第4話

地獄の審判炎殺事件報告書


[経緯]

 ○月△日 被害者ジン 人体発火と思われる焼死


 イフリートを名乗る犯行声明あり、殺人事件と思われた。


 ○月□日テッドが違法奴隷取り扱いの罪を自白

 ○月◇日 テッドが自分の煙草で火災を起こし、死亡。

 (後の捜査でイフリートが一部絡んでいたことが発覚)


[結論]

 今回のイフリートと名乗る犯人はクリーニング野の跡取り息子のハリーだった。


[動機]

 彼は幼なじみが奴隷にされたことで奴隷商を恨んでいたようだ(幼なじみが秘書だったのは偶然だったが)。


[ハリーの使用スキルと補足]

 ハリーのスキルは、クリーニング屋らしく、水魔法の洗浄。それと酸素魔法だった。

 ※こちらの世界で酸素と言われても分からないが、ある時異世界人に教えてもらえたらしい。酸素は火を灯すのに絶対必要なものということを。

 それからは火の魔法を補助したり、酸素魔法の他の可能性を模索したりしていた。


[罪と罰]

 直接の犯行ではないが、殺意ある魔法を使ったことで、殺人魔法使用罪が適用。

 2人殺害したことになり、終身刑となった。


[殺害までの流れ詳細]

 ·偶然、実家のクリーニング屋にジンが洗濯の依頼に来た。

·ジンと奴隷商が繋がっていることが分かっていたため、ジンを利用して、テッドをうまく殺し、幼なじみの秘書を解放しようと考えた。

·ジンが常連になるよう、接客を真面目に行い、気に入られるようにした。

 ·その後、定期的に洗濯をするが、その時に酸素魔法を使用し、服についた人から出る油を酸化、蓄積させていった。

(体内の油分は水では落ちにくいことを利用して)

 油の酸化の臭いはこちらの世界では一般的な臭いであり、誰も気にしなかった。

 ·ある段階で、酸化した油に熱が加わることで油が発火。意図していなかったが、人がいないときに勝手に発火したように見え、人体発火と呼ばれた。

 ·イフリートを名乗ったのは炎魔法使いが犯人と誤認させるため。ジンが偶然燃えたことを利用しようと思いついた。

 ·ジンが意図せず、近いタイミングで発火したため、テッドが予想以上に神経質になった。

 ·テッドの人間性を考えると、どこか安全な所に逃げると予想。牢屋が一番安全と日頃から言っていたのを知っていた。

 ·牢屋に入る場合、違法奴隷は解散となると予想。いきなり解散されても、元奴隷は依存体質になっているはず。少し道を示してやれば、簡単に言うことを聞いてくれ、反乱を起こしてくれた。

 ·その隙をついて、黒騎士団詰所にクリーニング屋として堂々と侵入。テッドは煙草が我慢できないため、独房で必ず吸うと予想。

 ·その際、火がつくように、独房の換気扇から酸素魔法で酸素を送り込んだ。(酸素の比重が空気よりわずかに重いことを利用して)。部屋を酸素で満たすことができた。

 ·それに気づかず、煙草に火をつけたときに酸素の影響で激しく燃えたのが今回の事件の真相だった。


[所感]

今回、たまたま火事場で能力を使わなければ、犯人の特定はできなかった。俺もまだまだ観察力と考察力を高める必要がある。


 犯人がイフリートを名乗ったこと、被害者も生きたまま燃えるという苦しみを味わったことなど含め、表題の事件名とした。

 

以上

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異世界探偵は魔法世界に技術で挑む @sen-an-ri

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