第8話

「じゃあ、僕から言ってくね。と言っても、黒月こげつと報告内容はそんなに変わんないかな?合同報告でもいい?」

「ん、りょーかい。」

もし誰かと報告内容が被る場合、同じ内容を二回聞くのは流石に会議進まないし、合同報告をするっていうルールがある。

「え~と、新しい情報は残念ながらなかったね。」

調べてもなかなかいい情報は出てこないんだよね~。

「私の伝手つてに当たっているが、今のところは全部空振りだな。無駄足にもほどがあるというものだ…。」

黒月こげつ溜息ためいきをつきながら言う。

確かに、色々黒月こげつ伝手つてを頼ってみてるけど、行ってみても全部空振りなんだよね~。残念残念。

「まあ、しょうがねぇな。

―――ってか、お前まだそっちの伝手つてあったんだな。」

紅月こうげつは意外そうに言った。

「別に全員が私を嫌悪して追い出したわけじゃない。伝手つてはいくらでもある。」

黒月こげつは元々捨て子だったけど、そこからマフィア、だっけな、に拾われて、そこで戦いのすべを身に着けた。そのあと、マフィアが壊滅。また路上生活していた時に、父さんに拾われた…らしいね。

「そうかよ。」

紅月こうげつは少し不機嫌そうな雰囲気を纏う。

少しの間の後、紅月こうげつはまた司会を進める。

「それで全部か?」

「そうだよ~。」

「んじゃ、次青月せいげつ。」

「はい。私が集めた限りでは、特にこれと言って特筆すべき情報はありませんでした。元使用人からの有力な情報もありましたが、調べたところ、すべて空振りに終わりました。有用な情報を集めることが出来ず、申し訳ありません。」

青月せいげつはいつものように淡々と話していく。

最後に謝っているのは、使用人としての癖かな。

昔は、何故か僕と同じ親で血が繋がっているのに、扱いが違った。

僕はありえないぐらいの好待遇と言えるような扱いを受けていたのに、青月せいげつは使用人と同等、なんならそれ以下の扱いを受けていた。

僕はそれを見て、なんでかと思っていた。

意味が分からないだろう。

ホント、意味が分からない…。

「じゃあ、次私報告していい~?」

昔のことを思い出していると、いつの間にか会議が進んで次に黄月おうげつが報告を始めようとしていた。

「ん、いいぞ。」

「じゃ、報告しま~す!」

そういえば、黄月おうげつ最近何か調べたりしてたかな?

青月せいげつと何か企ててるみたいだし…。

ちゃんとした報告、聞けなさそうだなぁ。



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