第3話人類すべての人間がネガティブな世界

 みなさん、どうも角道百と申します。


 え?今までの強気な角道さんはどこへ行ったって?おいおい、よしてくれよ。僕は生まれた時からみじんこのような人間なのに……あ、僕みたいなのが、息をしていてすみません。


 そんなネガティブな僕が存在する。ネガティブな人間しかいない世の中をご覧入れましょう。


 僕の設定は変わらずに営業をしています。


 世界の時間は24時間です。労働時間は8時間と普通です。では、何がみなさんの世界と変わっていると言いますと、全てがマイナス思考の人間しかいない世界ということですね。


 例えば、営業で得意先にいくと、こんな感じになります。


 「〇〇商事の角道百と申します。あ!いき臭くないですか?エチケットがなってなくてすみません!」


 と、受付嬢の方に謝るところから始まります。


 「いえ!私なんて寝癖治ってますかね?不安で昨日の夜から寝ずに治しているんです。目の下にクマを作ってしまいすみません」

 

 当然すごく後ろ向きです。


 「いえ!こちらこそ営業という仕事をしていますけど、話しかけてしまいすみません」

 「いえいえ!私こそ座って対応してすみません。土下座しますから許してください!」


 世界に存在するすべての人間が大体、鬱です。人間が暗すぎて、街にカビが生えてます。人間の頭にもカビが生えてます。


 営業では、まず受付嬢の方と4時間くらい謝り合うのが常識です。


 「あ!お昼になってしまい、すみません!お弁当買ってきますので、どうか許してください!」

 「いえいえ!私こそお昼を食べずにお腹を空かせながら働きますので許してくださーい!いやぁー!」


 はい。ご覧の通り、すべての人間がネガティブな世界ってとてもやばいです。


 他には、営業が終わって会社に戻ると、大体上司に様子を伝えてから退社します。


 「すみません。角道戻りました。会社に入らせていただきます!」


 会社に入ってから「エレベーターさん!ごめんなさい!角道は1キロほど太ってしまいました。重い私を上まで運んでもらいありがとうございます」と一つ一つにお礼を述べます。


 返事は返ってきませんが、なんだか言わないとエレベーターのワイヤーが切れて落下してしまわないか心配なのです……(でも、実際の世界にも理解できないでしょうが、そんな繊細な人たちも存在します!)


 デスクに着くと、「角道百。人間をやっていてすみません!外を歩いていたので汗臭いです!消臭スプレーをかけるのを忘れてました!気遣いが足らずにすみません!中に入らせてください!」

 

 そんな僕の言葉に、部長が出てくる。


 「いや!私こそずっと昼寝をしていた!社長に言ってクビにしてもらうので許してください!」と、土下座をしてきます。


 「いえいえ!ずっと泊まり込みで働かれていたのを知っていながら、家に帰って呑気に寝て休んでしまい申し訳ありません!」


 極め付けは社内放送で、「社長をやる自信がありません!明日にでも辞任します!社長をやっていてすみません!」と毎日退社前に会社内に流れます。


 さらに、街中では、「買い物に出てきてしまい申し訳ありません!大根を買わせてください!」

 「私こそ、商売なんて生意気なことをして生活していてすみません!」


 と、町中でも謝り合う光景は日常の風物詩です。


 最後に、ネガティブな国のリーダーのマニフェストは、「国を滅ぼすかもしれませんが!私に清き一票を入れてくれる方がいましたら、どうぞ申し訳ありませんが、投票所までお越しください!生意気にリーダーになろうとしてすみません!」です。


 こんな世界、あなたならどうですか?


 つづく……

 

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