第31話 けれど、彼らと過ごす今が――
――〈カグヤ視点〉――
先程から
今までの兵士達とは違い、手足を斬ったくらいでは立ち止まってはくれないようだ。別に生かして帰すつもりはない。
嬉々として人を殺すような連中でも負傷した仲間を救助に来るので、そこを
しかし、今日はまるで
痛みや恐怖を感じないのだろうか?
後方から支援として飛んで来る銃弾が
【魔術師】達の多くは子供だ。
〈
私が適任――いや、この場に私を
今までは『頭が悪い』と思える攻め方をしていた。
けれど、それは【魔術師】の情報を集める
また――兵器の性能を試していた――とも言える。
少なくとも、最近は戦術を無視した戦い方をしていた。
それがここに来て変わっている。
「わたしも潜入を
とは
足元でキャンキャンと
「
私の
「基本は教育による洗脳――それに徹底された階級組織じゃ……」
数日で頭が
頭は
けれど
「組織の
そう
「どうやら『計画が次の段階に移行した』と考えるべきね……」
と私は返すのだった。
(恐らく、目的は――この塔と【魔術師】そのモノ――だろう……)
――〈亡霊視点〉――
警備の【魔術師】達に指揮を出している『マーメイド』が
――手伝わなくても、いいのだろうか?
ウサミにはアイラと『シンデレラ』の面倒を見るように頼んだ。
着替えなど、色々と手が掛かりそうなので、彼女の存在は助かる。
俺自身も目立たないように制服へと着替えた。
ここでは日常を演出する
普通にしていれば目立つ事はない――と思っていたのだが違ったようだ。
同じく制服に着替えた『オヤユビ』と『マーメイド』の
(『オヤユビ』と一緒では、否が応でも目立ってしまうな……)
カグヤは
少なくとも『オヤユビ』と『マーメイド』も戦闘に参加させるべきだろう。
まるで別の
「残りの【
俺の問いに、
「『ラプンツェル』は塔の上で研究、『イバラ』は歌っている……」
と『オヤユビ』は教えてくれる。
そういえば、戦闘が始まってから歌が聞こえていた。
音というよりは【魔術】に近い。恐らく、支援効果のある【魔術】なのだろう。
俺自身も【魔力】が強くなっている気がする。
早く『黒陽計画』の中止を確認したい所だったが、上手く行かないモノだ。
やはり、塔の機能を
「『シラユキ』は……」
『オヤユビ』が言い掛けると――ここだよ――と後ろから声がする。
振り向くと、黒髪の少女がそこに立っていた。
(
思い出せない。少なくとも、泣かさないようにしたい所だ。
「二人はデートかい?」
などと
「ああ、親交を深めている」
と俺は返す。
彼女に対して、油断をしては行けない気がする。
「丁度、集まって
『シラユキ』は笑うと俺達の前を静かに通り過ぎ、
「
そう言って振り向く。
その姿がどうにも、怒っている時の『モモ』を連想させた。
――〈サンドリヨン視点〉――
「ふぅー」
シャワーを浴びて一息
――
皆、
いや、同性に見られるのは構わない。
それに着替えが水で流されてしまっては、仕方がない事だろう。
なので、彼の前で平静を
そもそも、裸を見られた所で
だから、平気だと思っていた。
(なのに、こうも恥ずかしいモノだったとは……)
想定外である。
「お嬢様、乾かしますよ――『シンデレラ』様、裸で
カグヤのメイド(?)がわたしを
わたしは――
着替えはカグヤのモノだろうか?
うん、わたしの方が大きい――いや、今はそういう話ではない。
(単純に太っただけのような気もするし……)
ガクヤの手前、ああは言っては見たモノの――やはり男の子は大きい方が好きなのだろうか?
「ちがーうっ!」
髪を乾かしていたアイラとメイド(?)が――ビクンッ!――と反応する。
ああ、ゴメン――とわたしは謝った。
どうにも、彼の事を考えると調子が狂う。
これは彼と子供を作る事を真剣に考えても良さそうだ。
(こんな世界では、いつ死ぬか分からないしね……)
だから、わたしは自由に楽しく生きる。
それなのに、彼もカグヤも、わたしの居場所になってしまった。
彼らと一緒なら安心できる。家族や仲間が増える。
他人を
けれど、彼らと過ごす今が――
自分の思い通りに生きて来たわたし。
思い通りにならない今の方が――
今までの
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