第26話 じゃあ、アイツが溺れる前に行ってくるよ
すべての【魔術師】が、そういう訳ではないのだろう。
ただ、俺の【魔術】は自分自身を消耗させる。
【魔力】の消耗は命を削る事に等しかった。
俺はカグヤを――いや、俺達はお互いを
そんな俺達の様子に対し、
「ひゃわわわ~♡」
と言って、顔を
最初は抵抗していたカグヤだけれど、
それどころか、俺の首に手を回し、舌を入れてきた。
【魔力】の回復だけなら、そこまでする必要はない。
けれど、彼女の中でスイッチが入ってしまったようだ。
本気になった彼女の力に俺が
どうやら、立場が逆転してしまったようだ。
彼女の気が済むまで、俺は口付けを交わした。
当然、激しい
途中でお互いに苦しくなり、酸欠のため四つん
二人で息を切らし、ゼーハーゼーハーと呼吸を整える。
あの時は、まだお互いに子供だった。
この手の激しい
「
とはウサミで顔を真っ赤にしつつ、
「あと、降ろしてくれませんか……」
そう言って、俺にお願いする。
――おっと、忘れていた。
俺は【魔術】を解除する。
一方で『マーメイド』はアイラを抱っこしてくれていたようだ。
「なかよしさんなのよ♪」
アイラは
下では『オヤユビ』が自力で床から抜け出したのか、待機している。
「み、見せつけてくれますね……」
とは『マーメイド』。震えてはいるが――怒っている――という感じではない。
カグヤの方は四つん
まるで腰が抜けたようだ。
――【魔力】を
お陰で
「カグヤから【魔力】を
と俺は『マーメイド』に説明する。
「な、なら――わたしの【魔力】も……」
彼女は申し出てくれたが、
「全快したから大丈夫だ」
と俺は断る。続けて、
「それよりも『シンデレラ』を地下から連れ出したいんだ……」
と
「え、ええ……許可するわ」
と『マーメイド』。その表情は
彼女としても、積もる話があるのだろう。
俺としても、姉の事をもう少し詳しく説明しておきたい。
けれど、それはカグヤにも説明する必要がある。
(一旦、保留だな……)
――大丈夫だろうか?
いや、今は『シンデレラ』が――浸水した地下で
「じゃあ、アイツが
俺はそう言って手を振ると、床へと飛び降りる。
そして、そのまま地下へと
――〈カグヤ視点〉――
いけない、あまりの気持ちよさに軽く失神しかけてしまった。
腰が抜けて立つ事が出来ない。
一緒に居たかったのに、これでは別行動を取っているのと同じである。
まあ、誰かの
(それよりも――)
どうにも『オヤユビ』といい、『マーメイド』といい、それに『シンデレラ』といい――私と彼がイチャイチャする邪魔をしている――としか思えない。
「あ、あのね……」
とは『マーメイド』。
「
私が聞き返すと、
「その……貴女の彼氏と抱き合ってしまって――」
言い
そんな事よりも、今の私は
(余韻が冷めるので、話し掛けないで欲しいのだけれど……)
ちょっと待って――と私は『マーメイド』に合図をする。
そして、ウサミにこっそりと替えの下着をお願いした。
「お
と
彼氏が出来れば分かるわ――とだけ告げ、私は彼女の肩を叩いた。
首を
この様子では、彼女に彼氏が出来るのは当分先のようだ。
「
そう言いつつも、ウサミは私に肩を貸してくれる。
私は漆黒の剣を召喚し、バルコニーから降りる階段を作った。
まだ、天井が修復されていないのか薄暗い。
「アイラの事をお願い」
ちょっと、着替えてくるわ――と『マーメイド』に頼む。そして、
「大人しく待っていてね」
と娘に告げ、一旦、トイレに向かった。
水浸した床を
崩れているのは天井だけなので、あちこち
トイレは無事なので、十分に明るい。
見張りをウサミに頼み、個室で
彼女が
となるとアイラの事は『オヤユビ』に頼んだのだろう。
(今夜の事を考えるなら、もう少しお洒落なモノがいいのだけれど……)
大人っぽい下着を持っていない事が
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