第14話 暴走
衝撃で吹っ飛ばされた赤羽は、口から血を吐き、防具をボロボロにしたまま、俺に問いかけて来る。
「あれ……は……どう……やったの?」
赤羽は、衝撃をモロに食らいフラフラになりながら、剣を杖のようにして、どうにか立ち上がる。
「初っ端で、お前の突進を弾いただろう? あれを地面に向かってやった。大空から落ちて来る衝撃を利用して盛大なカウンターを地面にぶつけた訳だよ。正直端から端まで届く計算だったけど、爆心地が一番効くだろう? ちなみに、ずっと空にいたのは、〔防御領域展開〕ってスキル使用中、この盾は空間ごと通らないからか、浮くことができるからな、それでお前が中心に来るまで待ってたって事だ」
それを聞いた赤羽は、笑う。
「あの時、バックした貴方に詰め寄った時点で、この展開は確定してた訳ね……でも残念ながら、まだ終わってないわ」
まさか、と俺は嫌な予感を感じる。
「〔不死鳥〕、これは攻撃した後に、時間差で自らを回復してくれるの……ほら、貴方の切り札もこの通り」
その嫌な予感はあたった、先程までフラフラだった赤羽は完全回復。
こうして、俺と赤羽の戦いはやり直し……いや、俺が若干不利になってやり直しになった。
俺はこの状況に、絶望して居たが……同時に楽しくなってきた。
耐久値が0になり指輪になったフユを指にはめ、剣を構える。
まだ俺の体力は残っている、最後まで足掻こう。
俺は、地面を蹴り、赤羽に接近する。
「その諦めない精神、賞賛するわ。これを見てきた人達の中で、突っ込んで来たのは貴方が初めてよ。良いわ、全力で戦ってあげる」
俺はその言葉に、激しい興奮を覚えた。
剣を交わす、その度に俺はどんどん楽しくなっていく。
もっと、もっとだ、もっともっともっともっと——もっと!!
次の瞬間、俺の一撃が赤羽を吹き飛ばした。
赤羽は、ひどく動揺した、何故こんな一撃が放たれるのかと。
俺もひどく動揺した、何故自分がこんな一撃を放てるのかと。
だが今それを考えるのはやめた、何故なら……この不思議に溢れて来る力さえ有れば、赤羽に勝てると思ったからだ。
「ハァ゛!!」
俺は体制を立て直した赤羽に即特攻を仕掛ける。
赤羽はなす術もなく、また吹き飛ばされる。
そんなやりとりを続けていると、赤羽は気絶する。
どうやら、衝撃を与えられすぎたようだ。
決着がついた為、俺は剣をしまおうとしたが——トドメを刺してしまおうと思った。
そして剣を振り下ろそうとした瞬間——
『ダメだよご主人様!!』
その声が聞こえ、俺はその手を止めた。
他ならぬ、フユの声だ。
どう言う原理か知らないが、どうやら俺は規格外の力でこの試合を制したらしい。
司会が、焦りながら俺の勝利を告げ、観客がこの光景に非常に困惑してるのを見て、俺は、ああ、やらかしてしまったなと思っていると、急にクラクラして……。
バタンと音を立て倒れ、意識を失った。
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