2 みんなの驚きと、調べた結果
「え、なんで⁉樹々が上から降りてくるよ⁉」
「というかなんで池川起きてるん⁉脳死じゃなかったの⁉」
「おかしい!どういうことだよ⁉」
下からそんな驚きの声が聞こえてくる。
まあ、そりゃビックリするよね。
ただの人間だった私が、なんかゆっくり上から降りてきたらビックリするだろうし、脳死のはずだった蒼也が目を開け、私と同じように動いていることもビックリするだろうね。
私たち二人は地面に降り立った。
「ど、どういうこと⁉」
依田先生までもが動揺している。
ま、そりゃそやろな。
私じゃ説明できないから、蒼也に説明を促す。
「えーっと。まず、オレは樹々の魔法で飛び起きました。樹々は、青白光魔という魔法の一種が使える数少ない生まれつきの魔法使いです。そして、オレを起こす時に、樹々は青白光魔の、一人一人違う必殺技を使っていたので、オレにも魔法が使えるようになりました。ご了承ください。」
「は、はぁ……」
ちょっと意味分かんない、って顔してる人達がほとんどだけど、そんなの構わず、私は蒼也と話をする。
「これからどうする?」
「青白光魔は瞬間移動以外何でもできる魔法使いだから、…んー…じゃ、柳桜第二小、そして、他の、今までオレが脳死してた、ってことを知ってる奴らの記憶を変える…。その後、このクラスの奴を飛行機飛ばして柳桜第二小に戻す?」
「そ、そんなことできるんだ……」
「んじゃ、早速。樹々は、柳桜第二小の生徒全員の顔を思い浮かべて。樹々は異常に記憶力良すぎるから覚えてるだろ?」
「まあ、一応ね……」
「じゃ、思い浮かべた?」
「うん」
「そしたら、その全員の記憶を変える、と思え」
「全員の記憶…なんて?」
「池川蒼也が脳死していたことを忘れさせる」
「池川蒼也が脳死していたことを忘れさせる……」
「そしたら頭の中青白くなっただろ?それで完了だ」
「え、これで?」
「最初の内はこれで完了。慣れてきたら感覚」
「わ、分かった」
な、なんか難しそうな……。
「んじゃ、飛行機だ」
「分かった」
ふわっ……。
青白い光に包まれた飛行機が、目の前に現れる。
「うわぁ……」
皆感動しているのか、そんな声がちらほらそこらへんに聞こえる。
青白光魔で飛び上がり、もうドアのところにいる蒼也が、声を発する。
「樹々、来ーい」
「う、うん」
私も青白光魔で飛び上がる。
飛行機のドアまで行くと、蒼也に耳打ちされる。
「オレはここにはしご作って、みんなが登れるようにする。その間、樹々、飛行機のセット、よろしく」
「え、え⁉セットなんて知らないよ!」
「青白光魔でできるだろ、『私は飛行機の操縦の仕方を覚えた』って」
「あ、確かに」
「じゃ、よろ」
「おけ」
私はそれだけ言うと、運転席に向かった。
飛行機のセットが完了した時点で振り向くと、もう全員入ったらしく、飛行機出せって蒼也が言ってる。
蒼也もこっちに来るから、多分助手席座るんだろうな。
よし。
私は覚えたとおりの操縦で、飛行機を出した。
柳桜第二小の上まで行くと、止まってろって言われた。
みんなが滑り台で下に降りれるようにするらしい。
それは蒼也にお願いして、私は飛行機をその場に止めることに集中する。
飛行機の操縦の仕方、全く頭の中に入ってないから、魔法が切れると忘れるんだと。
でも、集中すれば大丈夫だと、蒼也は言っていた。
だから集中専念するのだ。
「にいちがににさんがろくにしがはちにごじゅう……」
集中、ってこんな集中の仕方で大丈夫なのかな……?
「あっ、ににんがし」
集中できてないじゃんか……。
「お~い、樹々‼全員降りたぞ‼」
OK、と言おうとした瞬間、座っていた飛行機の運転席も無くなる‼
「うわあああああああ⁉」
「…こんくらいでビビんなよ、目開けろ」
手に暖かいものがくっついたな、と思い、目を開けると、私の手を蒼也が握っていた。
「…これで大丈夫だろ」
「うん…すごい景色」
「だろ?それに、思わなくても、命に関わることは、戦闘の時以外勝手に青白光魔使われるから」
「へぇ……」
私たちは4-3の教室にゆっくりと降り立った。
___その暖かい手を、お互いに握りしめたまま。
きみを、◯◯◯◯◯ ② ~諦められない練習たち~ こよい はるか @attihotti
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