厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】
火曜日
いつもの様に朝、眷族からの報告を聞いていた時だった。
報告係であるバトラーから想像の遥か斜め上を行くような重大な知らせが来た。
「主様大変です。主様の通われてる学校の地下に厄災級悪魔である七つの大罪・【嫉妬】の封印体の一部が埋まっていました」
「え?マジ?」
「はい。マジです」
「マジか、因みに一部ってどれくらい?」
「まだ確実ではありませんが。千分の一くらいです」
「千分の一か、それは、中々に多いな」
「はい。多いですね」
千分の一と聞き、何も知らない人は少なそうに見えるが、違うのである。
厄災級悪魔・七つの大罪という存在は千分の一でも町一つ崩壊させるだけの力を持った化け物であり、封印するという以外に無力化する方法がない真の化け物であるのだ。
そもそも、この七つの大罪というのは人間の欲から生み出されるものである。
その為、人間という生物がいる限りは七つの大罪も消えずに、もしも仮に厄災級悪魔・七つの大罪を滅ぼしたとしても人間の欲からまた新しい厄災級悪魔として生み出される。それも出現場所は人が多い場所にランダムという。控えめに言って地獄である。冗談抜きで何万、何十万人の犠牲が出る。
滅ぼしても滅ぼしても人間という存在がいる限りは人間が七つの大罪を犯す限りは厄災級悪魔・七つの大罪は何度でも復活する。そう何度でも何度でも復活を繰り返す。
そんな存在である。
絶対に滅ぼせないから封印をするしか選択肢がない。封印するにしても余りにもそ の力が強大過ぎるからひたすらに分割にして封印している。
それが厄災級悪魔・七つの大罪という化け物である。
そして分割して封印をし過ぎて、しかも勝手に封印が解けて、それを色んな組織や個人が勝手に封印したりするせいで、何処にどの厄災級悪魔・七つの大罪が分割封印されているのか一切分からなくなってしまった。
そんな何とも間抜けとしかいいようがない状況になっているのが厄災級悪魔・七つの大罪の現状であり、実情である。
なお。今の所確実にここに封印がされていると分かっているのは陰晴の中にある【怠惰】のみであり、それ以外の存在は全て何処に封印されているかほとんどが行方不明となっている。
つまり、学校に厄災級悪魔・七つの大罪が封印されてましたとなっても。何ら不思議ではなく、むしろ、ああ、またかとなるような感じである。
「まあ、厄災級悪魔・七つの大罪ってだけで能力的には最上位の上級悪魔レベルかな、でも、【嫉妬】ってのを考えれば戦い次第でいとも簡単に超級悪魔を超えてくるかな」
「そうですね。確かにその通りでございます。七つの大罪・嫉妬ですから、嫉妬の力が使えますからなね。千分の一とはいえ、元が厄災級悪魔ですし大体の相手に嫉妬の能力は通じますからね」
「そうだね。確か嫉妬の力は、ありとあらゆる全ての存在の持つ嫉妬心を操る。また、自分が嫉妬した相手の能力をコピーした上で強さのランクを一つあげて自分の物とする、だっけ?」
「はい。そうです。流石主様よくご存じで」
「まあ。有名だからね。にしてもだな。うん、控えめ目に言って化け物だな。チートだな」
「この世界に13柱しか存在しない厄災級悪魔の持つ能力ですし。チートなのは当たり前かと思います」
「まあ、そうだよね。俺の持つ怠惰の能力だって、チートぶっ壊れの最強能力だしね。それはそうか。でもあれだな。これは俺が出て怠惰の能力コピーされたら被害がヤバそうだな。多分怠惰の能力が強すぎるから強さのランクは上げられないだろうけど。それでもこの付近一帯の生命活動を怠惰にされたら。マジで被害がでかすぎて詰むぞ。冗談抜きで何十万という犠牲が出る。多分戦えば勝てるけど。勝てるけど。どう頑張っても被害がヤバそうだな」
「そうですね。そういう意味では中々に相性が悪いですね」
「そうなんだよな。相性が良いと言ったら、嫉妬で能力を強化コピーされても、更にその上を行く速度で強化するような人間かな、それでいてそこまで力が強くない存在」
「そんな都合のいい存在がいますかね、主様?」
「そうだよ。そこなんだよね」
その時、俺の頭に神からの啓示のように、とある可能性が頭に浮かんだ。
「ん?待てよ。お前いるやん。都合のいい存在。勇気やん。勇気がおるやん」
才能の塊であり、すぐに成長する超絶都合の良い存在、それが勇気だ。
「あ~~~。いますね。でも待ってください主様。それって嫉妬の方は大丈夫ですかね?」
「嫉妬の方、ああ、ハーレムメンバーが嫉妬で狂って喧嘩しだすってことか。まあ、大丈夫じゃね。知らんけど。ぶっちゃけやろうと思えば猫子の方はこちら側で操れるしね。最悪全員嫉妬に狂っても猫子使って強制的にダウンさせて治癒して元の状態にすればいい。それにそれはそれで面白そうじゃん」
陰晴は中々に愉快犯であった。
「確かにそうですね。では、勇気にどうやって七つの大罪・嫉妬が地下に埋まっていることを伝えましょうか」
「ああ、確かに。つかその埋まってるってどういうこと。いや普通封印じゃない?」
「あ、はい。それがそのまんまで埋まっていました。どうやら地下の奥深くで冬眠していたようです」
当たり前の話だが、厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】という凄い名前だが、悪魔は疲労する存在である。
それがどれだけ高位だろうと、その事実は変わらない。
そして千分の一にまで分割されている状態で体力の限界ギリギリまで何者かと死闘を繰り広げでもして、何とか勝利したという状況となったらば、その疲労を癒す為に冬眠という形で何十年、下手をすれば何百年と地中奥深くで眠るというのはあり得ない話ではない。
むしろ。あり得る話である。実際に陰晴は似たような事例に遭遇したことがある。
「なるほどね。納得はしたわ。で、今起きそうなのか?」
「はい。起きそうです。というか起きています」
「ああ。もう起きてるのね、え?それじゃあ結構早く上がってこん?」
「はい。多分後2時間くらいで上がってきますね」
「なるほどね。いや。お前今すぐ休校にしろ。理由が適当に殺害予告・爆破予告が来たとかでいいから」
「はい。分かりました。では今すぐ休校処置を取ります」
「おう。そうしてくれ」
1分後
「終わりました」
「おう。早かったな。あ、それでどうやって勇気とそのハーレムメンバーに嫉妬が襲ってくることを伝えようか?」
「そうですね。どうしましょうか」
「ねえ。陰晴。普通に猫子を使って伝えればよくない?」
隣で俺とバトラーの話を聞いていたイトがそう言ってくる。うんナイスアイデアだ。イトはやっぱり凄いな。
「ああ、まあ、確かにそうするか。一応今現在猫子の立ち位置は超能力者?になってるから未来予知の能力者がそう予知したから手伝って欲しいという設定にするか。しっかし確か俺が昨日イトとイチャイチャして昼休みを過ごしてる間に猫子が超能力者って設定になってたのは驚いたわ。まあ今は都合がいいけどね。イトいいアイデアをありがとう」
「へへへ。どういたしまして」
「というわけでバトラー後はよろしく頼む。俺は学校休みになったし、というかしたんで、イトと一緒にゲームでもしとるわ」
「分かりました。主様」
「あ、それと勇気とハーレムメンバーのイベントが始まったら教えてくれ、テレビで見たいから」
「はい。分かりました。主様。ではそのように」
「そんじゃ。ゲームでもするかイト」
「そうだね陰晴」
かくして俺は厄災級悪魔・七つの大罪【嫉妬】のことなぞ、すっかり忘れてイトと楽しく大乱〇スマッシュシスターズをするのでした。
めでたしめでたし。
――――――――――――――
何一つめでたくないのでめでたしめでたしで終わらせるスタイル。
いやまあ、しっかりと続きますよ。
それと一応大雑把に内容は書いてあるのですが、まだ手直しの途中です。
それで質問なのですが、厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】という強敵に対して、勇気とハーレムメンバーが少しだけ陰晴が裏から手助けしつつも、勝利を収める展開と。
勇気が死に掛けてる所をお助けマンの姿をした陰晴が助ける展開(一般人への被害は前者・後者でも特になし)。
どちらの方が皆様はお好みですかね?
よろしければ感想でお伝えしていただけると嬉しい限りです。
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面白いと思って頂けましたら星やハートを入れていただけると作者のモチベーションが上がります。
感想欄で質問来てたから一応詳しく書いておく。
もしもお助けマンとして主人公が手助けするってなったら、主人公の力コピーされてヤバくね?
という訳で詳しく説明したら、嫉妬本体ならばほぼ無限に強化コピーできますが、千分の一程度ですので、基本的に強化コピーには限界があり、一回つかうと再度使うにはかなりの時間がかかります。
という訳で嫉妬が勇気の力を強化コピーして、強化コピーが出来ない状態にした上で陰晴が大火力でぶち込みます。終わりです。解決します。
それ出来るなら陰晴の眷属引っ張れば解決じゃねって思ったら、まあその通りです。
陰晴が眷属を引っ張れば一人で簡単に解決できます。
ただ、せっかくだし勇気の見せ場をつくってあげようという主人公と優しいイトの配慮です。
後は身も蓋もない言い方をすれば作者の都合です。
以上、終わり。
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