第3話 昔話②

 一年も経ち、地震の被害が迷宮と剣の出現だった為、迷宮と関係のない一般人は、困惑もありながら、普通の日常を送っていた。

 がしかし、ある日、日本の東京都の片隅で、3秒間、信じられないほどの大地震が起きた。

 三秒間でも被害は甚大で、東京都は一ヶ月間完全にストップしてしまった。

 震源地は、ちょうど迷宮がある所だった。

 これはまずいと政府は緊急で研究を進め、ある結論を出した。

 震源地の迷宮は、一週間近く攻略されていなかった。

 つまり、迷宮は一週間放置すると大地震を起こすと言う事だ。

 これは全世界にすぐさま発信され、世界中が、迷宮攻略を国家の最優先事項とし、これまでモンスターがドロップしていた剣を一般人に配り、迷宮攻略をする様に呼びかけた。

 こうして一般人までもが迷宮攻略をし始めたこの一連の流れを、『第一次カラパス』と言い、この大地震が起きる事象の事を、『カラパス』と呼んだ。

 だがしかし、これはちょっとした事件だったのだ、これより起こる真の地獄と比べれば……。

 それは1930年、一般人が続々と迷宮を攻略しにいっている、まさに国民全員で迷宮を攻略している状態だった。

 がしかし、それ故に起きてしまった事件だった。

 今と比べ、迷宮が少なかった1930年では、迷宮の取り合いが起きていた。

 その為、迷宮の前では、過激な行動が見られ、中には殺し合いに発展しそうな所もあった。

 そこで政府は、一般人を一度迷宮から切り離そうと、『迷宮法』と言う新たな法律を作り出した。

 これは今でこそギルドで役立っている法律だが、その頃は役立つどころが破滅を手助けする様な最悪な法律だった。

 何故なら、迷宮の稼ぎと比べた時、どの仕事も給料はゴミであり、迷宮に潜りたいに決まっている。

 その為政府は一般人に、劣化剣を使われた暴動を受け、迷宮攻略は完全にストップした。

 そして、気づけば一週間が起きていた。

 

 日本大陸に小さな揺れが起きた。


 人々は悟った、『終わり』を。

 そして、その通り大地震に襲われた。

 だがしかし、1900年の物と同じく、被害は0だった。

 ——そして、迷宮が10倍に増えた。

 

 正確な数字では無いが、大体1万個程合った迷宮が、一気に10万個以上に増えたのだ。

 後に『第二次カラパス』と呼ばれるこの現象から、当然八英雄だけで対処出来るはずもなく、一般人の迷宮攻略を再度許可した。

 不幸中の幸いか、迷宮の数が増えた為、取り合いはなくなった。

 だがそれはカラパスが起こりやすくなってしまうと言うリスクもある為、現在に至るまで、政府は様々な方法で一般人の迷宮攻略を進めている。

 

 そして人類は、何十年と言う時を経て、今現在2100年、『ギルド』と言うシステムが登場し、東京都に本部を起き、誰でも身近に触れる様に、スマホアプリとしても登場している。

 これは2050年から作成された。

 迷宮法によって、ギルドに登録された『冒険者』以外は迷宮に入れない事になり、登録者は殺到、捌き切れないギルドは二つの条件を出した。

 一つは、初期登録費用10万円、だがこれはギルドとってはどうでもいい、10万は迷宮で儲けているギルドにとって、端金中の端金だ。

 第一、『冒険者育成学校』に入れば免除される為、これは恐らくギルド側からの、『生半可な覚悟でやるな』と言うメッセージだろう。

 

 そしてもう一つ、『劣化剣』、もしくは同等の性能を持っている武具。

 簡単に言うと剣を持っていると言う事だ。

 正直に言うと、これが一番厳しい条件である。

 劣化剣にもランクがあり、F〜Sまである。

 Fランクの剣ですら100万円する。

 ようは剣を用意するコストが物凄い訳だ。


 だからこそ剣は、どんな物でも価値がある。


 では盾はどうなのかと言うと……現状文字通り役立たずだ。

 過小評価してる訳でもなく、本当に役立たずだ。

 そう言われる最大の要因は、ずばりモンスターの攻撃方法にある。

 モンスターは、攻撃時あらゆる物体を貫通すると言う特性を共通して持ち合わせており、盾などあった所で、貫通してしまうのだ。

 ちなみに、そんな貫通する攻撃も、何故か剣だけは適応されない為、剣で攻撃を斬ると言う手段が今最も最適と言われている。

 これも又剣が貴重と呼ばれる要因である。


 とても長々と話したが、つまり何が言いたいか。


 盾は要らん。

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