第3話 最終決戦

 太一は、虚空を一度殴る。

 それは安心に変わり、落ち着いた様子でニムエに顔を向ける。


「《カマエル》」

「面白い技ね? 《カマエル》」

「使えるのか」

「貴方より歴史も魔法も技術も何もかも広く深く知ってるわ。貴方の浅い知識による魔法なんて、模倣出来ない訳ないでしょう?」

「それはどうかな、お前は聖剣によって

「貴方が


 玄武の技は、逆に跳ね返され、太一を串刺しにする。


「ぐぁッ!」

「自分の技が絶対と思うなんて、驕りが過ぎない?」

「お前こそ、技を真似できただけでそんなに調子に乗って、子供かよ」

「数100年しか生きてないお子様には言われたく無いわね」


 ニムエは、架空から剣を抜き取り、太一に向かって振る。

 距離は無くなり、ニムエの剣は一瞬にして太一に到達する。

 太一はその一撃をまともに喰らってはならないと判断し、聖剣を抜く。


「《天喰い》」

「技なんて使わず、単純な技量で勝負すればいいのに」


 太一の《天喰い》は確かに発動した。

 しかし、それで喰らえたのは、ニムエの一撃の10%だった。

 残りの90%は、太一の体を真っ二つにした。

 そうして太一は、


「何億と言う時間を掛けて出来た最高傑作がコレって、私と同等の存在を作るなんて不可能なのかしらね」


 ニムエは太一の体を完全に消去しようと、近づく。

 体を近づけた、その時だった。


「あ゛」


 ニムエの心臓が貫かれる。

 直ちに修復され、ニムエとしてはノーダメージだったが、そんな事はどうでも良い。


 何故生き返った。

  

 ここは太一の元居た地球では無い、蘇生など出来ないはずだ。

 太一ならば可能かもしれないが、死んだ者が魔法を使うなんてあり得ない。

 聖剣の不死の力は世界を支え続けた負担でとっくに失われている、ならば何故。


「まさか」

「麒麟の能力、死者の蘇生。概念ごと消されても復活させちまう能力だ。体真っ二つ程度じゃ蘇生できない訳ねぇよな」


 太一の周りには、四つの武器が浮遊していた。

 それが四神獣である事は言うまでも無い。


「死にづらいだけでしょ、変わらないわね」

「どうだろうか、例えばこんなのはどうだ? 《大厄祭》」


 世界を飲み込みそうな破壊の因子は、一点に集中され、ニムエに放たれる。

 ニムエは、避けれずそれを腕で受け止める。


「……少し痛いわね、1億発位打たれたら死んでしまいそうね。それまでに貴方は死んでしまうだろうけど」

「《二柱の神殿》《天地開闢》《大厄災》を合わせた最大火力の技、これが俺の切り札だ。まずはこれを喰らってから調子に乗ってくれ、《ラグナロク》」


 ニムエはそれを、反射的に

 その回避行動は、当たったらまずいですよと明言してるような物だった。


「流石にこんなのを連発してたら疲れると思うだろう? 残念ながらこうすれば全回復だ」


 太一は自分の首を剣で切る。

 一瞬の絶命の後、最早数字で表せない程の速度で蘇生される。


「頑張って避けながら俺を殺してくれ。その前にお前が死ぬかもだけどな! 《ラグナロク》」

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