第29話 私が相手をするわ
「デレちゃん、くちゃいくちゃいよ」
とはアイラ。『シンデレラ』に対し、鼻を
そうかな?――と言って『シンデレラ』はクンクンと自分の
「まったく、先にシャワーを浴びて来た方がいい……」
俺はそう言って、肩を
「それに
少しはカグヤを見習ってくれ――と付け加える。
そんな俺の言葉に、
同時にウサミも
一方で『シンデレラ』の言う『敵』も気になっていた。
ここには最強とも言える【魔術師】達が
彼女達を
「私が相手をするわ」
『マーメイド』は皆を避難させて――とカグヤ。
俺も戦うべきだろうが、ここでは
『オヤユビ』も一緒に戦おうとしたが、
「二人は着替えなさい!」
ウサミ、お願い――とカグヤ。
「あーあ、『オヤユビ』の
と言って『シンデレラ』は唇を
それと同時に【魔術】でカグヤの腕に、銀色に光る
カグヤはそれを
「アイラをお願い……パパと大人しく待っていてね」
俺とアイラにそう言い残して、塔の
顔が
俺は首を
――〈カグヤ視点〉――
(オナ……いえ、あの事は気付かれずに済んだようね――)
塔を出て、安堵の溜息を
(あの
警戒するに越した事はない。
『
どうやら、今までよりも本格的に侵攻してきたようだ。
正面の警備を下がらせ、他の場所の警備へ向かうように命令する。
本来は『マーメイド』の役目なので、細かい指示は彼女に任せるとしよう。
私は一人で、正面の『敵』を叩く事にする。
しかし、どうにも
【
それなのに
一度、整理したい所だけれど、今はその時間がない。
警備に当たっていた【魔術師】達が負傷者を連れて逃げてくる。
あまり塔から離れる気はなかったけれど、急いで助けに向かった方が良さそうだ。
――〈
弧を描き、複数の刃が高速で回転する。私は視界に入った『敵』を次々に斬り殺して行く。同時に狙撃に対して警戒し、防御を行う事も忘れない。
――〈
幾本もの剣が周囲に展開し、私を守るように揺れる。
本来なら突撃兵を用意し、命と引き換えにガスを散布するのがお約束だ。
しかし、今回はそれがなかった。
――やっと、無駄だという事を理解したのだろうか?
それにしては
少なくとも『敵が来た』という、このタイミングも
今日は大気の乱れもあり、外での【魔術】の使用が制限されてしまう。
とはいえ【
少なくとも、レイの突入と『オヤユビ』との戦闘。
更には『マーメイド』の暴走による被害。
これらに対して
確認の
改めて連絡を取り、現在の戦況を確認すると塔を囲むように四方から攻撃を受けているらしい。今までも襲撃はあった。けれど、それにしては大掛かりだ。
状況から判断して【
不思議だ。本来の私はここまで頭は回らない。
レイが居てくれるというだけで、いつもより冷静に判断が出来る。
「『シラユキ』が裏切ったんだよ」
と足元から『シンデレラ』の声。
今し
『シンデレラ』の【魔術】は身体の一部――特に『髪の毛』――を使って人型、
『
また、彼女自身は電子機器などの
先程、彼女が私の腕に巻き付けたのは自分の『髪の毛』だ。
「あの
私は問い掛けると、
「さあ?」
いつもながら
「わたしはずっと地下に居たんだよ……」
分かる訳ないよね――と言って、アハハと『シンデレラ』は笑う。
敵は『
自分達こそが選ばれた新人類だと
この【魔境】と呼ばれる牢獄から出る事の出来ない、狂った旧人類。
ただ
(そもそも、
「まるで東京が【異界】に飲み込まれる事を分かっていて準備していたみたい……」
私の
そうだと仮定するのなら、彼らの本当の狙いは――
風に乗って、塔から『イバラ』の歌声が聞こえる。そんな気がした。
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