圧倒的二股

 学校に着き、自分の席に座り、隣にいる越田と楽しく会話をする。因みに今のトピックとしては猫子と勇気がいかにしてくっつくかという物だ。

 今の所、猫子の押しに勇気が負けて流れでくっつくという案が一番有力だ。

 結構この話題は気になってる人も多く越田以外の男子も加わって結構盛り上がった。

 因みに白木さんとくっつく展開についての話し合いもしたが一部男子の強烈な拒否反応や、前回起きた告白?事件以降、特に二人が付き合ってる様子もそこまでないので。おそらく勇気が白木さんを振った。もしくはそもそも告白とかじゃない、全然違う理由だったみたいな結論となり、勇気と白木さんは付き合ってないから問題なしという結論で落ち着いた。

 そうしてる内に話題の猫子が教室に入って来る。


「どうも、勇気さん今日も猫子が来ましたよ」

 そう元気よく手を振りながら勇気の所に向かう猫子。

 それを遮ったのはまさかの白木さんだった。


「勇気は私の初めてを奪った相手よ。猫子さんには絶対に渡さないわ」

 そう言って勇気の腕をそのつつましい胸で包むようにギュッと掴んだ。


 ・・・・・・・・・・・・


「は?」

「ひ?」

「ふ?」

「へ?」

「ほ?」


 男子の声が綺麗に被った。いやはや男子の結束力が凄いな。


「勇気お前、ぶっ殺してやる。お前だけは絶対に許さね~~~。白木さんの初めてを奪ったってどういうことだ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 越田が気絶するとか超えて発狂しながら勇気に向かい胸倉をつかむ。

 まあ、当然の反応だろう。つか本気で一体何があった、俺そんな報告眷族から聞いてないぞ?


「いや。俺は別にそんなことしてないぞ」

 勇気が必死に否定をする。


「何を言ってるの勇気、私の初めてのキスを奪ったじゃない」


「キス?」

 またもや男子の声が被った。

 なるほどねキスか、じゃあいいやとはならんよな。うん。なるわけがない。まあ初めて奪うよりかはあれだけど、初キッスもたいがいだ。


「キャーーーーー。それってどういうこと?」

 女子たちの黄色い悲鳴が上がる。


 因みに男子は、白木さんのキスが奪われた情報だけでも心のダメージが大きく、何人かは放心状態になり、越田はまた気絶した。


「越田~~~~~。起きろ起きるんだ越田。さっきの殺意はどこへ行った。起きろ死ぬな越田」


「俺はもう駄目だ。俺が起きたら何があったか教えて、く、れ」

 そして越田は気を失った。


「取り敢えず気絶した越田を教室の隅に置いておくか。しばらくしたら目を覚ますだろ。誰か手伝ってくれ」


「じゃあ、俺が手伝うよ」

 そう言ってくれた男子の手を借りて越田を邪魔にならない教室の隅に移動させる。いやはや越田の扱い雑だが、まあいいやろ。越田も許してくれるだろうし。知らんけど。


「さてと。ごめんね、じゃあ勇気に白木さんに猫子さん、続きをどうぞ」

 俺は何事もなかったかのようにそう言った。

 猫子はそれを聞いて、何事も無かったかのように勇気にくっつき唇にキスをした。


「これで私も勇気さんに初めてを捧げました」

 そう言って白木さんに宣戦布告をする。


 いや~~~、凄いね猫子。行動力の塊やな。

 うんうん。いや結構今ビックリ中やわ。マジかよ凄いよ猫子。いや冗談抜きで凄いな。


「キャ~~~~~~」「ギャア~~~~~~」

 女子の黄色い悲鳴と男子の怨嗟の悲鳴が同時に沸き起こる。


 まあ、そうなるわな。しっかしこれはワンチャン勇気ハーレム展開ありえるな。ラノベ主人公かな?いや違った、もう既にライトノベル主人公だったわ。

 さてと楽しそうだし俺もいっちょヤジを飛ばしますか。もちろんお得意の悪意マシマシでね。


「おい。勇気お前はどっちと付き合うんだ?白木さんか猫子さんか?それとも二股でうか?いい御身分ですな」

 俺がヤジを飛ばすとノリの良いうちのクラスの男子も一緒になってヤジを飛ばしてくれる。いやはや持つべきものはノリの良いクラスメートですな。


「そうだぞ。勇気どっちだ」「はっきりさせろ」「二股は人間の屑のすることだぞ」「白木さんに手を出したら殺す」「猫子さんを泣かせても殺す」「かといってはっきりさせずに逃げても殺す」

 ヤベ、これ勇気何を選択しても殺される奴やん。

 いや。男子怖え。まあ焚きつけたの俺やけど。草生える。さてと勇気はどんな選択をするのかな?実に楽しみだ。


「俺は二人ともと付き合わない」

 勇気はそう断言した。

 え?マジすか?こいつこんな美少女二人に挟まれて断るとか男か?

 ちゃんと股にアレぶら下がってるよな?男だよなコイツ?本当に男だよな?ちょっと怖いんですけど。


「え?どうしてなの勇気さん?私の何処か駄目だったんですか?言って下さい。絶対に直しますから」

 猫子がその言葉に対して縋りつくようにして猛烈なアピールをかます。

 おっと。しかもこれは上目遣いだ。これには流石の勇気もダメージが入る。心がぐらついている。勇気はしっかりと男だった。正直俺安心している~~~。


「あのう。私も私も勇気君の理想とする女性になりたいです。どこが駄目か教えてください」

 おっと、白木さんが対抗して勇気に上目遣い攻撃をする。更に揺れる勇気。ついでに白木さんが勇気の腕に胸をこすりつけるから胸も揺れる。


 揺れる揺れる揺れている~~~~~~~~~。これは猫子とは違う大きな点だ~~~~~~。いや果実だ~~~~~~。

 猫子のは何というか非常に残念だ~~~。壁だ~~~。ヤベ。心の中の実況だけど。声に出したら絶対怒られそうだ。

 まあ猫子は俺の眷族だから起こるとかいう俺に対する危害は加えられないんだけどね。


「いや。別に駄目な所は無いというか、何というか」

 流石にうろつく勇気。

 そうだよな。この美少女二人に駄目な点何てないわな。あの時は場を収めようと強い精神力を持ってそう言った感じだが逆効果も逆効果。大失敗だぞ。

 さあ。どうする勇気。さあさあさあ。いやはやどんな選択を取るか実に楽しみだ。


「えっと、えっと。じゃあ二人共の付き合うってのは駄目かな?」

 おっと。この二人の美少女からの攻めに耐え切れず最低な二股に逃げた~~~~~。

 こんな事したら男子から殺されるぞ。


 バタン


 とある男子が倒れた。


 バタン バタン バタン


 更に男子が倒れた。


 あ。まさかこれは越田と同じ展開か?

 倒れているのは白木さん信者の皆様じゃん。アイツら白木さん信者もとい白木様フャンクラブ会長越田の後を追うように。

 クソ。お前らの犠牲は無駄にはしない。特に越田の犠牲を無駄にはしない。


「おい。勇気二股はないんじゃないか」

 俺はそう言って軽くヤジを飛ばすように怒鳴った。同士が倒れてあたふたしていた男子も俺のその姿を見て俺に賛同する。


「そうだぞ。勇気それはないわ」「お前に人の心はないのか」「二人の気持ちを考えろ」「そうだそうだ」「このクソ野郎め」「二股した芸能人の末路知ってるだろ」

 その男子の姿を見てか女子も反対に賛成してくれる。


「そうだよ。勇気君。白木さんと猫子さんの気持ちを考えて」「二股はないわよ。流石に二人が可哀想だわ」「そうよそうよ」

 おお。女子の言葉は確実に男子の言葉よりも勇気の心に刺さっていく。流石女子だ。

 勇気のHPはもう0寸前だ~~~。


「止めて、皆私はこれでもいいわ。猫子さんはどう?」

 白木さんがまさかのこれでいいとか言い出した。


 は?お前良いのかよ。マジでいいのかよ。クソここは猫子に反対して貰ってどうにか猫子とくっついてもらわないと。下手な事になって陰陽師側に取られたら超厄介だぞ。

 でも今、念話とか使って流石にないとは思うが白木さんにバレたら詰むし。

 どうするか。


 ・・・・・・・・・


 ここは猫子の判断に任せるしかないな。さあどうなる。猫子はどんな選択をする。


「私もそれでいいですよ。だって最終的には私が勇気さんを落として見せますから」

 そう言って猫子は滅茶苦茶小悪魔みたいな可愛い笑みを浮かべた。


 うわ。これは凄いわ。

 多分今男子の何人かのハートが打ち抜かれたぞ。これはワンチャン猫子フャンクラブ出来るかもよ。いや流石にないかそれは。


 さて、というわけで白木さんと猫子がそう言ったので一応場は収まり。倒れている人は目を覚まし事情を説明して暴れ狂ってるのを皆で押さえつけて、何とか解決させました。いやまあ根本的なことは何も解決してない気がするけど。

 結構疲れた。本当に疲れた。

 そして午前の授業が終わり昼休み。

 猫子がやってきた。


 さて、昼休みはどうなるかな?

 実に実に楽しみだ。


――――――――――――


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