第34話 泣きたくなる熱
「こすったらっ、だめぇ……っ」
必死に訴える声は、変に上擦って震えてしまう。
ルークの大きな手は俺の手をそっと押しのけ、布地の上から俺のモノをゆっくりと撫でてくる。その手の動きが、眩暈がしそうなほどに気持ちが良くて、抵抗しなきゃと思うのに上手く動けない。
「……ぅぁ、……あっ、こんなっ、こんな、こと……っ」
執拗に落とされる甘いキスに阻まれて、抗議の言葉も途切れ途切れになってしまう。
俺だって男だからたまに前を触ることはあるけれど、俺はわりと淡白なほうだというか、異世界に来てからは特に性欲が薄れていたから、こんな風に簡単に快楽に飲まれてしまうことに戸惑いがある。
それに、布越しに触られているだけなのに、自分で触るのとは比べようもないほどの濃蜜な快楽を感じてしまい、良すぎてなんだか怖いというか。
ルークの手はとても優しいけれど、退けようとしても退かない強さがあり、
「……可愛い、アヤト、……すごく可愛い」
熱に浮かされたように、キスの合間に囁いてくる。
ルークは本気なのだろうか。本気で俺の身体を可愛がろうとしているのだろうか。
このままでは快楽に侵されてすぐにでもイってしまう。大丈夫なのだろうか。俺たちは部屋主と居候の関係なのに。ああ、でも仮の専属でもあったっけ。運命の魂とも言っていた。よく分からない。でもそういえば、魔術の本に、専属同士の交流は快楽を伴いやすいってあった気がする。
俺だけなのか。こんなふうに性的に感じてしてしまうのは、俺だけなのか?
俺は涙で滲む目を必死に開けて、ルークの身体の中心部に視線を向けた。
……ルークのズボンの前のあたりも、張りつめているように見える。中の質量が窮屈そうに布地を押し上げているように見える……。
「ルークっ」
俺は必死に顔を上げてルークのシャツを掴んだ。
「ルークも、気持ちいいの?」
するとルークは、乱れた前髪の隙間から荒れた呼吸のまま俺を見て、「いいよ」と答えた。
「じゃあ、じゃあルークも一緒がいいっ。俺一人じゃヤダっ。俺もルークのちんちん触るっ」
「……っ」
ルークは一瞬息をつめたように口を噤み、それから少し姿勢を直すと、俺の手を取って、己の中心部へと導いた。
布地越しに、ルークのそこがとても熱くて硬くて大きくなっていることが分かった。俺のモノよりもずっと立派で存在感のあるちんちんだ。
ルークの手を真似しておずおずと撫でてみると、ルークはわずかに苦し気な吐息を吐いた。
俺は少しだけ安心感を覚えた。ルークが一緒ならば大丈夫だ。この快楽に飲まれても、ルークが一緒ならば怖くない。
だけど、その考えは甘かった。
俺の中心部を優しく撫でていたルークの手が、にわかに撫でる強さを増したからだ。
「うあッ、んッ」
ビクビクと身体が跳ねてしまう。ルークの股間に上手く触ることができない。
「やぁん、だめぇ……っ」
こんなんじゃ、俺だけがあっという間にイってしまう。そんなのはイヤだと喘ぎながら駄々を捏ねたら、
「じゃあ、こうしよう」
ルークは真顔でそう言ってソファに座りなおすと、俺の身体の両わきを支えて持ち上げ、自分の膝の上に対面になるよう座らせた。
そうして自分のズボンをずらして逸物を露出させると、俺のズボンの前も手早くくつろげ下着をずらす。
「……ぅあぁ……」
こんな状況だったけど、俺の視線はナマで見るルークのソコに釘付けになった。
物凄く格好良い。でかくて形も良くて色も男らしい。下生えも重そうな陰嚢も、濃厚な色気に溢れている。
それに対して俺のちんちんは少々頼りない。外気にさらされふるふる揺れる。こんな風に露出させて、いったいどうするつもりなのか。
息を飲んで見守る俺の目の前で、ルークは俺の腰を両手で掴むと、屹立する己の怒張に、俺の頼りなく震えるちんちんを、ピトッとくっ付けた。
「ひゃぁあッ」
ビクンッ! と、電流のような歓喜が走った。
焼け付くような強烈な快楽をソコに感じて、背筋が反り返ってビクビク震える。
さらに、くっ付けるだけでも気持ちが良いのに、あろうことかルークは、そのままお互いのモノをこすり合わせるようにして、律動するように腰を動かし始めた。
「んあッ、あッ、あんッ、やぁんッ」
そこからはもう、わけが分からなくなった。
口からは、あられもなく喘ぐ悲鳴が引っ切り無しに漏れてしまう。手の甲を噛んで声を抑えようとするけれど上手くいかない。ルークからは時おり貪るようなキスをされて呼吸が苦しい。ルークの腰の動きは徐々に強さを増していき、俺は揺すられながら必死に目の前の身体にしがみついた。
絶頂に押し上げられるのはあっという間だった。俺はルークの身体にしがみついたまま、腰をがくがく震わせてイッた。たしかにイッたはずなのに、ルークの剛直からの刺激のせいでイクのが止まらず、ずっとがくがくし続けた。
……頭の中が真っ白になる。
ただ、そこにある、互いの身体だけがすべてだ。
何も見えない。何も考えられない。
翡翠の瞳が俺を見ている。
ルーク。
声にならない声で呼ぶと、
「アヤト……ッ」
苦しげに名前を呼ばれ、繋ぎ止めようとするかのように力強く抱しめられた。
——愛してる。
切なげに呻くような囁きが聴こえ、ルークが身を震わせるのが分かった。
腹のあたりに熱を感じた。二人分の精液が混ざり合う、何だか泣きたくなるような熱だ。
俺たちは呼吸を乱したまま、お互いの身体から離れられずに、いつまでも余韻の中で目を閉じていた。
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