第一章 一学期前半編
第一節 〈一蓮托生〉
第1話 保健室同盟
起きると、そこは見知らぬ天井……だがしかしここが何処かは大体察しがついた。
外から陰で絶対中で何が起きてるかバレるスケスケカーテンに、ジャリジャリの枕、堅くも柔らかくもない微妙な加減のベット、微妙に体全体に掛からない布団。
そして……教員の免許を首に下げた先生が見守っている、なるほどこれは保健室に違いない。
そんななんのタメにもならないどうでもいい考察をしていると、俺が目覚めた事に気づいたその教員の免許を下げ、俺のことを見守って居た先生が、明らかに驚愕の目で見る。
「こんなに早く起きるなんて……!」
なるほど、この先生は、これがあの試合で意識を失った後、意識を取り戻した速度に驚いたのか。
あれだけ体を酷使して、謎の力まで使ったからには2、3日程度だろうか?
「たったの2、30分で回復〜? これは特待生なのも頷けるわ〜」
「え、2、30分?!」
これから10分程、俺が驚くと、先生も驚き、それが続いて、驚き合い合戦をすると言う謎の儀式が続いた。
落ち着いた後、まずは自己紹介をする事にした。
こんな状況でまともに話せる話題等これくらいしない。
「俺は上野太一って言います。好きな事はペットのカメのフユと絡む事、冒険者目指してます」
「
「おねえちゃん?!」
「よろしく、颯太!」
「勝手によろしくされた?! よろしく!?」
「そして〜、さらにその隣に寝てるのが〜、颯太の親友の
「私もバラすんですか先生?!」
「よろしく! 間宮!」
「なんで私だけ苗字呼びなのか分かりませんが、今年から私たち同級生ですし、よろしくお願いします」
勢いだけで友達が二人出来た、なんか嬉しい。
みんな元気が出てきたので、ベットから出て、保健室の椅子に腰をかけ、お話しする事にした。
それにしても、三人ともとんでも無い美形だ。
時雨先生は、肩まで伸びる、水色を薄めた様な髪色に、深海の様な深く濃い青い目をしている。
弟の颯太は、同じく水色を薄めた様な髪で、短髪、目は清水先生とは異なり、深くは無く、普通の濃さの青い目だ。
間宮は、茶色髪のツインテで、目は黒い、何故か絡みやすそうな感じが出ている。
そして付け足すなら、美男美女。
俺の周りの人間は顔面偏差値がバグってると思う。
四人で雑談をして、30分ほど過ぎた。
そこで俺は思い出した、試験の時、対峙して最終的に気絶させてしまった赤羽の事を。
気絶の原因は俺である。
何が有れば申し訳がつかない、その為、一刻も早く状況を知りたかった。
「時雨先生、赤羽はどうなったんですか?」
「ん〜? ああ〜! 赤羽さんですね〜。太一くんより早く起きて、帰りましたよ〜」
「え、俺より早かったんですか?」
「ええ〜! まあでも〜、あっちはただの気絶なので〜、太一くんの気絶は、イレ……ではなくて、普通では無いので〜、はい、太一くんの方がすごいです〜」
「いやどっちが凄いとかは競ってないんですけどね……何か言ってましたか?」
「えっと〜、『約束はちゃんと守るわ、ちなみに、ご令嬢気絶させちゃってやばいんじゃ……とか思ってるなら安心して頂戴、うちの親、そう言うのは理解良い方だから』て言ってましたよ〜、いや〜、流石冒険者ですね〜、ルールやマナー等には自分にも他人にもキッチリと守るのは良い事ですよ〜!」
とりあえず、赤羽に何か問題が起こったり、赤羽家に訴えられたり、などは無い様だ。
戦っててそういうのはないだろうと思っていたが、事実が確定し、俺は一安心した。
俺が一人で勝手に自己完結してると、颯太が話しかけて来る。
「あの! 学校が始まったら、又集まりませんか、保健室で!」
颯太は姉である時雨に視線を向ける。
使って良いかの確認だろう。
「私も保健室も全然大丈夫ですよ〜! いつでも来てください〜!」
「あ、私も大丈夫です!」
三人ともOKサインを出しているとなると、必然的に俺の方に視線が向くのは当然である。
俺は三人の期待する目を振り切る理由など無かった。
「ああ、これからよろしくな!」
四人で集まる事が決定して、三人は喜ぶ。
そこでふと、間宮が提案をする。
「保健室で集まるから……保健室同盟なんてどうですか?」
「おお〜! いいですね〜!」
「僕もいいと思う!」
「よし、それじゃあ今日から俺たちは保健室同盟だ! ま、楽しくやっていこう!」
「「「おー!」」」
こうして、先生を巻き込んだ後に伝説を起こすかもしれない保健室同盟が結成された。
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