陰晴という男の本質
時は遡ること数時間前、死霊王の使いが学校に悪魔と仲間を送りこんだときに遡る。
その時、学校から家へと帰って、いつもの様にイトとイチャイチャしていた陰晴の元に眷族から勇気を狙う組織が現れて、上級悪魔にとある組織の者が勇気を狙って襲いかかろうとしているという事が伝えられていた。
「おう。そうかそうか。もう来たか。いやはやいつか来るとは思っていたけど、思ったよりも早かったな。で?それはどこの組織だ?」
その報告を聞き、陰晴は特に慌てることなく、冷静に対処をする。
「はい。それが死霊王の使いではないかと考えられます」
眷属の報告を聞き陰晴は考える。
「なるほどね。死霊王の使いか。なるほどなるほど。それはまたヤバい所来るね。確かにあそこには予言能力持ちの超能力者いたから勇気という存在を見つけるのも可能そうだし。死霊王復活の為に勇気を生贄というのも凄くアイツらが考えそうなことだし。なるほどそう考えると確かに死霊王の使いが来るのはある意味当然か」
「それで。主様、どう処理いたしましょうか?」
眷属の問いに陰晴は一呼吸を置いてから答える。
「どう処理か、そうだな。取り敢えず上級悪魔一体だけ、勇気の所に送り込め。ほんで後は殺せ。あ、それと一応他の生徒が来ない様に勇気の周りに人除けの結界も張っておいてくれ」
何故、上級悪魔を一体だけ勇気の所に送り込んだかというと、ズバリ勇気の成長の為であった。
今の勇気は弱い。そう勇気は弱いのだ。弱いからこそ自分で自分の身を守れない。もしも勇気はある程度の力を持って自分で自分の身を守れるようになれば、それはそれでいいのではないか。
そう陰晴は判断をしたのだ。
「はい。分かりました。主様。ではそのようにいたします」
「おう。そうしてくれ。じゃあ俺はイトとアニメ見てるからことが終わったら教えてくれ」
「はい。分かりました。主様」
10分後
「終わりました。主様」
「おう。終わったか。それでどうなった?」
「はい。猫子が自分の能力を少し明かして上級悪魔を殺しました」
「ああ、なるほどね。何となく理解したわ。ほんで、お前ら死霊王の使いの本拠地は分かったか」
どうやら勇気は成長しなかったようだな。陰晴はそう思いながらも勇気の成長はまたの機会でいっかと結論を出す。
「はい。一応幾つか目星は付けました。しかし。まだ確実ではない為。後1時間程いただけないかと」
「1時間か、うん。いいよ待つよ。じゃあ。その間は普通にイトとゲームしたり眷族を創ったりしてるわ」
「はい。分かりました。主様」
1時間後
「主様調べ終わりました」
「あ、もう終わったか。ちょっと今見てる映画が良い所だから。終わったら聞くわ」
「はい。分かりました。主様。では主様の都合がつきましたら私をお呼び下さい」
「オッケー」
1時間30分後
「おい。バトラー終わったぞ。じゃあ。今から死霊王の使いに喧嘩売りに行くか」
「はい。分かりました。主様」
「よし。というわけで案内しろ。案内が終わったら適当な所で待機してろ。後は俺が一人で全部潰す」
「はい。分かりました。主様。ではお気をつけて」
「ああ。まあ無傷で戻って来るよ」
かくしてその言葉通りに陰晴は一つの犯罪組織を無傷で潰して、戻って来たのだった。
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補足説明
主人公こと陰晴に対して報告を行う眷属は基本的にバトラーです。
バトラーは一応この作品の最初の方でもちらっとだけ出ているキャラです。
一応物凄く簡単に言えば主人公の眷族の中でも最強の存在に与えられている三天魔の一人であり、眷族統括係及び主人公の雑用係を担っている存在です。
バトラーは定期的に出てくる準レギュラーキャラです。
容姿は適当に初老の執事でも思い浮かべて下さい。
後、バトラーはめちゃくちゃ苦労人です。
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前話のあの惨劇の犯人は皆大好き主人公こと陰晴です。
何だかんだで陰晴は過去のこともあり、殺しというのに一切の躊躇いがありません。
それこそ必要があれば人間も一切の躊躇いなく殺せるのが陰晴であり、偶にある絶対に人を殺せない正義感に溢れている主人公とは違います。
なお、勇気はその絶対に人を殺せない正義感に溢れているキャラなので、陰晴と勇気では考え方に大きな違いがあり、本質的には絶対に相容れません。
実際に相容れなくなるシーンがいくつか出てくる予定です。
なお、陰晴は本質的には自己完結している存在であり、越田という極一部の例外こそいるものの、基本的には自分と自分の創り出した眷属さえいればいいって考え方です。
それこそいきなり超級悪魔が現れて街を崩壊させていても、第一声は「ああ、街崩壊してんな~~~」ぐらいで済ませてしまいます。
これが勇気であれば「ふざけるな。今すぐにあの悪魔を倒してやる」てな感じで正義の心に燃えます。
ようは陰晴にとって、自分と自分に大切にする存在以外は割と至極どうでもいいのです。
それこそ1話目で白木さんを助けたのは越田が悲しむからであり、もしも越田がいなければ普通に見殺しにしてました。
何故なら陰晴は他の人間に対してどうでもいいと思ってるから、そして陰陽師というのが嫌いだから。
一般人であれば、両親から教わった陰陽師・聖職者としての軽い義務感のようなものから助けますが、陰陽師と聖職者は嫌いだから助けない。
今、助けないと死ぬなってのが分かってても、余程な理由がない限り助けない。それが陰晴という人間です。
だから前も説明したのですが猫子の両親も本当は助けられる立場にあったけど助けなかったのです。それが陰晴です。
酷く歪で、完璧に自己完結していて、気に食わないことがあればそれ相応の地獄を相手に見せるし、気に入った相手がいれば、しっかりと手助けはしてあげる。
業値というのがあれば完璧なる0を表すのが陰晴であり、聖人のように大多数を救うこともあれば化け物の様に笑いながら鏖殺を出来る。
それが陰晴です。
まさしく陰と晴。
陰晴にとって大切なのは自分が楽しいか否かと自分の心がどう判断をするかであり、圧倒的に絶対的に自由気ままな存在です。
だから今回の話においても、バトラーの報告を映画を見てるからと止めさせたりしてます。
もしもその間に死霊王の使いが拠点を変えて逃げていたとしても、その時はその時で、じゃあ放置でいっかという考え方をしてしまうのが陰晴です。
そんな陰晴の座右の銘は【楽しいことが一番重要だよ】であり、自分が楽しいと思えることを最優先とします。
という訳で一応、ストックがあるので、そんな歪な陰晴の様子が見れる描写はチラホラともう既にいくつか書いていますので今後出てくる予定です。
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陰晴の性格が気に入って下さいましたら星やハートを入れていただけると嬉しい限りです。
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