第7話

「ただいま~黒月こげつ起こしてきたよ~。」

「眠い…。もうちょっと寝させろ…。バカやろう…。まぬけやろう…。」

おかしいな~起きたときはちゃんとしてたのに、たった数秒で戻っちゃった。

せめてもう数分保っててくれたら、戻らないで済んだんだけど…。

無理だったかぁ…。

「もう~。眠いからって暴言吐かないでよ~。軽く傷つくよ~?」

いや~それにしても、完全脱力した人間を運ぶって、かなり体力がいるね~。

久々の重労働で結構疲れたよ。

「お前らは相変わらずだよな、ほんとに…。」

紅月こうげつにも呆れられてしまった。

まあ、皆にとってはあまり見ない光景だからね~。僕は毎朝見てるけど。

「眠いんだよ…。寝させろよ…。」

やっと黒月こげつを座らせられたけど、愚痴はやっぱり止まらない。

「まあまあ、文句ばっかり言ってないで。定例会議終わったら寝させてあげるからさ。定例会議ぐらいはちゃんと出ようよ。紅月こうげつのためにもさ。」

なるべく黒月こげつのやる気が出るようなことを言うのが、こういう時は最適解だ。それを即座に考えられるのが僕。地味に凄いと思う。

「たーだーいーまー!!!」

そんな少しやる気のない空気の中に、やる気満載の元気な声が響く。

「うるせぇ…。なんでもううるさくなってんだよ…。さっき青月せいげつに怒られたばっかりだろうが…。ああ、うぜぇ…。」

紅月こうげつの空気、変わり過ぎじゃない?

態度がさ、なんていうか、違い過ぎない?好み分かりやすっ。

「いや!!ひどくない!?さっきと変わってないよ!私への感想が!」

「うるさいです。お姉さま。」

いつもの調子でコントが出来そうな黄月おうげつ青月せいげつ

「眠い…。寝させてくれ…。」

「はいはい。定例会議終わったらね。」

僕らも何となく違うけど、何となく同じ今日。

そしてすでに定位置についている紅月こうげつ

みんなが久しぶりに定例会議に出席した。

何となくみんな集まって、何となくみんな定位置につく。

それを見て、紅月こうげつがいつもの号令をかける。

「んじゃ、ちょっと遅いが、定例会議始めっか。」

「「「「了解!」」」」

この雰囲気が、僕は好き。

みんなで協力して、一致団結?だっけ、で進んでいく感じ。

「じゃあ、まずはそれぞれ昨日集めた情報の開示。白月しげつから終わり黄月おうげつな。」

紅月こうげつは少しのの後、そう言った。

いつも通りの報告順番だね。黄月おうげつ青月せいげつが何か企んでそうだし…手短に終わらせようかな。

「じゃあ、僕から言ってくね。」

そうして、今日のいつもとちょっとだけ違う定例会議は始まった。


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