第28話 新しい家と家族・・一枚の手紙

ーー 新しい我が家



ここで僕の王都の家について話しておこう。

今まで僕は、中央教会関係の施設で生活をおこなっていたのだが、皇教様が

「使徒様に相応しい家を用意しましょう。」

と言われ、王都に僕の自宅を与えてくれたのだが、今まで使用する必要が無かったので使っていなかったのだ。


アーヤ達と一緒に暮らすことになった今、王都の自宅に住むことにしたのだった。


自宅は屋敷と言っていいほどの大きさがあり、常にメイドと執事が常駐していて何時でも対応できる様になっていた。


馬車で屋敷の門を潜ると、門番と言える者が

「お帰りなさいませ。使徒様。」

と迎え入れ、すぐに現れた執事が

「この屋敷の専属執事のガレイと申します。何かございますれば私に。」

と言いながら屋敷内に案内してくれた。


するとエントランスに10人ほどのメイドや調理人その他の者が揃い

「「お帰りなさいませ。」」

と頭を下げて迎え入れてくれた、その様子を見てアーヤやミルは目を見張って驚いていた。


そこで僕は、

「僕の家族を紹介するね。この子がミル、そしてこの子がアーヤという僕の妹達だ。

それとエストレーナは知っていると思うが彼女はお姉さんだから覚えておいてね。」


と言うと、執事のガレイに

「僕の家族に部屋を案内してもらいたいのだが大丈夫かな。」

と問えば、


「勿論大丈夫でございます。使徒様は勿論他の家族の方々のお部屋に案内させてもらいます。」

と言うとメイド頭と思われる女性に指示をしていた。



その後僕らはそれぞれの部屋で寛ぐと夕食の時間まで一人の時間を楽しんだ。



ーー アーヤとミル  side



私たちは二人とも家族が一族に捨てられたり殺され生き残ったりして天涯孤独となった二人。


そんな私たちを助け、拾って、家族だと言うカムイお兄ちゃんに付いて人族の国の王都にやって来た。


見たことも聞いたこともない様な人の数と大きな建物に驚いていたら、大きなお屋敷に着いた。


そこはカムイお兄ちゃんの家の様で、たくさんの人が出迎えてくれ、私たちにまで優しくしてくれた。


1番驚いたのは、自分だけの部屋、と言っても昔住んでいた家ぐらいの広さがあるのだが、そこが私だけの部屋だと案内されたことだ。


余りにも広く豪華な部屋に居た堪れなくなり、思わず隣の部屋のミルの部屋に入り二人で一緒に色々と見たり触ったりしながら時間を過ごしました。


本当にカムイお兄ちゃんは、使徒様と呼ばれている立派な人の様です。



ーー 報告と僕の使命



次の日、僕は中央教会の皇教様の部屋にて報告をおこなっていた。

「・・・、と言うことでゼスト王国は、この世界から消えましたので報告します。」

と報告を終えると皇教様は、

「お疲れ様でした。魔物のスタンピードを利用し我が国を蹂躙しようと画策するなど、恐れを知らぬ者達でしたね。

その為に、家族を失ったケットシーや迫害を受けたハーフエルフの子供などを養子として家族に迎えたことは良かったと思います。

今後も貴方の両親に沿って判断をしてください。」

と僕の判断を認めてくれた。




ーー 聖騎士エストレーナ  side



私は今実家を訪れている。

その理由は、使徒様が私の事を「家族でお姉様だ。」と仰ったからだ。


今までもこの身を使徒様に捧げていたのだが、今回のお言葉で名実ともに使徒様の家族として使える為に実家に挨拶に来たのだ。

「父上、母上今まで私を育ててもらい大変感謝しております。

この度、使徒様から家族にと言われ私はこの家を離れることに致しました。

これからは使徒様の元で私の生き様を見ていてください。」

と言うと、父上は


「お前の気持ちは分かった、存分に使えるがよい」

と言い、母上は

「身体だけは気お付けてね、それに貴方かなる若返っていない?」

と言われ、

「はい、使徒様の聖なる気を受けると私は若返って今以上に尽くす時間をいただけるようです。」


と答えると、

「出来れば結婚をしてもらいたかったけど・・。」

と心残りがある様だが私は、


「私は、使徒様と共に生きる道を選びました。後悔は無く喜びしか感じていません。本当に今までありがとうございました。」

と感謝を伝えると、身の回りの品を持って家を出たのであった。




ーー 中央教会にて



シスターアリアに会う為に僕は、中央教会の一室を訪れていた。

「昨日戻りました、詳細は皇教様に報告済みです。それとは別に僕に家族が出来ました。」


とアーヤやミルの話をしてエストレーナをお姉さんにしたと言うと。

シスターアリアは、笑顔で

「それは大変いい事ですね、家族を大事にしてください。」


と喜んでくれた。




ーー  王都での生活



僕はしばらく王都で生活することにした、それはアーヤやミルが早くこの生活に慣れるようにという配慮であった。


どこかびくついていた二人も3ヶ月程すると、かなり慣れてきた様で安心した。


中でもエストレーナのお姉さんぶりは、非常なもので楽しい我が家の名物となりつつあった。


エストレーナが言うに

「私には、兄弟という者がなくこんな可愛い兄弟が出来たことに毎日興奮しております。」


と喜んでいたが少しばかり、シスコンが強い感じがしていますが・・良いでしょう。




ーー  一枚の手紙



どこんな感じで王都の生活を満喫していると、屋敷の僕宛に一通の手紙が届けられた。


その手紙は、辺境の教会を通じて届けられたもので

「使徒様にお願い申し上げます。私は、開拓村エースに両親と住むカエデと言います。この村は今とても大変な危機に遭っています、それは食糧不足と魔物の脅威それと病気です。

どうかこの危機から村を助けてください。お願いします。

       エース村  カエデ          」


と書かれていた。


調べてみるとこの村は、この国西端に位置する辺境の開拓村で手紙の様な状況が続いており、周辺の改革村の多くが廃村となっている様だ。


僕は人々を助ける為、新たな旅に向かう事を決め準備を始めました。

この旅には、家族みんなが同行すると言ってくれました。

「さあ、皆んな人助けの旅に向かうよ。馬車に乗って!」

と掛け声をかけ馬車を走らせたのだった。

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