第2話 課外授業準備

「お、キタキタ、待ってたぜ、上野!」

 

 特別教室に入ると、机に座っていた(?)酒井は、机に手をつき、思いっきり肘を伸ばして椅子から飛び降りる。


「さてと、約束通り教えてやる! お前の盾……いや、四神獣装備、玄武についてな!」

「玄武……?」


 玄武と言うのは、中国古代の架空の生物であり、北を守っていたとされ、ヘビとカメが合体した様な姿をしている、四神獣ししんじゅうと呼ばれる内の一柱である。

 それとフユに何の関係があるのか、一瞬そう思ったが、俺は、思い当たる点があった。


「〈北の守護者〉……?!」

「その通りだ。それは四神獣装備が二つ以上の時発動できる、〈共鳴〉によって獲得するスキル。俺の朱雀は南の守護者、だから〈南の守護者〉が発動できた」


 俺は、納得しながらも、イマイチ引っ掛かっていた。

 俺の装備が神様……? 子供の頃から一緒に居た、フユが神様なのか? と。


「……まあ、納得できない内はそういえばそんな話もあったな程度に止めといてくれ、それより、俺が最も話してえのはこの後の事だ」


 すると酒井は、朱雀を手に取り、太一に向ける。


「四神獣装備には、玄武及びその所持者を育てる義務がある。何故か? それは玄武が、いずれ訪れる、第一次を凌ぐ、史上最悪の災害……第三次カラスに立ち向かうためだ」

「第三次カラパス?! それに第一次と言えば、世界中で文明が破壊されるレベルの地震が起こったのに、それを凌ぐなんて……一体……!」

「落ち着け、それを凌ぐ為にテメェの玄武の進化が必要なんだ……そこで今日から毎日、俺と一緒にC+迷宮に潜りまくってもらう」

「わかりました毎日迷宮潜……毎日C+迷宮に潜る!?」


 課外授業で行くCランク迷宮は、パーティーを組んで攻略可能であり、ソロでは厳しい、酒井は、そんなCの上、C+を、ほぼソロで潜りまくろうと言っているのだ。

 そんな無茶をと言おうとするが、酒井の表情からわかった。


 もうこの方法しか無いのだと言うことが。


 俺は、頷いて了承し、連絡用に連絡先を交換する。

 明日の予定を汲んだ後、太一は教室を出た。


 太一は、教室から出た後、ギルドへと向かった。

 扉を開けるとそこには、厳つい冒険者たちが待っていた。

 一瞬若造が……と言う顔になるが、太一が公認冒険者の1人である事を冒険者の1人が思い出し、それが伝染すると、太一をまるで神様の様に扱う。

 そして、蔓延の笑みで、我路が現れる。


「待ってたよ、上野太一君。君が迷宮を攻略すると聞いてびっくりしたよ。まあ冒険者育成学校だし当然かな。……約束通り、今日からみっちり教育させてもらうよ」


 実は太一は、課外授業が決まってすぐ、我路に教育してもらうように約束してもらっていたんだ。


 こうして、太一は酒井と我路に、みっちり鍛えられる事になった。

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