第12話 マーマ、会いたかったのよ♡
やはり、推進力が落ちた
急いで――〈
ただ、無事に『結界』を突き破る事は出来たようだ。
後は無理矢理にでも、壁を破壊するしかない。
もう少しカッコ良く登場したかったが、
回転する槍は壁に
後は
「いっけぇーっ!」
気合の掛け声と同時に【魔力】を流し込む。
槍の回転数が上がり、
――ドッゴオォォォンッ!
俺は
だが同時に――ガキンガキンッ!――と金属音が響いた。
(いや、止められたのか……)
パラパラと
周囲は
外壁を破壊した――まではいいが、
(威力を相殺された?)
俺としては、塔ごと破壊するつもりだった。
だが、そう上手くは行かないようだ。
『魔術結界』や『魔法金属』。
それらは俺の――〈
厳密にはダメージを受けるだけなのだが、無理をする場面ではない。
それらを突破できた時点で作戦を変えるべきだっただろうか?
彼女と再会する前なので、強敵との戦いは回避したい。
アイラが『マーマ』などと言うから、俺も気合を入れてしまった。
消費した【魔力】を回復するまでには、もう少し時間が掛かりそうだ。
(
警備の人間が来たら、彼らに――〈
ただ問題は、警報が鳴っていない事だろう。
これだけの騒ぎを起こしたというのに、反応がないのが怖い。
(だとしたら
早急に逃げるべきだろう。周囲の視界が悪くて助かった。
軌道を
転んでもただでは起きない、と言った所だ。
俺が、そう考えていると――
『マーマ、マーマよ!』
とアイラが教えてくれる。
確かに
学生服姿の髪の長い女性だ。
色白で整った顔立ちの美人に見える。
しかし、それはどう考えても、俺の記憶にある彼女の姿ではない。
だが、彼女の周囲を見渡すと、あらゆる箇所から漆黒の刃が突き出ていた。
すべてを斬り
――間違いない、久遠の――〈
「見付けた!」
俺は声を上げると
けれど、俺が彼女に駆け寄るよりも早く、
「マーマ♡」
とアイラが『
光の粒子を
アイラはこっちの世界の物理法則をある程度、無視する事が出来た。
そのため、捕まえるのは難しい。仕方なく、俺は周囲を警戒する。
これが罠である可能性が、まだ消えた訳ではない。また、彼女がアイラ――いや、娘である『アリス』――の事を覚えていない可能性もある。
あらゆる面で、俺がフォローする必要があるだろう。
先日、敵から奪った『
効果は一定時間【魔術】が使えなくなる、というモノらしい。
あまり使いたくはない――どうやら、その願いは通じたようだ。
「ア……いえ、
「マーマ、会いたかったのよ♡」
と二人は互いを抱き締め合う。
その様子を見て、
――〈カグヤ視点〉――
奇跡が起きた。もう会えないと思っていた娘に再会できた。
残念なのは、娘を『真名』で呼ぶことが出来ない事だ。
(でもいい……)
もう一度、この手に抱き
それだけではない。私の記憶が鮮明に
私とアリスを見守るように、一人の青年が立っていた。
彼は
そして、優しい
(信じられない……)
自然と口元を
「しぃちゃん……なの?」
この場合は『成長した』と言うべきだろうか?
女の子のように可愛らしかった顔は、
身長も私より、高くなってしまった。声だって、すっかり男の人の声だ。
それでも――私を見詰める――その優しい
「くぅちゃん、待たせてゴメンね……」
そう言って謝る彼。そんな彼に
娘を抱いているため、彼の衣服を
彼は来てくれた。謝る必要など、
胸が熱くて、苦しくて、言葉に詰まる。
「マーマ、泣いてりゅの?」
小さな娘の手が私の頬を
「うん、大丈夫……大丈夫だから――」
ポロポロと流れ落ちる涙は止まらない。
肩を震わせ、声を殺して泣く私に、
「マーマ、泣き虫さんね」
とアリスが笑い掛ける。
「そうだな……」
と言って、彼は
私は顔を上げる事が出来ずにいた。
アリスが私の手を離れ、宙へと浮くと、
「いい子、いい子よ」
そう言って、頭を
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