地獄絵図と越田~~~~~~~~~~~

 眼下には陰陽師と聖職者の血肉が死体が無残に散らばっている。それに比例するように厄災級悪魔・七つの大罪・怠惰の眷族である様々な悪魔の死体が血肉が散らばっている。

 余りにも濃すぎて多すぎる悪魔の血の影響か、悪魔の血が空中へと気化し、雲となり辺り一帯が真っ赤な雲で覆われて、血の雨が降っている。

 そんな中、厄災級悪魔・七つの大罪・怠惰の眷族と陰陽師に聖職者の人達がひたすらに殺し合いをしている。

 また、血が舞った。

 人間の頭が綺麗に飛ぶ。


 ゴロゴロって音を立てて、生首が目の前に転がって来た。


 目が合った。

 その目は酷く虚ろであった。

 地獄絵図という言葉がこれ以上ピッタリ当てはまるような光景は、僕は後にも先にも知らなかった。


 怖い、怖い、怖い、お父さん、お母さん。助けてよ・・・

 当時11歳と幼い僕が一人で怯えている。

 目の前にいるのは、何故か仲間の手によって束縛の魔法をかけられているお父さんとお母さん、そして邪悪極まりない笑みを浮かべている、とても同じ人間とは思えない、否、人間じゃない醜悪な化け物である陰陽師と聖職者らがいる。


 グサ


「これは仕方ない、仕方ないんだ。生贄にお前を目障りで目障りなお前を生贄に~~~こうするしかないんだ、だから生贄になれなれなれ死ね。そもそも、俺はお前がずっと気に食わなかったんだ。だからこれは正しいことだ」


 ・・・・・・・・・


 お父さんが同じ陰陽師に後ろから心臓をナイフで貫かれていた。


 グサ


「神よ、神よ、神よ、愚かなる彼女の魂を捧げます、不徳にも陰陽師と結婚しあまつさえ子供を作った悪しき悪しき悪しき彼女の魂を捧げます、だから、あの悪魔を封印したまえ」


 ・・・・・・・・・


 お母さんが同じ聖職者に正面から思いっ切り心臓をナイフで貫かれた。


「ああああああああああああああああああああああ」


 叫んだ、叫んだ、叫んで、僕のお父さんをお母さんを殺した奴を殺そうとしたが。押さえつけられた、後ろから陰陽師と聖職者達に強く押さえつけられた。


「黙れ、お前はこれから、超級悪魔怠惰を封じ込める器になるんだ」

「何を、このクズ共め、ぶっ殺しt」


 殴られた。

 そしていきなり激痛が走った、何がどす黒いものが身体に入り込んできた。


 痛い、痛い、痛い、助けてくれ、誰か、誰か、お父さん、お母さん、助けてよ、あああ、痛い、痛い、痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。絶対に殺してやる。お前らを殺してやる。生まれて来たことを後悔させてやる。

 僕、いや、俺は俺はお父さんとお母さんの敵を絶対に打ってやる。

 俺はお前らを絶対に許さない。

 絶対に絶対に殺してやる。殺してやる。地の果てまで追いかけて殺してやる。

 俺はお前らに地獄をみせてやる、これ以上の地獄をみせてやる。そして親族諸共殺してやる。ぐちゃぐちゃの肉片にしてやる。絶対に絶対に殺してやる。皆殺しにしてやる。

 覚えていろ、俺はお前ら全員の顔を霊力を聖力を覚えた。

 顔を変えようと探し出して見つけ出して、必ず殺してやる。


 絶対に殺してやる。

 かくして俺は復讐を誓った。













 ――――――――――――――――――








「ああああああああ」

 叫んでベットから起きる。


 ハアハアハア


「またあの夢を見たの。大丈夫だよ、陰晴には私が付いているよ」


「イト、イト、イト」

 俺はイトに抱き着く、抱き着いて涙を流す。


「イト、イト、イト」

 俺はイトを抱きしめながら何度も彼女の名前を叫ぶ。


「大丈夫、大丈夫、大丈夫だから」

 そう言ってイトは俺の背中を優しくなでてくれる。


 ああ。癒される。本当に癒される。また復讐という名の恐ろしい深くどす黒く一度落ちたら戻れない、あの深淵の闇に飲み込まれるところだった。復讐に飲まれたら俺は確実に俺じゃなくなる。

 陰陽師と聖職者を殺す殺戮マシーンとなり果てる。それは確実にお父さんもお母さんも。そして俺も望んではいない最悪の未来であり結末だ。


「ありがとう、イト大分落ち着いた、じゃあ、もう一回寝るよ」

「はい、お休みなさい、陰晴」

 そして、俺はイトに抱き着きながら二度寝をした。


 ――――――――――

 朝起きたらいつものように左手に巻いてある封印の包帯を新しいのに巻きなおしてからイトの作った美味しい朝ご飯を食べながらバトラーから最近の報告を受けてから適当に指示出して歩いて学校に行く。


 学校に着いたらいつものように過ごすつもりだったのに、いつもとは違うことが起こった。


「あのう、勇気君今日の放課後二人きりで話したいことがあるのだけど、校舎裏にある桜の木の所まで来てくれる」

 と白木さんが勇気に言いおった。

 

 マジで言いおった。言いやがった。言い切りやがった。

 これは、誰がどっからどう見ても告白の前振り。白木さんもとい白木 香という、うちのクラス一番の美少女にして校内でも一位二位を争う美少女。

 更に性格も良く男子の間にて定期的に開催される彼女にしたいランキング不動の一位がそう言ったのだ。

 これは荒れるな。それはもう盛大に荒れるな。


「あ」


 パタン


 俺の隣にいた友達、絶賛白木さんに片思い中の越田がぶっ倒れた。気持ちは分からなくはない。

 だって越田は本当に白木さんのことを好きだからな。


「越田、起きろ、しっかりしろ、越田」

「ハハハ、これは夢だ、夢なのだ」

「越田、戻ってこい、越田~~~~~~」

 俺の必死の読みかけの結果。一応戻ってきた越田、良かった。


「すまん、ちょっと幻聴が聞こえて、倒れてしまった」

 いや、駄目だ、戻ってきてない。


「おい。越田このまま倒れていいのか、お前の白木さんへの思いはそんなものか」

「陰晴、違うんだ。白木さんへの思いが大きすぎるから倒れるんだ。後は頼んだ・・・ぞ・・・」

 越田は倒れながら俺に手を伸ばす。俺はその手を掴んで更に言った。


「待て。越田。起きろ。お前の目で白木さんと勇気の会話を見守れよ」

「そうだな。分かった。俺頑張るよ」

 そして越田は復活した。良かった良かった。


 そんな俺達の会話もとい茶番をよそに白木さんと勇気は何故か互いに黙って顔を見合わせて、少しの沈黙を隔てて、勇気が顔を赤くしながら言った。


「うん、分かった。今日の放課後、校舎裏の桜の木に行けばいいだね。そこで二人っきりで話しがあるんだね、楽しみにしてるよ」

 勇気のその告白オッケーみたいな言葉に対して。


「そう、二人っきりで話があるの」

 二人っきりでをかなり強調して白木さんが言葉を返した。


「あ」


 バタン


 越田がまた倒れた。


「越田、戻れ、戻ってこい越田、おい、おい」

「すまん、陰晴俺はもう駄目だ」

「おい。越田。起きろ。諦めるな。まだ傷は浅いぞ。いや浅くないかもだけど。頑張れよ。越田、越田~~~~~」

 そして越田はショックの余り気絶した。


 ――――――――――


 そこからは丸一日かなり大変だった。

 取り敢えず気を失った越田を保健室に連れていき。

 教室に戻ったら何人かの男子生徒と女子生徒が世界を怨むような感じになっていた。

 ついでに他のクラスの人も何人か同じように世界を怨み始め。授業中も皆ソワソワして、先生の中には何事かと叱る人もいたがしょうがない青春だものとか言う先生もいた。

 結果・各授業は全部グダグダで、皆勇気と白木さんの話題で持ち切り。まあ、半端じゃなかった。

 でもまあ。それはそうだなって話だ。

 だって白木さんに片思いしている男子は滅茶苦茶に多いし。勇気に片思いしてる女子も滅茶苦茶に多い。

 そんな校内一と言っても過言じゃない美少女と確実に校内一イケメンの勇気が付きあうフラグを立てたんだ。

 皆、気が気じゃないだろ。ほんでもってたちが悪いというか何というか。皆心のどこかで勇気と白木さんならありと思ってる事なんだよな。

 もしもこれが白木さんと俺だったら俺皆の嫉妬で殺されそうだしな。まあ、イト一筋なんでそんなことはありえないけど。


 しっかし白木さんと勇気か。いやはや白木さん陰陽師だし、色々と障害あるだろうな。もしも本当に勇気が付き合うってんなら、かなりの覚悟と才能を持って大金を稼いだりして何らかの形で陰陽連に貢献せんといけんだろうな。いやはや可哀想に。

 まあ、もちろん勇気が陰陽師の才能があれば話は別だけど。それも飛び切りの才能が。まあ、それは流石にないか。ライトノベルじゃあるまいし。


 ――――――――――


 その時の俺はそんなくだらない、ふざけた考えがまさか現実のものとなり、更に言えば、想像以上の厄介事となるとは、全く思っていなかったのだった。


 ――――――――――

 

 盛大にフラグ立てていくスタイル。

 という訳で勇気は主人公キャラですね。まあ、1話目にて説明しているけど、という訳で次回は勇気覚醒回ですね。

 お楽しみに!


 少しでも面白いと思っていただけましたら星やハートを頂けると嬉しい限りです。

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