勇気は厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】に挑む決意をする
今日学校に行こうとした時にいきなり学校側からメールが来て学校に殺害予告に爆破予告。更には夜中に不審者が忍び込み学校を荒らしたということで休校になったと連絡が来た。
中々の事態に少しビックリしつつひょんなことから空いたこの時間を何に使おうか考える。
久しぶりにゲームをするのもいいし、普段からお弁当でお世話になっている。猫子に何かプレゼントを買いにいくのも良いかなと思う。
あ、でもそれだと白木とマリアンヌが不公平だし。三人に何か買ってあげないと、そうなると何がいいかな?
そんなことを漠然と考えていた時だった。
プルプルプルプル
猫子から電話がかかって来た。
そういえば前のお昼休みに連絡交換したな。
そう思いながら、もしかしてデートのお誘いとか?っていう淡い期待を込めて電話に出る。
「はい。もしもし。どうしたの猫子?」
「勇気さん。大変です。前、私が超能力者だってことを伝えましたよね」
昨日の昼休みに猫子から来た当然のカミングアウト。もちろん覚えている。その時はめちゃくちゃ驚いたけど。白木という陰陽師にマリアンヌという聖職者がいるんだ。何らおかしくないと納得はしていた。
「ああ、聞いたけど」
「それで、私の知り合いの超能力者に部分的な未来予知を使える人がいるんですけど、その人が今日、私達の通う学校に厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】の一部の出現すると予知しました」
「何だって。すまん。その厄災級悪魔・七つの大罪【嫉妬】というのは何だ。いや名前からしてかなりヤバい存在というのは分かるのだが」
「本当にヤバい存在です。下手したらこの町、いいえ、国が滅ぶレベルの」
「マジで?」
「はい。大マジです。実際に過去に厄災級悪魔・七つの大罪・嫉妬は幾つかの国を滅ぼしていますから」
「そんな恐ろしい存在が・・・・・うちの学校に」
「はい」
「でも、そんなの俺に勝てるのか?俺は確かに強い。でも前のゾンビ事件の時は敵に一切歯が立たずお助け仮面に助けられたし」
「卑屈にならないでください。勇気さん。勇気さんは強いです。とてもとても強いです。それに厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】の持つ能力は相手の能力を強化コピーして自分の物とするという物です。ですが成長力の塊である勇気さんならば強化コピーされても、それを超える成長をして敵に勝てると信じております」
「そうか。分かった。やってやる。俺はやるぞ」
「その意気です勇気さん。さあ、私と一緒にこの国を救いましょう」
「そうだな猫子」
「それでは私は一足先に学校に向かっています。勇気さんも来てください」
「ああ。分かった。すぐに向かおう」
※当たり前ですが猫子は陰晴の仕込みです。
――――――――――――――――――
「白木。マリアンヌ。二人とも来ていたのか」
学校の校門付近にはすでに白木とマリアンヌがいた。
それと不思議なことに学校に行くまでに誰ともすれ違わなかったし人の気配すら感じなかった。おそらく偶々だとは思うが、もしかしたらの最悪の事態を考えれば凄く都合が良かった。
「はい猫子に呼ばれて」
「私も猫子ちゃんに呼ばれまして」
「そうだったのか。で?肝心の猫子は何処だ?」
「ここですよ。勇気さん。さて、厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】が出て来るまで後残り2時間もありません。それまでの間に作戦会議と仕掛けをしましょうか勇気さん」
そこそこ大きなバックをその小さな体躯で一生懸命背負っている猫子が俺の後ろにいた。
「おう。そうだな。というかいつの間に俺の後ろにいたんだ」
「いつの間にって今はそんなのどうでもいいじゃないですか。さあ、それよりも作戦会議と仕掛けでですよ」
「お。おう。それでその作戦会議と仕掛けって何だ、いや作戦会議は分かるのだか仕掛けって何?」
「あ、はい。仕掛けってのはですね。簡単に言えば罠です。今から私達が相手にする厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】という圧倒的格上。といっても、本体の極一部の欠片のような存在ですが。それでも相手が相手です。正攻法ではまず勝てません。ですので罠を張って弱らせます」
「なるほどね。で具体的にどうするの」
「それは聖力と霊力を使った多重結界と触れた悪魔の悪魔力を吸収する吸引君を投げる仕組みです」
「ちょっと待って。聖力と霊力って相反するものでそれを使った多重結界なんて出来るの?」
「はい絶対に出来ます」
猫子はそう言い切った。信じて疑わない、絶対に出来るという強い意志を感じた。
「分かった。じゃあ私は猫子を信じてみるわ」
「ありがとうございます」
「私は勇気様が猫子ちゃんのことを信頼しているので信じます」
「マリアンヌさんありがとうございます」
「いえいえい、全ては勇気様の為です」
「では。二人からの同意を頂けましたし、今から聖力と霊力を使った多重結界の貼り方を説明します。まずは学校のグラウンドの中央に行きましょうか?結界なんで中央に張らないと効果が薄いので」
「そうだね」
てくててくてくてく
何とも言えない緊張感の中、三人は歩く。
「さてと、じゃあグラウンドの丁度真ん中に到着しました。では勇気さん立った状態で右手でマリアンヌさんの手を左手で香の手を握ってください」
「こうか」
二人の手を握る。
二人共緊張をしているのか、少し手汗をかいていた。なんかこうその手汗が少しヌルヌルってして、ちょっとエロい。じゃないが、変な気分になりそう。
「何か。少し照れるわ」
「私もです」
「俺は何か恥ずかしくなってきた」
「三人とも今は真面目にやっているので、真面目にお願いします。というか状況分かってます?」
少し頬を膨らませて怒る猫子。ちょっと可愛いなと思ったが、確かに今はそんなことを考えている状態ではなかった。
「あ。すまん、猫子」
「私もごめん」「ごめんなさいです」
「ならば、よし、では香はそのまま勇気さんに向かって霊力を送り込んでください。マリアンヌさんも勇気に聖力を送り込んでください」
「分かった。やってみる」「送り込むだね?」
二人の聖力が綺麗に渦巻いていく。
「二人とも良い感じです」
「あのう。猫子。何か身体が熱くなってきたんだが」
「それで大丈夫です。では次に勇気さんはその熱くなってきた、熱というか聖力と霊力が混ざった力を外側に押し出していって下さい」
「押し出す?それでいいのか?」
「はい。結界にする作業は私が手を加えますから」
「そうか。じゃあ押し出していくよ。うおおおおおおお」
勇気の体から厚い濃い膜が生まれて円の形に広がっていく。
「凄いですね。流石勇気さんです。ここまで濃いのが出るとは」
「ちょっと、猫子、そんな卑猥な言い方しないでくれよ」
「あ、すみません。でも想像以上に勇気さんの力が強くて、濃くて。これならかなり強い結界が張れます。というわけで後10分程頑張ってください」
10分後
しっかりと結界が出来上がる。
「ようやく終わった」
「もう、くたくただよ」
「私も疲れました」
俺もそうだが、白木もマリアンヌは相当に消耗してしまっている。
それだけ結界を張るというのに力を使った。というか今から戦いが控えてるのに、こんなに力を消耗して大丈夫か?
「お疲れ様です。では皆さんこれを飲んでください」
猫子が大きなバックから瓶に入ったジュース?のようなものを三本渡してくる。
「これは何だ?」
「特殊な栄養剤です。飲んだら、あら不思議疲れが一瞬で無くなり元気に溢れるという優れ物です」
明らかにヤバそうな気はしたが、猫子からプレゼントだありがたく飲むことにする。
「そうか。じゃあありがたく頂くよ」
ごくごくごくごく
「プハ~~~。何だこれは凄く美味しい。優しい甘さに爽やかな喉越し、それに飲んだ瞬間体の疲れが一瞬で吹き飛んだよ。凄いな」
「確かに。凄いわ。こんなものがあるなんて知らなかったわ」
「私もです。是非教会で販売したいくらいですわ」
「ハハハ、そう言ってもらえると嬉しいよ。でもこれあまり多く持ってないし、作るのも私の上司が一人でやっているから生産数も少ないんだよね」
猫子の上司、誰かは分からないが、ありがたい。ありがとう。
「そうなのか。それはしょうがないな」
「でも。これなら、充分戦えそうだね」
「ああ。そうだな。よし、俺達の力で厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】を食い止めてこの町の、ひいては世界の平和を守るぞ」
俺は声に出して再度決意をする。この町を皆を守るという強い決意を。
「そうですね。勇気さんなら絶対に勝てますよ」
「ありがとう。猫子、そう言ってもらえるとなんかやる気が出てくるよ」
「私も勇気君なら絶対に勝てると思ってるよ」
「私も勇気様なら大丈夫であると信じております」
「白木、マリアンヌ・・・ありがとう。俺、頑張るよ。だから皆も力を貸してくれ」
「うん」「もちろんだよ」「当たり前です」
かくして俺は4人の友情を深め、厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】へ、闘士を燃やすのだった。
―――――――――――――
面白いと思って頂けましたら星やハートを入れて頂けると嬉しい限りです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます