第11話 実践(?)①
登校初日から訳二週間、俺達は迷宮や剣の歴史をひたすらに学び続けた。
そして、今日からようやく、初日巴ティーの見せてくれた様な、プロの術、『迷宮理論』について学ぶ。
クラスに入ると、早速クラス中の生徒が、期待と興奮を胸に、復習に勤しんでいるのがみえる。
俺も当然その気持ちで動いて居る。
席に座ると俺は、早速教材を取り出す。
冒険者育成学校には、三つの教科書がある。
一つ目は『歴史』
これは、迷宮攻略や剣の研究の歴史等が記されて居る物で、未知のアクシデントに対して、過去の事例を知る事によると言う対処法を取るためである。
二つ目は『研究』
迷宮や剣に付いて研究された教科書であり、迷宮や剣の本質を理解する上で最重要の知識が詰まって居る。
一般で言うところの『理科』で、基本暗記メインである。
最後に『冒険者理論』
主に、冒険者として必要な基礎知識、武器の扱い、予習が禁止られていて、詳しくは見れないが、冒険者として必要な、プロの『技術』に関して記された、冒険者になるなら必須の教科書である。
そして今日から学ぶのが、『技術』を学ぶ『冒険者理論』と言う訳だ。
俺は『冒険者育成理論』に目を通し、学習したところをひたすらに復習する。
しばらくしてチャイムがなり、巴ティーが教室に入ってくる。
「皆、おはよう。今日は初日に見せた、あの冒険者に必須のスキルを教えて行こう」
巴ティーがそう言うと、クラス中が、俺が教室に行ってきた時より、一層期待と興奮に満ちる。
「学ぶ事に対して意欲的なのはとても良い事だ、我々としても、モチベーションを持たせると言う最も辛い関門をこんなにも簡単に突破させてくれるのはありがたい事だ。……だがしかし、この訓練をすれば、君達はきっと、その期待と興奮を失うだろう」
そう言うと巴ティーは、右手で指をパチンっと鳴らす。
すると、世界が歪み、気づけば草原に満ち、どこまでも澄んだ青空の広がる、とてものどかな場所に目の前の空間が変化した。
それに対してクラス中の生徒が抱くのは癒しでも何でもなく、恐怖だった。
何故か? それは
目の前に明らかに地球上何処を探しても居ないと断言できる、とても大きく、全員を覆う大きな影を作り出す化け物が、今自分達に、ビームを放ってこようとしていたのだから。
俺はフユを具現化しようとするが、間に合わず、ビームは発射される。
そして、それは一切の容赦なく、全員を薙ぎ払い、意識を刈り取った。
それを確認すると、化け物は唯一消し飛ばれなかった巴に、サイズを合わせ近づく。
巴はそれに触れる。
すると、化け物は砂の様にサラサラと消えていく。
「さてと……今年も頑張るとしよう」
そう言って巴は、剣を握る。
「〈仮想世界——改編Ⅰ〉」
その次の瞬間、太一達は、1人1人が離れた遠くの場所へと飛ばされた。
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