クラスメイトが安倍晴明の血を引くラノベ主人公だった件について

 そんなこんなで時は流れ、放課後になった。

 かなりの数の生徒が校舎裏の桜の木が見える場所に隠れた。かくいう俺も越田に連れられて鞄も持たぬまま連れてかれたのだが。

 という訳で皆が二人の告白劇を今か今かと待ちわびている時、まず最初に来たのは勇気だった。


「お前ら、コソコソと隠れて見るな、白木は俺に二人きりで話がしたいといった。それを破るような真似をさせるな」

 勇気のかなり響く声でそう言われて、俺は私は隠れて見るなんて勇者というか愚者はおらず皆その場を離れていった。

 かくいう俺もごねる越田を無理やり掴んでその場から離れる。

 しっかし勇気、心がイケメンだな。白木さんの為を思い。一切臆せずに外野をどかすために堂々と声を上げるとは。いやはややはや。イケメンですな。なんかもうライトノベルの主人公かってくらいイケメンだな。


 俺は一人馬鹿なをことを考えながら、いまだに勇気と白木さんの告白劇の行方を見ようと企んでる越田を無理やり部活に連れてって先輩に預けたら教室に戻る。

 越田のせいで鞄を回収できてないのでな。

 そうして鞄を回収して、さあ、家に帰ろう。そう思った時だった。

 校舎裏の桜の木の辺りから上級悪魔の気配がした。それも少しは弱っているという最悪の状態の上級悪魔が。


 基本的に上級悪魔は自我があり陰陽師と聖職者を恐れて積極的には人を殺さないのが多い、がしかし弱っている状態だとそうもいってられずに力を回復させるために人を襲いまくる。それはもう襲いまくる。ほんで結構被害が出る。

 その上狡猾なんで力強い陰陽師が来る前に逃げる。


 ・・・・・・


 ヤバくない、それにあそこには栄養たっぷりのカス陰陽師白木さんがいるんだぞ。


「クソッタレ、早くしないと不味い。白木さんがそして勇気が殺されてしまう。そうなったら確実に面倒だ。それに何より越田が悲しむ」

 俺は一人そう叫びながら窓を開けてジャンプする。そうしてそのまま走って校舎裏の近くにいくと眼鏡外して黒い髪を・・・・・・以下略

 戦闘モードにして、その場所に向かう。


 そして慌てて向かったら驚きの光景が広がっていた。


 ようはつまり何があったかというと勇気が陰陽師になっていた。


 いや、違う。所々聖職者の力も感じる。

 コイツ、まさか俺と同じで陰陽師と聖職者の力を使えるってことか?

 いや、ありえない、今まで俺はコイツからただの一度も陰陽師もしくは聖職者の力を感じたことは無かった。じゃあどういうことだ?


 もしかして今さっき陰陽師と聖職者の力に目覚めた。いや、だけど今弱体化しているとはいえ上級悪魔と互角に渡り合っている。そんな事がついさっき力に目覚めた奴が出来るか、いや、でも、そうとしか説明はつかない。


 ・・・・・・・・・・・


 となると、とんでもないな。恐ろしいまでの才能の塊だ。

 これから強くなったら勇気はそれこそ厄災級悪魔を一人で殺せるレベルの化け物になるんじゃ・・・。そうなると新しい最強の誕生というこか・・・・・・。


 なるほど恐ろしいなそれは。

 さて、これからどうしようかな。少なくともこれから勇気を巡って様々な組織が争いを始めるだろうま。そうなったら、絶妙なバランスで動いている組織間のバランスが崩れて大きな争いを起こす可能性は相当高い。

 そうなったらばかなりの高確率で俺にも迷惑がかかる。

 それこそ人が何千人何万人と人が死のうとも勇気という規格外の存在の為ならばどこもそれ相応の無茶はするだろう。悪質な組織となれば学校の皆に勇気の身内等を捕まえて脅し奴隷契約を結ばせる程度のことは余裕でするだろう。


 勇気にはそれだけの価値がある。それだけの才能がある。

 ぶっちゃけ最善案としては今この場で勇気を殺すなのだが。俺もそんな酷いことは出来ない。流石にクラスメート殺しはヤバすぎるしね。

 さて、勇気という爆弾をどうするか。

 そう悩んでいたら。


「くらえ、悪魔め。我が手に具現せよ・霊剣。ハアアアアアア。切り裂け」

「グAAA、この我がお前のようなお前のような憎き安倍晴明の血を引く者に殺されることになるとは・・・」


 そう言って上級悪魔が灰になって死んだ。

 って待て、待て、待て、今あの悪魔、安倍晴明っていった。

 うわ、マジかよ。価値が上がったよ。爆上がりしたよ。笑えるくらい価値が上がったよ。安倍晴明って陰陽師の中では神みたいな存在よ、その血を引いているんだよ。こりゃ、ヤバいわ。もう、なんかもうヤバいわ。語彙力が馬鹿になりそう。

 しっかし、なるほど、どうするか・・・本気で殺、それは駄目だ・・・、じゃあ、能力を封印するっても、まあ才能で解けるだろうし。


 ・・・・・・・・・


 どうしましょうか。


 ・・・・・・・・・


 よし、決めた監視しよう。丁度いい感じで隣のクラスに俺の眷族の猫子っていう女の子がいるし、そいつあてがって監視しよう。

 ほんで、俺に有利に進むように誘導していこう。ついでに勇気の家族に眷属を送り込むと同時に学校に配置している眷属を増量しよう。

 そうしよう。そうしよう。さて、家に帰ってイトに甘えるか。ぶっちゃけ今日は相当疲れた。朝から嫌な夢見るわ越田は倒れるは勇気は安倍晴明の血を引く大物と判明するわ。本当に疲れる一日だった。


――――――――――――


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