第68話 写真
お互いの恋愛話が終わり、少し時間が経ったところで、そろそろ寝ようかということになった。
流美は水着を着替えたのだが……下着の上に、俺が貸したシャツだけを着るというかなり扇情的な服装になった。見えそうで見えない下着と、すらりと伸びた白い脚……。
とっさに視線を逸らしていると、流美はくすくすと小悪魔めいた笑い。
「……し、下は、着ないの?」
「安心してください。寝ている間は布団で隠れますよ」
「それはそうだけど……」
「ほら、明日も学校ですから、もう寝ましょう?」
「うん……」
明かりを消し、二人並んでベッドに横になる。なお、俺は床で寝ようかと一応提案してみたが、当然のごとく却下された。
布団に入ってしまえば、流美がどれだけ露出の多い格好をしていようと関係ない。心を落ち着け、早く眠ろうと思ったのだけれど。
「ああ、そういえば、お見せしようと思っていたものがあったんです。最後に少しだけいいですか?」
「え? うん……いいけど……」
流美がスマホを操作。表示されたのは……かなり露出の多いコスプレをした流美の写真。下乳が思い切り出ていて、もう少しで大事な部分も見えてしまうのではないかという際どさ。
見た瞬間に心臓が跳ね、眠気が吹き飛んだ。
「ちょ、ちょっと! この時間に見せるものじゃなくない!?」
「そうですか? ここで脳裏に焼き付けておけば、燈護さんの夢にわたしが入り込めるかもしれないじゃないですか」
「この写真で印象づけたら、出てくるのは絶対アレな流美だから!」
「ふふ? 素敵なことじゃないですか。夢の中だったら、アレなわたしを好きにしてもいいんですよ?」
「それは確かに魅力的な話かもしれないけどさ!?」
「わたしたちは、まだ恋人ではありません。守らなければならない一線があります。でも……夢の中でなら、どんなことをしたって許されます。だって、夢なんですから」
「そうかもしれないけど……」
「二人でいい夢を見ましょうよ。誰にも話せないくらい、とびきりスケベなやつだといいですね?」
スマホの明かりに照らされた、流美の照れくさそうな顔が見える。
際どい写真のインパクトと、このウブで可愛らしい表情を見たら、本当にドエロい夢を見てしまいそうだ。
……翌朝、女性には見せられない状態で目を覚ましてしまいそうで怖い。
ただでさえここのところ刺激の強い日々を過ごしているというのに、最後の一押しになってしまいそう。
「……それとも、夢じゃない方がいいですか?」
流美の囁きが心を揺さぶりすぎる。
夢じゃない方がいいに決まっているし、望めば夢じゃなくなるのだと思うと、自制心が崩壊しそうになる。
「……ダメだよ。そういうのは、しない」
「そう言うと思いました。最後に、あと百枚くらいこういう感じの写真を……」
「百枚は多すぎるよ!」
「仕方ありません。あと三枚だけ」
「……それくらいなら」
「ふふ。燈護さんって、セールストークにすぐひっかかりそうですよね。最初に大きな要求をされて、その後に譲歩した要求を出されると、人ってその要求をのんでしまいがちらしいですよ? 最初に高いものを見せて、その後に値段の低いものを見せる、なんてのは商売の常套手段です」
「う……。俺、そういうの弱いかも」
「というわけで、あと三枚ですね? これなんかどうでしょう?」
「ぶっ」
際どい際どくないの話じゃなく、ごく普通にパンチラ写真だった。
メイド服を着た流美がひざを立てて座っているところで、スカートの隙間から白い下着がちら見えしている。
「安心してください。これ、見せる用の下着ですから。」
「その違いが俺にはわからないけどね!?」
「次は、これでどうでしょう?」
「うっ」
今度は、やたらとボリュームのあるおっぱいが胸元からこぼれ落ちそうになっていた。何かのキャラクターなのだろうけれど、俺は知らない奴。
「安心してください。これ、シリコンでできたただの付け胸です。巨乳キャラのコスプレをするときに使う奴です」
「そんなのもあるの!?」
「色々ありますよ? 今度、一緒に見に行きますか?」
「……興味はあるけど、遠慮しておく」
「残念です。最後は、これで」
「なっ」
最後の一枚は……コスプレでもなんでもない。どこかの露天風呂で、バスタオル一枚を体の前に垂らし、大事な部分だけを隠している流美だった。
背景に美しい空や秀麗な山々が見えているのも相まって、何かのアート写真でも見せられているかのようだ……。
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