第4話 世界構築

「ちょっと待って!!」

「え?」


 いつからだ。

 いつからこんな異分子が現れた。

 何故私を追い詰めることの出来る者が発生している?

 

 確かに私は自分と同等の存在を作ろうとした、だが理由はこの世界の維持がめんどくさくなって他の誰かに押し付けたくなったからだ。

 維持がめんどくさいと言うのはこう言う世界を変えるとか挑戦してくる輩の事であり、求めていた人材が敵側になっているのは頭を抱えるしか無い。

 

「怒っている理由は分かるわ、でもこれは私が悪いの? 私は管理者。、場所を提供してるだけ、どう生きようが自由。その結果ああなってしまっただけ、寧ろ私が助けたらニートになってしまうと思わない?」

「今更言い訳か?」

「違うわよ! それに私が死んだらこの世界滅ぶわよ、私が礎になった場合も管理者不在でこの世界滅ぶわよ?」

「……確かにそうだな、じゃあどうすれば良い?」

「貴方が礎になればいいのよ」

「……俺が?」


 ニムエは、澄んだ青色のパネルを出現させる。

 そこには、何やら難しそうな事がビッシリと書かれていた。


「聖剣も神獣装備も、もう一本作るのは無理なのよ。この世に漂う魔力の質で作れるものは決まってるの、だから代わりを作るには、300億年くらいは遡ってもらわ無いとダメね」

「300億年……っ?!」

「その聖剣で遡ってみなさい? 100か200億年くらいで聖剣が壊れるでしょうね」

「……それでどうして俺が出てくる?」

「貴方は聖剣を作れ無いだけで、聖剣以上の能力を有してる。このパネルに表示してるのは、その詳細、貴方がどれだけ凄いか褒めちぎったパネルって事よ」


 太一は試しに読んでみると、説明通り太一の事を褒めて褒めて褒めまくっている内容だった。

 流石に恥ずかしくなった太一は、そのパネルから目を逸らす。

 

「貴方は私より数段劣るけど、この世界では既に全世界から尊敬され崇められるくらいの……そう、神様の様な存在なの。貴方が礎になれば、聖剣と交代しながらの構図も完成する。どう? 貴方が礎になるって言う提案」

「俺は……」

『待って』

「フユ?」

 

 太一の答えに、静止を掛けたのは、他でも無いフユだった。

 

『ご主人様は分かってるの? 数億年何もない真っ白な世界で、声も出さず動きも出来ず、ただただ力を吸われ続けるんだよ』

「……」

『世界を救ったのに誰からも感謝されず、自分は数億年間の地獄に又囚われる。一度礎になるって決めたらもう戻れないんだよ!』

「……カッコイイ冒険者になりたかったんだ」

『ご主人様……?』

「皆んなを守れる、カッコイイ冒険者に」

『待って』

「なあフユ、次会う時も、俺のペットで居てくれるか?」

『……いつか戻ってきてくれる?』

「何千何万何億掛かっても、必ず戻ってくる」

『僕はずっとご主人様のペットだから、必ず迎えにきてね』

「ああ、約束だ」

「……決まった様ね、聖剣を持ってと唱えなさい。そうしたら後はこの時代の人類が作り上げたシステムが全てやってくれるわ」


 ニムエは、そう言って太一に聖剣を差し出す。





 全てを覆い尽くす大爆発と光に世界は呑まれ、その瞬間、が誕生した。

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