第15話 逢って謝らなくちゃ!
――〈亡霊視点〉――
久し振りの再会のため、舞い上がっているのだろうか?
ウサミという少女に手を貸すと、ゆっくりと足を床に着地させる。
それから【魔術】を解除した。
アイラが警戒していないようなので、敵意などは持っていないようだ。
「ありがとうございます」
と俺に礼を言う。
(少し、小動物っぽいな……)
自ら世話役と言うだけあって、カグヤの友達というよりは、身の回りの世話をしてくれる付き人や
「さあ、こっちよ」
とはカグヤ。俺はウサミから手を離し、彼女の後へと続く。
先程から気になってはいたが、室内だというのに明るい。
電気とは違うようだ。
どうやら、ここでの暮らしは【魔術】が中心となっていて、外よりも快適らしい。
空調も完備されているようで、温度も一定に保たれている。
「ウサミ、お茶とお菓子の準備を……」
さあさあ、レイはここに座って♪――とカグヤは
テキパキと動くウサミの様子から、彼女が掃除をしているのだろう。
清潔に保たれてる。また、観葉植物も用意されていた。
部屋を観察していると、いい香りが漂ってくる。
どうやら、ウサミが紅茶を用意してくれているらしい。
アイラは紅茶が
(どうやら、違うようだ……)
やはり、人の
カグヤに勧められるまま
一度、着替えたい所だが、いつ戦闘になるとも限らない。
思案した
俺が腰掛けると、カグヤが向いに座り、頬杖を
このまま、彼女と今までの
「
カグヤといい、ウサミといい、学生服に身を包んでいる。
(――という事は、学校があるのだろうか?)
「気にしなくていいわ、これは恰好だけだから……」
とはカグヤ。彼女の話によると、授業などの
「わたくしは行かないと単位が……」
そう言って、ウサミが紅茶とお菓子を運んできてくれた。アイラは浮遊した状態でクッキーを
本来は行儀が悪いと
カグヤは、そんなアイラの頭を
「るん♪」
とアイラは嬉しそうにしている。
カグヤの話によると――学校の制度を
【魔術師】は人々に恐れられているが、その
親代わりは出来ないが【魔術師】の子供達を集め、保護しているらしい。
そんな子供達を統括する上でも【
【魔術師】から尊敬や
つまりは――統率が取れている――という事にも
(やはり、俺が考えていた場所とは異なるようだ……)
「アイラ、口元が汚れているわよ」
カグヤはそんな事を言って、クッキーの
「君の妹は生きている……」
俺が告げると彼女は一瞬、目を大きく見開いた。けれど、
「そう……」
「優しい
そんな俺の
「私の事を
寂しげにカグヤは
「今は『モモ』と『名付け』た――君に謝りたい――と言っていたよ」
そんな俺の言葉に反応したのはアイラで、
「モモちゃん、好きよ♡」
マーマ、あいたい、いーてたのよ――と
そんなアイラの顔に水滴が落ちた。
カグヤの涙だ。今日の彼女は
「カグヤ様、良かったですね……」
グスンッ――と
「私、ずっと……謝りたくて――」
彼女は――自分で壊してしまった――と思っていたのだろう。
苦しんでいたのは知っている。
俺は
この姉妹を早く会わせてあげたいと、俺は強く思った。
しかし、
彼女が人間らしく暮らせるのであれば、無理に連れて帰る必要もないかと考え始めていた。
「
カグヤはそう言って、俺を真っ直ぐに見詰める。
どうやら、ここでの暮らしよりも、大切なモノがあるらしい。
「分かった……帰ろうか?」
俺は立ち上がり手を差し伸ばす。
カグヤはそんな俺の手を取ろうと手を伸ばしたのだけれど――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます