外伝・勇気視点 1
今日俺の学校に転校生が来た。
名前は幸田 イトという銀髪のとても可愛らしい、それこそアニメが漫画の世界から飛び出たような、美少女だった。
俺には白木に猫子にマリアンヌがいるから、惚れるというのはなかったし、付き合いたいとも思わない。否。思っては駄目だが、もしも誰とも付き合ってなければ彼女と付き合いたい。そう思えるくらいの美少女であり不思議な色気があった。
それこそただの高校生では到底出せないような大人の色気が、それでいて何故か彼女を見ていると心が安らいだ。安らぐと同時に俺の中にある霊力が聖力がポカポカするような、綺麗に回るような不思議な感覚を覚えた。
それだけ彼女は魅力的だった。
周りを見渡すが男子は俺と同じような反応をしている人がチラホラいた、だけど何人かの男子と結構な女子が何故か彼女と一緒にあの幸田 陰晴の方を見つめていた。
少し意味が分からなかった。
その時だった。
彼女がいきなり、唐突にクラスメイトの幸田 陰晴を好きだといい将来結婚すると言った。
言い切った。
その瞳には一切の迷いがなく、ひたすらに透き通っていて綺麗だった。
正直言って、心の底から意味が分からなかった。
こんな事をいったら失礼かもしれないが幸田 陰晴という人物はあまりカッコいい人間ではない。
勉強の成績は平均よりも低く、運動能力もさして高くない。顔も普通、不細工ではないがイケメンでもない。
そして普段から左腕に包帯を巻き、よく分からないことを言っている。「俺には世界を滅ぼす程の力を持った厄災と呼ばれる悪魔が封じ込められているんだ」とか「この包帯はその悪魔を封印する為のものであり絶対に外してはならない」とか、俗にいう中二病な人間だ。
そんな人がいきなり転校してきた彼女と婚約者であり彼女?そんでもって同棲までしている?意味が分からない。
そうしてかなり疑問に思いはしたがそれでも彼女は幸せそうな顔をしていたから、俺は色々な愛の形がある、そう納得して、否、無理やり自分を納得させて、次の授業の準備を始めた。
そして彼女と陰晴の所に案の定、人が集まって質問攻めにされている。
そうして暫くした時だった。
「ひやあああああああああ。あ」
叫び声と共に恐ろしい殺意を感じた。
いや。恐ろしいという言葉では語れないような禍々しく純粋な殺意。悪魔との戦いを経験して、それ以外でも女性を助ける為に不良と立ち向かった、この俺が初めて経験する、強大な殺意と力。今の自分ではこの殺意を出したナニカには絶対に勝てない。そう思わせるような力。
これは何だ?今のは何だ?誰がその殺意を出した?
俺はその方向へと目を向けると。そこには件の陰晴がいた。
そして陰晴がクラスの不良こと倉田の頭を掴んで床に叩きこんでいた。その結果倉田の顔面から血が溢れ歯が砕け散る。
あまりの痛々しさに俺は少し目を背けてしまった。
「さてと。右手か右足、どちらを折られたい?」
陰晴が倉谷追い打ちをかける言葉を発する。
「ひえ、いや。あのう」
歯の折れた倉田の悲壮な声が聞こえる。
「おい、止めろよ。何をしてるんだ。陰晴」
俺は陰晴の余りの暴行に見過ごせずにそう止めに入った。
「あ?何だ勇気、俺の邪魔をするのか?」
恐ろしい殺意が怒りが俺の身体中を駆け巡る。
怖い。今すぐに逃げ出した。でも、でも、ここで引いたら俺じゃない。陰晴は明らかにやり過ぎだ。
「ああ。そうだ。お前はやり過ぎだ。何があったかは分からないか、そのままでは死んでしまう」
俺は陰晴にそう言って説得を試みた。
「そうか。じゃあ。お前のそのハーレムメンバー三人に向かってこいつがやらせろとか無神経な事を言ったら殺したくならないか?」
陰晴のその言葉から何があったか何となく察した。多分不良の倉田が陰晴に不用意な発言をしたのだろう。気持ちは分からなくはない。でもやっぱり殺すのはやり過ぎだ。
俺は正義感からか、先ほどの陰晴のあの殺意と力のことを忘れて陰晴に突っかかてしまう。
「そんな簡単に俺は人を殺そうとは思わない」
と。
「そうか。それは別にお前の意見だ。俺はこのクズを許せないし。許すつもりもない。だから処罰を与える」
俺の言葉に陰晴はそう、即答すると倉田の右腕を潰した。
折ったとかじゃなくて、潰した。恐ろしい力だ。
「あああああああああああ」
倉田の叫び声が響く。俺はその瞬間、本能が逃げろと叫んだ。
コイツには絶対に勝てない。俺の何百倍何千倍も強い正真正銘の化け物だ。逃げろと。そう本能が全力で叫んで警告をならした。
だけど俺は俺の正義感がちっぽけな正義感が逃げずに立ち向かわせた。
「お前。その手をどけろ」
俺は内心凄く震えながらそう言った。
そして対抗するために霊力剣を生み出して陰晴に斬りかかった。
半ば無意識であった、こんなことをするつもりはなかった、言葉で注意をするだけのつもりだった。
でも陰晴の、彼のやったことは間違っている。
だから俺は陰晴に斬りかかった。常人ならばそれこそバターのように体が切断される一撃。強力な攻撃。
「砕けろ」
たった一言陰晴が言葉を発しただけで、霊力剣が砕け散った。
何が起こった。霊力剣をいとも簡単に言葉だけで砕くなんて。そんな事、普通は出来るはずがない。一体どれだけ格上の存在なんだ。
足が震えていた。武者震いとかではない。恐怖で足が震えていた。
「はあ。さてと。勇気流石にクラスメート達にこのことがバレたら不味い思うやろ?だから。この教室内にいる者の記憶よ、このクズが不用意な発言をする前まで消えろ」
パン
陰晴がそう言って手を叩いた瞬間に一瞬教室が光る。
そして収まる。
「ぐああああああああああああああああああ。いてえええええええええ」
倉田がいきなり叫び声を上げる。いや無理もないあれだけの殺気を至近距離で喰らった上に手も折られているというか潰されているのだから。
でも、おかしい。
何故か倉田の傷が存在していない。
完璧に治っている。
傷一つない。
おかしい。絶対におかしい。俺は確実に倉田が陰晴にやられるところを見たはずだ。
そう見たはずだ。
「あれ?痛くない、痛い。痛い。何だこれ」
「なあ、あんた保健室にいった方が良くないか。高校生にもなって漏らすとか恥ずかしくないの?」
陰晴が倉田の心配をしている。おかしい倉田をこんな目に合わせたのはお前だろ。
「は?あ、痛い」
倉田が急に喉を抑えて痛がる。そしていきなり叫んだ。
「て、あれ漏らしてる。あああああああああ」
そうして逃げるように教室から出ていった。
・・・・・・・・・・・・
今起きたことが余りにもおかし過ぎる。全てがおかしい。
俺は確実に、そう確実に陰晴の異常性をかいまみた。
陰晴が倉田の腕を潰したのを見た。陰晴が恐ろしいなんて生ぬるい化け物のような殺気を出したのを見た。
陰晴が俺の作り出した霊力剣を簡単に砕いたのを見た。
そして陰晴が皆の記憶を消したのを見た。
そして俺は気が付いたら陰晴の胸倉を掴みこう言っていた。
「おい。お前、今のは何だ?」
と。
圧倒的格上であり。今の俺では絶対に敵わない陰晴という化け物に喧嘩を売った。
この時ばかりは自分の正義感に心の底から後悔をした。
でもやってしたまったものはどうしようもない。それに俺は今の陰晴の行いを許せない。倉田のことはもちろんだが、今俺は陰晴が勝手にクラスの皆の記憶を消したことが特に許せなかったのだから。
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ぶっちゃけ、ハーレム主人公、勇気君嫌われそうなキャラではある。というか嫌われるように書いてる。
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前話の続きの小話というか結論。
せっかくですのIfルート書いていこうと思います。
こっから暫く話を進めて行ったら、内容を小分けにしつつIfルートって形で色んな復讐ってのを書いていきます。
正直、Ifルートをしっかりと書いた、一つのルールだけで単行本1冊とかになりそうな気がしなくもないので、というか今の所するという確信が持ててしまうので、大分大雑把に書きますが、感想欄で要望が出たり。この作品の人気が出始めたら。
せっかくですので大雑把に書いたのと同時にIfルートの方をこの作品内ではなく、新しい小説として投稿させようかなと思ってます。
そっちの方が読者も読みやすいかなと思いましたので、というかダークネスソルトが読書だったら、そっちの方が読みやすくてありがたいなって思いました。
といっても、今から勇気による厄災級悪魔・七つの大罪・【嫉妬】との戦いからの三天魔の話からの超能力対戦、厄災級悪魔・七つの大罪・【憤怒】討伐作戦、魔王殺し等々の展開をするつもりですので、それが終わってからかなって。結構時間はかかりそう、まだ七つの大罪・【嫉妬】と三天魔のはじめの方しか書いてないもん。
まあ、主人公が盛大に復讐をするルートが見たいという意見が多ければ、今すぐにでもIfルートという形で主人公が復讐する話や、主人公が欲望のままに動く。白木さんは越田にNTR、他のハーレムメンバーも主人公がNTR、その他眷属侍らせてのハーレム陰晴ルートとかも要望があれば、やります。
ぶっちゃけ。このハーレム陰晴ルートは作品を新しく書き直して一からやらないといけないレベルで話の内容を変える必要があるから、もしやるとなったらばタイトルから変えて全く新しい陰晴の物語が始まりますね。
それはそれで結構楽しそうかつ面白そう。
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面白いと思って頂けたら星やハートを入れていただけると嬉しい限りです。
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