第2話
殺しの動機として、憤怒、怨恨、痴情のもつれ、金銭的欲求、性的欲求などイロイロあるが、防衛的な殺人もあるだろう。
誰も犯人を知らないということは、債務者以外の被害者が金銭関係以外で恨みを買っている可能性もあるし、債務者が直接殺そうとしなくても、周りの人間が債務者の誰かを守りたいと思えば、動機になると思う。
ジンの殺害状況から、衝動的な殺人ではないということがわかったのもプラスだと思う。
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ミリアに債務者の再調査と、その他の可能性を確認してもらう。
俺は焼死体を再確認し、あることに気がついた。身体の表面が焼け爛れ、炭化しているような感じではない。そして、焼け爛れた部分は身体の一部が特にひどい。全身が一気に燃えた訳ではなく、身体の一部に火がついたのが、全身に火が回ったような死体であり、焼死体というよりは表皮の20%以上が燃えたことによるショック死が死因だった様に見れた。
昨日の目撃者情報をより確かにするために、俺は先輩に声をかけていた。先輩は「過去視眼」を持ち、目撃者の見た記憶を読み取り動画として保存できる眼を持っていた。俺と同じく、武力がないため、早々に黒騎士団から追い出され、俺と先輩の上司人を嫁にもらい、薬屋として街で普通に暮らしている。
先輩の眼の使用料はかなり高い(眼をかなり酷使するため、薬屋を休業しないといけないため)が、それは黒騎士団に払ってもらおう。
そして、先輩の眼から見たジンの燃焼現場は、俺の思った通り、人体が燃えている訳ではなく、燃え出した服から全身に火が回った様に見えた。
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ミリアの調査にも進展があったようだ。まず、債務者は普通に借金したものも多いが、騙されて借金を負わされたモノも多い。借金が返せないモノは、自己破産なんて出来るわけもなく、借金奴隷に落とされてしまう。騙されて借金奴隷に落とされた人から、情報を得られることを期待することにした。
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結論から言うと、奴隷商は思い当たることが多すぎる様で、違法奴隷を扱った罪をあっさり自白。しばらく独房に入れて欲しいということだった。
奴隷商は違法奴隷の解放を約束させられ、独房に連れていかれた。早く安全な独房に移してほしいということで、違法奴隷の解放は秘書が行うらしい。
しかも、その独房も奴隷商が保釈金を積んだことで、拘束はされていないが、自分から外に出られないくらいで、タバコ程度は吸えるくらいの待遇らしい。
数日後、出来る秘書は苦もなく違法奴隷を解放したようだったが、解放された違法奴隷は当然、奴隷商に対して怒りが抑えられない様で、黒騎士団の詰所に怒鳴り込んできた。かなり手広くやっていたようで、100人近い元奴隷が奴隷商を出せ、匿うなと罵っている。黒騎士団員や、黒騎士団詰所で働いている職員、俺を含めた出入り業者などは裏口から入るが、裏口にもかなりの人数が押し寄せている。
黒騎士団連中のほとんどの人員が、表裏の入り口にて暴動を起こさせないように押さえているが、無実な元奴隷に対して、あまり強くは出れないようだ。どちらかというと説得に力をいれている。
そんな中、火災報知器が鳴り始める。
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発火元は奴隷商の独房であり、中にいた奴隷商が焼け死んだ。早々に火を消すことができ、独房は焼け焦げたが、もともと犯罪者を閉じ込めておくための部屋だけあり、原型は留めていた。そのおかげで他の建物への影響はなかったが、偶然か必然か、最も恨まれている男が呆気なく死んでしまった。
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