第6話

「全く、あいつは騒がしい奴だな…。」

紅月こうげつが呆れたように言う。いつも通りだなぁ。

「そうだね~。落ち着きなさ過ぎて心配だよ。」

思わず苦笑いをする。こういう時でも、笑顔は絶やさない。

「そういや、定例会議してねぇじゃん。」

紅月こうげつはやっと大事なことを思い出したようである。

「そういえば、そうだね~。朝から色々あったから、みんな忘れちゃったみたいだね。」

本当に、皆忘れっぽいよなぁ。

「ああ~。まあ、忙しいってか、騒がしかったからな。悪いが、とりあえず黒月こげつ起こしてきてくれねぇか?まだ寝てんだろ?」

今日は黒月こげつも参加か。連れてこれるかな?

「うん。そうだね~。まだ寝てると思うよ。さっきも寝てたし…。基本12時にならないと起きないからね~。」

黒月こげつの朝の弱さには、初めて見たときはびっくりしたなぁ。ここに来てから初めての朝は朝ご飯の時間になっても起きてこなくて、お父様が起こしに行ったら物凄く暴れて手が付けられなくなったんだよね~。

で、結局僕が黒月こげつと朝ご飯食べるって話になって、最終的に自力で起きたのがお昼の12時。あれはビックリしたなぁ~。いい思い出だよ。

「何でそんな時間じゃないと起きられないんだよ…。」

「さあ?朝が苦手だって、言ってたけど…。」

「苦手でも、定例会議の時間ぐらいには起きてくれねぇかな~。」

紅月こうげつは愚痴をこぼす。

本人がいないから言ってるんだろうけど、僕的にはあんまり僕の前でも言ってほしくないんだよな~。

「う~ん。なるべく頑張ってもらうように言っておこうかな。」

言わないけど。

「そうしてくれ。」

「じゃあ、黒月こげつ呼ぶ…じゃなくて、起こしてくるね。」

「おう。」

紅月こうげつ黒月こげつ愚痴を聞きたくなかったので、僕は若干早足で黒月こげつのいる部屋へと向かった。

黒月こげつ~寝てる~?」

「寝てる~。」

「起きてるじゃん。」

「眠いんだよ。」

黒月こげつはONOFFの差が激しくて、テンションが全くと言っていいほど違う。違い過ぎて最初ビックリした。まあ、そんなところにも惹かれたんだけど。そしてOFFの姿は僕にしか見せないから嬉しい。そして可愛い。

紅月こうげつが定例会議やるから来てだって。」

用件を伝えると、黒月こげつはあからさまに嫌な顔をした。

「睡眠阻害してまで参加させられなきゃいけないのか…?というか、今までは出なくていいって言ってたじゃないか。今まで出たことないし…。」

「まあまあ、とりあえず今日は色々と異例の事態が起こりそうだから、一応行こうよ。何か寝るよりもいい事があるかもよ?」

僕はなるべく黒月こげつが自然と起きたくなるような言葉を並べる。

無理やり起こすのは僕としてもやりたくない。

「う~ん、白月しげつがそこまで言うなら…。」

黒月こげつは何とか起きる気力をひねり出してくれたみたいで、ゆっくりと起き上がった。

「おはよう、黒月こげつ。」

「おはよう、白月しげつ。」

朝の挨拶を改めてして、僕らはホールに向かった。



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