1 魔法の存在

青白い光が蒼也の心臓まで行って、消えた。

これは何?

でも、それよりも大事なことがあった。

蒼也の眉毛が少しピクッとした気がしたから。

え?

ホントに?

そう思って蒼也の顔を覗き込むと……。


「うわあああああああああああああ‼‼‼‼‼‼‼」


という、そ、蒼也様の大絶叫とともに、頭に結構な衝撃が来たんですけれども⁉

「いったあ……」

と目を開けてみると。

「「えええええええええええ⁉⁉⁉⁉⁉」」

やっぱり‼

蒼也と私の頭がぶつかったんだ‼

蒼也、なんで起きてるの⁉脳死じゃなかったの⁉

おかしい‼

「……って、お前ヤバ……」

「え?何が?というかさっきの青白い光は何?というか蒼也起きたから看護師さんに知らせないと‼」

って、すんごい速度で病院の個室を出ようとしたら。

「やめろ‼」

という芯のある蒼也の声が個室に響く。

「え、なんで?」

「おい、説明するから座れ」

「せ、説明って……?」

私は頭に❔❔を浮かべたまま、深刻そうな顔をしている蒼也の隣の、さっきまで自分が座っていた椅子に腰かけた。



私、久保樹々。小学四年生。

今、何故病院の個室にいるかは。

まず、学校で四泊五日の旅行に行くことになって。

行き先の京都を満喫した後の帰りのバスで、実は幼馴染で、今となっては男友達で、えっと……わ、私の……初恋相手の、池川蒼也が、私がぐっすり眠ってたのを、みんながバスを降りて二十分くらい経つまで待って、起こしてくれて、急いで二階バスの階段を降りようとしたら、……蒼也が下に落っこちて。

で、今病室にいるわけなのだけれど。

何故か、蒼也が起きて、私の頭の中はぐっちゃぐちゃになってるんだ……。



「___い、おーい、樹々~?オレの話聞けよ~」

「っ、あ、ごめん」

「えーっと、まず、さっき、青白い光出た?」

「…うん」

「その光は、魔法だ」

「え、ま、魔法?」

「ああ。青白光魔って言う」

「せ、せいはくこうま……」

「青白い光の魔法って書いて、青白光魔」

「え、え……」

「んで、さっきのは、多分必殺技だ。で、さっきのでオレにも魔法が分け与えられた。つまり、お前は生まれつきの青白光魔だ」

「は、はあ……」

「だから、窓から出る。普通脳死した奴は起きれないからな」

「う、うん」

「ほら、行くぞ」

私は蒼也に手を取られる。

蒼也が開けた窓のところを蹴る‼

「うわああ!」

「ちょ、うっせー!怖くないだろ?目開けてみろよ」

そう言われて、恐る恐る目を開ける。

蒼也の病室は十一階だったから、すごく景色がよかった。

「ほら。綺麗だろ?それに、見ろよ。足。青白く光ってるだろ」

「こ、これが青白光魔ってこと?」

「ああ、そうだ」

地面のほうでは目を丸くした4-3のクラスメイト達と先生が、待ち受けている。

「ほら、みんな待ってんだから、行くぞ」

「…うん!」

笑顔でそう答えることができた。

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