第6話 モモちゃん、あそーで♡
「おはよう、アイラ」
俺が笑顔で
(どうやら、機嫌は良さそうだな……)
見た目は人間の少女である。
けれど、普通の人間は発光したり、空を飛んだりはしない。
「パーパ、あそーで♪」
と
「お客さんだ、
と俺は問い掛けた。アイラはミラを
「……」
「
そう言って、プイッとそっぽを向いてしまう。
「やれやれ、嫌われてしまったようだ……」
ミラは肩を
彼女はアイラの人格よりも、存在に興味を持っているのだろう。
アイラへ顔を近づけ、観察するようにジロジロと見る。
気味が悪かったのだろうか? 基本的に人見知りな所がある。
一方、ミラの方には、気にした様子はない。
「うーっ……」
とアイラは
だが、モモの存在に気が付くと、
「モモちゃん、あそーで♡」
と言って光の粒子となって姿を消すと、モモの
「へぇーっ」
ミラは感心したように声を上げる。
視線をモモの方に移すと、
モモは、そんなアイラの行動には
「いいよ、アイちゃん♡
と甘々な対応になる。戦闘時の彼女とは大違いだ。
先程のまで、モモに注意されていたキャベツが、
「おいおい、別人じゃないのか?」
などと言いながら俺に近づいてきた。
あまりの
「アレが本来の彼女さ……あまり
と俺は返しておく。キャベツは
だが、少しは学習したようだ。
また
それ以上、
『いいのですか?』
サンドリヨンが語り掛けてきた。
(俺の目が届く範囲にいてくれれば問題はない)
と俺は返す。それよりも、
「満足して
俺は
表情を変えない――というのも逆に疲れる。さっさと終わりにしたい。
ミラは棒の付いたキャンディをポケットから取り出す。
「ああ、興味深い存在だが……今はもういいよ」
そう言って、彼女はキャンディを口に
今日は存在を確認する事が出来ただけで、満足のようだ。
俺はその返答を『
――〈カグヤ視点〉――
彼との出会いは、絶望の中だった。
身寄りのない私は、保護と称して施設に連れて来られたのだ。
実際は――【魔術】を使える――というのが理由だろう。
どうやら、ここの連中は私のような子供を集めて、実験をしているらしい。
【魔術師】というだけで、親に捨てられた子供。
施設では大人達の言う事を聞くと、キャンディを
小さい子供が素直に喜んでいる様子は
私の場合は――
この
当然、孤立した個体は
取り分け魔力の高い私は【魔術】を封じる首輪を着けられていた。
恐らく、発信機の機能もあって、逃亡を
また、当然のように私のような存在を見逃さない連中も居た。
どうやら、私は彼らにとって恰好の
数名の男子が私を呼び出し、裸になれと
女子の誰かが、私の身体の事を話したのだろう。
普段は包帯で隠しているが、入浴時や身体検査など、服を脱がなくてはならないタイミングがある。私の
気に入らないのは――自分も周囲の人間達から
信じられない――いや、最初から他人など信じてはいけなかった。
私は必死で抵抗したけれど、彼らは数人で私を押さえつけ、服を
そして――
どうして、私だけがこんな目に
抵抗しようにも、人を殺した私の【魔術】は封印されている。
リーダー格と
私はその姿を見て――私と同じにしてやった――そう言って笑った。
私が顔の包帯を取ると、一斉に男子達は
お前達もだ、お前達も同じにしてやる――と言葉を続ける。
すると、数人がリーダー格と
勝ったと思い、油断をしていた。次の瞬間、私は背後から突き飛ばされる。
そして、落とし穴へと落ちてしまう。
最初から、そのつもりだったのだろう。
誰かが【魔術】で作ったモノだ。子供が掘れる深さではない。
着地に失敗した私は気を失うと同時に、左足が折れてしまった。
高い魔力を持っている
骨折は
不完全に高い能力は、死ねない呪いのようなモノだ。
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