実は私かなり強いんです

「今のは一体」

「あ。実は私これでも結構強いんです。今のは私の能力で上級悪魔の頭を内部から爆発させて倒しました。まあ、香にも分かりやすく言うならば破道・霊術式・51式・内部強制破壊の無詠唱術式といった所かな?厳密には違うけど」

 陰陽師としての力も持っているが、今の猫子は陰晴の眷属となり、悪魔の力をその身に宿している。

 その為、ほぼ全ての陰陽技が悪魔の力の影響で発動が困難となっている。

 陰晴が眷属を使って今もまだ改良を続けている既存の技、全てと異なる全く新しい術式・【霊魔道】・それが今猫子が使った技であった。


「え、待ってということは50番台の破道と同レベルの威力を誇る術を無詠唱で行使したってこと。それって上級陰陽師の中でも上位のレベルじゃ・・・」

「まあ、そうだね。今の私は普通の上級陰陽師よりかは圧倒的に強いですよ。といっても私自身が陰陽師ってわけではないけどね」

 白木は猫子のその強さをすんなりと受け入れる。


「そうか。凄いね。私も負けてられないな。もっともっと強くなるぞ」

「そうですね。でも香が強くなってる間に私はもっともっと強くなりますよ」

「そう。じゃあ私はそれよりも、もっともっと強くなってみせるよ」

「何を。じゃあ私は更にもっともっともっともっと強くなります」

「「ハハハ」」

「何だろう。私達出会い方が違ったらもっと仲良くなれたかもね」

「何を言ってるんですか。香これから仲良くしていきましょう。同じ人を好きになった者同士」

「そうだね。フフ」

「ハハハ」

 二人の楽しそうな笑い声が廊下に響く。


「猫子に白木、どうしたんだ?二人で仲良さそうに笑って」

 マリアンヌの治療によって記憶が戻った勇気が二人が仲睦まじく笑ってる様子を見てそう声をあげる。


「「内緒」」

 二人が今日一番の笑顔で笑った。


「お。おう」

「というか私ずっと蚊帳の外でしたよ。頑張って勇気様の治療をしたのに」

 マリアンヌがそう軽く文句を言う。


「治療?あれ、もしかして俺何か怪我でもしたのか?」

「え?勇気様、もしかして何があったのか覚えてないのですか?」

「逆になにかあったのか?」

「何も無かったですよ。勇気さん」

 猫子がいきなりそんな事を言い出す。そして言いながら二人に念話を使いこう伝える。

【今回の上級悪魔は完全に勇気さんを狙ったものでした。自分のせいで上級悪魔が出現して皆を危険に晒したとなれば、きっと心優しい勇気さんは責任を感じ、傷付いてしまいます。ですので。ここは一つ提案なのですが、女同士の秘密ということにしませんか?】


 白木はそれを聞き、軽く頷いて見せる。

 マリアンヌも、少し不服に思いつつも。言ってる事には納得した為頷く。


「そうなのか?」

 猫子の何もなかったという言葉に疑問を抱き。そう問いただす勇気。


「はい。何もありませんでした。強いていうなら、勇気様が私に学校を案内している途中盛大にこけて頭を打って気絶したので。私が聖職者の力を使って直したくらいです」

「そうなのか。て、待ってくれ、聖職者の力ってマリアンヌも何か特別な力の持ち主なのか」

「はい。そうですよ」

「そうですよって。まあ、そうか、それは何というかビックリだ。でも俺の傷を癒してくれたんだな。それは本当にありがとう」

 何故かすんなりのその事実を受け入れる勇気。そして誰もそのことを不思議と思わない。


「どういたしまして。さあ、勇気様学校案内の続きをお願いします」

「ああ。そうだね。じゃあ案内するわ」

「私も案内するね」「あ。私も」

「じゃあ。4人で行こうか」

「「「はい」」」


 かくして勇気は白木、猫子と共に軽くイチャつきながらマリアンヌに対して学校を案内していったのであった。


 ――――――――――――――――――

 補足説明

 白木は猫子の事を陰陽師ではない力を行使する、超能力者もしくは魔術師のような存在だと誤解しています。実際はガッツリの陰陽師です。まあ、主人公もとい怠惰を司る陰晴に悪魔の力を貰ってるから完璧な陰陽師といえるかどうかで言えば、言えませんが。

 ただ分類するとしたら陰陽師に分類されますね。


 マリアンヌは猫子の事を普通に陰陽師の力も使えるけど。何か他にも力の使える存在だと思っています。理由というか、まあ後々明らかにしていくのですが。マリアンヌは右目に聖眼・バローナという見ただけどその人の能力や才能が大まかに分かるという特別な眼を持っているからです。

 更に追加でその人の行っている言葉がある程度嘘かどうかも分かる能力も持っています。ただある程度なので真実の中に嘘を入れられて話をされたりすると、真実と認識されてしまいます。流石に100%の嘘審判は強すぎます。

 話を戻しますが。マリアンヌは聖眼・バローナによって猫子に陰陽師の力と悪魔に似てるけどよく分からない力があることを理解しています。

 因みによく分からない力という理由は主人公こと陰晴が聖力と霊力と悪魔力という3つの力を使って混沌という新しい属性を生み出しており。その混沌が猫子の体にも少々含まれているからです。


 後。今回普通に猫子が力を持ってるっての知った白木とマリアンヌが特に違和感なく受け入れた理由はずばり主人公の張ったご都合主義結界によるものが非常に大きいです。

 ただし。ご都合主義結界は学校にしか張っていないので、街中で余りにもおかしなことが起こると、揉めます。超絶揉めます。簡単に揉めます。

 ですので、出来る限り秘密とかは学校内で明かしていく予定です。


 補足説明

【霊魔道】・・・陰晴が眷属と共に創り出した。新しい術式。

 一応設定として陰陽師には陰陽道という術式があり、その中に【陰陽技】・【破道】・【守護道】・【滅道】といった技があります。

 これは陰陽連が作り上げた陰陽師の力を最も効率よく運用するための技であり、技術のようなものです。

 ですので才能も関係していきますが、理論上は技術なので全ての人間はこの陰陽道を覚えることが出来ます。ただ、覚えても霊力が足りなければ発動出来ませんが。


 なお、陰晴が生み出した【霊魔道】というのはこの陰陽道に組み込まれている術式を眷属と共に分解して、悪魔の力を込めた上で、より使いやすくしたり、威力をあげて、もう一度構築しなおしたものって感じです。

 一つの術式を分解して再構築するにはかなりの手間がかかるので全部の陰陽道を霊魔道には置き換えていませんが、基本的な使えそうなものはほとんど置き換えてるって感じです。

 ようは霊魔道は陰陽道の完全上位互換ってことです。

 当たり前の話ですが主人公も霊魔道は使えます。使えますが、ぶっちゃけ使わなくても最強クラスに強いので基本的に使いません。

 

 更なる補足説明、猫子が霊魔道を使って上級悪魔を一撃で屠りましたが、あれ、無詠唱って言ってるけど、心の中でしっかりと詠唱をして、また力を貯めています。

 マリアンヌと白木のおかげでその時間が稼げたので、一撃で倒せたって話です。

 普通に1対1で戦ってたらそんなことは出来ません。


 以上

 補足説明終わり。


 ―――――――――――――――


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