第4話 課外授業①
「たっけぇ山だなぁ!」
「確かにね、まあ、私達がこれから行くのは、登山じゃなくて迷宮攻略だけど」
「私、頑張ります!」
「僕も!」
「……そういえば……出口……山頂……だよね? 僕……高所恐怖症なんだけど……」
「だ、大丈夫! 迷宮に比べりゃ怖くない!」
「そ、そうだよ苅野君!」
太一は、授業内で決められたチームで、集まっていた。
チームメンバーは、太一・赤羽・颯太・間宮・苅野の五人で、役割としては、太一と赤羽が先頭で戦い、間宮と颯太は後方支援、苅野は後ろを守る。
と言う役回りで動く事になっている。
「人数揃ったら私に報告して、さっさと迷宮を攻略してこい!」
鏑木が全体に聞こえるように、腹から大きな声を出す。
太一達は、駆け足で移動して、鏑木の元へ着く。
「……よし、全員居るな。行ってこい! もしもの事が有ればこれを押すように」
そう言って鏑木は、端末機器を一つ、太一に渡す。
これは、非常連絡用の物であり、使用すると直ぐに冒険者育成学校側に伝わる様になっ
ている。
太一はそれを受け取ると、迷宮へ歩きながら近づいていく。
最後に一つ深呼吸して、太一達は迷宮に足を踏み入れる。
するとそこには、まさに神秘と言わんばかりの美しい世界が広がっていた。
酒井に死ぬほど連れ回された太一や、小さな頃から潜っている赤羽はまるで無反応だが、はじめての颯太、間宮、苅野は目を輝かせてワクワクしている。
がしかし、太一と赤羽は、この後、『ドッキリ大成功!』と言わんばかりの衝撃が待っているのを知っている。
「〈一蓮托生〉」
「〈不死鳥〉」
2人が、入った直後から最強格のスキルをそう使用した事に、颯太達はびっくりするが、次の瞬間、悲しくも理解する事になる。
「「グラァァァァァァァァ!」」
「「読めてるわ」」
突如登場した2匹の狼、もといモンスターは、一体は赤羽の不死鳥が見事に当たり、もう一体は、太一のパンチによって、絶命させられていた。
「あら、貴方拳でやるなんて……斉川先輩にでも習ったの?」
「ご名答。まあでも、この鉄扇で〈見通す者〉を使用して確実な急所を付いてることと、フユとの一蓮托生があってようやくだがな、ボスなんてとても倒せたもんじゃねぇから、そん時は任せたぞ」
「じゃあ、それまで私は休ませて貰おうかしら、雑魚狩り頑張ってね」
「任せろ」
「「「えぇ……」」」
さも当然かのように、突然のモンスター襲来を片づけた2人に驚愕していると、太一が、『おいおい、いつまで景色楽しんでんだ、進むぞ』とか言うので、今起きた事を事前に受け流しているその事実に、三人は白目を剥いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます