第3話

黄月おうげつお姉さま!!!」

「ひゃっ!!」

ホールと廊下の繋ぎ目に、その子は立っている。

その視線の先には、一人の黄色い少女と、一人のあか色の青年がいる。

「やっと来たか。待ちくたびれた。さっさと黙らせてくれ。」

あか色の青年は呆れたように棘のある言葉を吐く。

それを聞いた黄色い少女はショックを受けたような顔をして、青年を見上げる。

「えっ⁉ちょっとひどくない⁉私がうるさいって言いたいの⁉ねぇ、ひどくない⁉私そんなにうるさくした覚えないんだけど⁉ねぇ!!」

う~ん、うるさい。

うるさくした覚えないって、今現在進行形でうるさいんだよなぁ…。

「いや、お前うるせぇだろ…。うるさくねぇはずねぇからな。」

あか色の青年はさっきよりも棘のある言葉を吐く。

「あああああああああああ!!!!義弟おとうとにうるさいって言われたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!しかも二回!!二回!!わああああああ!!!!」

やっぱりうるさいなぁ…。

しかも、さっきよりもうるさいから耳が壊れそう。

鼓膜破けちゃうよ。

そこに青色の少女が近づいて行く。

黄月おうげつお姉さま。タメ口で喋らせていただいてよろしいでしょうか?」

「へっ?いや、うん、まぁ、良いけど…。」

いいんだ。

多分紅月こうげつも同じこと思ってるなぁ、あの顔は。

「では、失礼…。」

そうして一呼吸置くと、一気にまくし立てた。

黄月おうげつお姉さま、なぜ毎回毎回私が言わないとうるさくする病が治らないの?あほなの?というか何でいっつもうるさいの?叫ばないと気が済まないの?なんで?いい加減私もこういうしょうもないことで怒りたくないんだけど、どうにかしてくれない?はやく直さないと私そろそろ絶交するよ?別れるよ?」

うわぁ…ホントにタメ口でギッザギザの言葉を吐いたな…。

これはもうこの子にしか手が付けられないな。

「えっ。えっ?えええええ…?えっ?うそ…だよね?うん。嘘だよ。だって青月せいげつが私と別れるなんて言うわけないでしょ?うん。そうだよ。言うわけない言うわけない。うんうん。」

う~ん、ばっちり言ってたな。嫌われたくないのと、自分の狂愛情とで言い聞かせて納得しようとしてる。ダイナマイトよりも危ないかも。


逃げよう。


僕は身の危険を感じて、黒月こげつのいる自分達の部屋へと帰った。

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