第6話 俺は冒険者になる①
俺はあれから、ギルドに行って盾と、折り畳んで封筒にしっかりとしまってある鑑定書を受け取り、家に帰った。
どうにも見る気にはなれなかった。
何故ならこれは盾なのだ、剣ではない。
迷宮に挑戦できるチャンスを掴める、そう言う代物では無いのだ。
それに、チャンスを掴んだ所で、死ぬ可能性が極めて高いのだ。
俺はこの鑑定結果を見ようが見まいが、なにも変わらないと、そう結論付け、ベットに寝転がったその時だった。
「太一ー! お父さんから手紙と大きな荷物が届いてるわよー!」
その呼びかけに、俺は流しちゃいけない電車に残り時間スレスレで向かって居るかの様な勢いで母さんの元へ行き、そこには告げられた通り、手紙と、細長い箱があった。
少し親父の説明をしておこう。
外見は、俺と全く同じ姿形見で、年をとって少しダンディと言う感じだ。
親父は現在進行形で冒険者をしており、海外のプロチームに入ってる程のベテランだ。
危険だからと置いて行かれた俺と母さんだが、定期的に手紙が来たり、通話をしたりしているので、仲が悪いというわけでは無く、むしろ良い方だ。
そして何よりも、俺があの様な勢いで行ったかと言うと、親父の手紙には心躍る冒険話が沢山詰まっていて、とても読んでいて楽しいのだ。
その為、中学3年生の今でも、ガキのように手紙に食いつくのだが……。
「今回は……冒険について書いてない?」
始めにその一言が書いてあった。
俺は困惑した、何故急に? と。
だがしかし、その理由はすぐに判明した。
「進路についてか……!」
俺は手紙を初めから読む。
『太一へ お前の大好きな冒険話をできなくてすまん。だが、それよりも大事な話があると思ったんだ、そう。進路だ。もっと明確に言おう、冒険者になるのか、ならないのか、についてだ。正直、冒険者は辛い、事実、今回冒険話が出来なかったのは、S級ダンジョンに突如発生したバグに襲われて、入院してるからだ。死にかけた。だけどそれ以上に、冒険者ってのは楽しい、仲間と切磋琢磨する日々、未知なる物質との出会い、低ランクダンジョンは地震直後だけどよ、S級ダンジョンはまさに神秘だ! だから俺は、この先どんなにバグに襲われたって、絶対に冒険者を辞めない。別に太一に押し付けるつもりは無い、なにせ命懸けだからな。だが、少しでもやる気があるなら……一緒に届いてる箱を開けて見ろ、冒険者になる為の、ついでにめっちゃ早めの進学祝いだ。いつかそっち戻るから、がっかりさせないでくれよ。次に……』
そこからは母さんに対してのメッセージになっていた為、手紙を手渡した。
手渡した後、俺は細長い箱に手を伸ばす。
親父からの贈り物……何より、『冒険者になるための』と言う記載が気になった。
宮崎先生と話した時とは違う、別の緊張からから冷や汗を掻きながら……箱の蓋を取り、中身を見る。
そこには——
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