではない。
彼女は興味のない振りをして、
「
わたしの言葉に、
「楽しい事だよ」
と『ラプンツェル』は笑った。
カグヤが一向に戻って来る気配がないのも気になる。
確認する
けれど、今は『ヒジキ』を操作する事を優先したい。
「それは君にとって、楽しい事だろ?」
絶対に
そして、溜息を
――〈亡霊視点〉――
「やっぱりね……」
『シンデレラ』に確認をしたい所だけれど、今はそれ所ではない。
(
考えるまでもない。『黒陽計画』の
様子が
今日は色々とあったので、お昼寝には丁度いい時間だ。
ただ、それは
状況は良くない、ウサミ達のような【魔力】の低い連中は気を失い、倒れてしまっている。
【
俺は他の【魔術師】同様、床に倒れた振りをして
『シンデレラ』も
いや、彼女の場合は【魔力】よりも【体力】の無さが原因だろう。
困ったモノである。【魔力】の受け渡しは
(まあ、彼女の事だから、
今、
先程から――大人しくしていれば危害は加えない――というような事を言っている。カグヤが一人で出て行ったのは、この状況を想定していたのかも知れない。
【
労せずして、塔を
しかし、出て行ったのはカグヤのみ。
『オヤユビ』、『マーメイド』、『シンデレラ』の三人が残ってしまった。
そのため――強行策に出た――という所だろうか?
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