新‼地球救済戦記ダンザイオーΩ〈オメガ〉 ~極めてなにか生命に対する侮辱を感じる物語。全てにおいて不平等なこの世界を無職童貞反逆者の俺がぶっ壊す‼~

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新‼地球救済戦記ダンザイオーΩ〈オメガ〉 ~戦争もやめねぇ‼環境破壊もやめねぇ‼バカで愚かな人類は十九歳無職童貞の小室キエイが全員滅亡させる‼~


 第一話 激突!断罪王アイン 対 断罪王ツヴァイ‼ 戦慄!フロントガラスを素手で叩き割る無職‼高齢者ドライバーは人類の未来と平和のために全員運転免許証を返納しろ‼自分達の国に自殺者が出ていることを知りながらも、なぜ人びとはセックスをやめることができないのか?自分たちの子供がその自殺者の中の一人になってしまう可能性があると、なぜ想像できないのか?そもそも自殺者の出るような世界に生まれてくることを望む子供がいったいどこにいるというのか?

                  

 俺、19歳無職で自称アルティメットバイリンガルでオホーツク海の王子、小室キエイは股間がかゆかった。

 だから‼

 前から走ってきた自動車に向かって全力疾走で突撃、昔テレビで見た鷹酢たかすクリニックのCMソングを歌いながらフロントガラスに何度も正拳突きをぶちこんでやった!

 「ヘイ?パディントゥーン?レッツゴーヘイ?パディントゥーン?ファンタスティックゴー‼ドリーミングナーヴ‼」

 「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 自動車のフロントガラスを俺に素手で破壊された女性高齢者ドライバーが恐怖に叫ぶ。

 「レッツフィールユアーマイッ?レッツフィールユアセルフッ!レッツパディントゥーン!パディントゥーン!フレッシュユアーフィッシュ?ビューティーフォーカミングオアフィッシュ?ビューティーフォーカミングオアフィッシュ?」

 俺はフロントガラスがぶっ壊れた自動車の車内から恐怖の雄叫びを上げる女性高齢者の運転手を両手で掴んで外にぶん投げる。

 そして、自動車ババアの顔を何度も殴る。

 「痛い!痛い!痛い!一体私が何をしたっていうんですか?」

 自分の立場が分かっていない女性高齢者ドライバーの耳元で俺は大きな声で怒鳴る。

 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいッ!年寄りが車なんて運転してんじゃねぇよ!バカ野郎!あぶねぇだろ!」

 ほぼゼロ距離で放たれた俺の怒鳴り声に右耳の鼓膜を爆砕された女性高齢者ドライバーの腰を俺は蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!

 泣きながら右耳を抑えている女性高齢者のズボンのポケットから財布を盗む。

 「高齢者が車なんて運転してんじゃねぇよ!普通に考えてあぶねぇだろ!おめぇら無思慮なシルバードライバーのせいであと何人、人が死ねばおめぇらは気が済むんだ!あと何回コンビニに突っ込めば気が済むんだ!自分だけは平気だとか思ってんだろ?んなわけねぇぇぇぇぇぇぇだろぉぉぉぉぉぉぉッ‼おめぇらは寄生虫だ!働かずに国からもらった金で贅沢しているくせに若い連中に偉そうにしやがる役立たずの老害だ!高齢者が生きてんじゃねぇよ!高齢者は六十過ぎたら全員収容所にぶち込んで全員ボケる前ブレイクダンス踊ったまま毒ガス浴びて切腹しろ!うああああああああああああッ!」

 俺の魂のシャウトに女性高齢者の左耳の鼓膜が爆砕する。

 「はい俺の完全勝利~‼あ~お腹減った今日はユッケでも食いに行くか~!」

 暴行現場にいた人々が満身創痍の高齢者ドライバーを見て、救急車を呼び、警察に通報する。

 人びとはまだ知るよしもない、その判断が自分たち地球人類を滅亡の危機に陥れることに。

 小室キエイは女性高齢者の血で汚れた手で股間をかきながら、焼肉酒屋あびすに向かう。

 焼肉酒屋あびすでユッケを食っていると急に腹が痛くなってくる。

 腹痛に悩まされている俺を警察官数人が取り囲み両手に手錠をかける。

 (なるほど、あの自動車ババアか周りの目撃者が警察に通報しやがったのか...)

 「俺ユッケ食ってるんですけど食中毒で死んだらどうしくれるんですか?」

 「うるせぇ!意味不明なこと言ってんじゃねぇよ!器物破損に暴行罪に窃盗罪でお前を逮捕する!」

 「そんなら、おめぇらは不敬罪だ‼バカ野郎‼シンゴォォォォォォォォォッ‼」

 小室キエイが断罪王の変神に必要な呪文を叫んだ次の瞬間、小室キエイの衣服がビリビリに破ける。小室キエイが全裸になる。

 そしてそれと同時に焼肉酒屋あびすが爆発した。

 焼肉酒屋あびすの外で待機していたパトカーの運転手が突然の出来事に、増援と消防隊を要請する。

 爆発した焼肉酒屋あびすから爆炎と共に深紅のボディが特徴的な巨大人型兵器が出現する。

 深紅の巨大人型兵器、断罪王アインの右手のひらには俺を冤罪で逮捕しようとしていた税金泥棒クソバカ公務員共の死体が握られていた。

 「俺に法律が適用されるわけねぇだろ!このクソバカ公務員共が‼」

 当たり前だが死体は何も言い返してくれない。

 「どうせ変神しちまったんだ...このまま大暴れしてやるよぉぉッ!」

 断罪王アインに変神した俺は岡山県内の教育施設を次々と足で踏みつぶしてゆく。

 「俺はハイパー少年革命家なんだよ!小室キエイなんだよ!学校なんてこの国には必要ねぇんだよ!」

 俺に踏みつぶされる少年少女とお勉強ができれば人生全てうまくいくと思っているクソバカ教師公務員どもの悲鳴が聞こえる。

 特に少年少女の奏でる美しい悲鳴は俺にここがまるで合唱コンクールの全国大会の会場なのではないかと錯覚させるほどすばらしかった。

 しかし人々の悲鳴に陶酔する俺をあざ笑うかのように背中に激痛が走る。

 「痛ってぇな...お前...ユーマだな!」

 俺に喧嘩をふっかけてきたのは人類と地球を消滅させるために宇宙から飛来してきた侵略者ユーマだった。

 断罪王アインの背中をビームで狙撃したのはイソギンチャクに両足を生やした姿をしたユーマだった。

 「また新種のユーマか...まあいいだろう、ユーマが現れればきっとアイツらも現れる!」

 小室キエイの予想通り、上空から群青色のボディが特徴的な断罪王ツヴァイが岡山県内に着地する。

 「断罪王ツヴァイ、目標を二体確認」 

 全身に重火器を備えた断罪王ツヴァイが砲撃の照準を断罪王アインとイソギンチャクユーマに合わせる。

 「たとえ断罪王であっても人類を恐怖に陥れるのであればユーマと共に消滅させる!」 

 地球防衛軍メサイアによって断罪王ツヴァイの操縦者に選ばれた美少女専業主婦でカレー大好き小林マスミは決意の言葉と共に断罪王アインとユーマに向かって全身に装備された重火器を一斉発射させる。

 俺は近くにいたイソギンチャクユーマの体を盾にして断罪王ツヴァイからの攻撃から身を守る。

 俺の代わりに断罪王ツヴァイの一斉射撃によりハチの巣にされるイソギンチャクユーマの腹部から出産予定であったと思われるセミ人間が大量に流出して岡山県内の人間を襲い始める。

 セミの体に人間の四肢を生やしたようなその奇怪な姿をした生命体が岡山県内の人間を襲い、男女問わず交尾し始める光景を見て、俺は思わず吐きそうになってしまう。

 「私は...ユーマの作戦に手を貸してしまったというのか...」

 断罪王ツヴァイが全身に装備された重火器の銃口をセミ人間に向ける。

 カレー大好き小林マスミは照準を人々を襲うセミ人間に合わせるものの、近くに人間がいては巻き添えにしてしまうことに気づき、断罪王ツヴァイの銃口を断罪王アインに向ける。

 「おいおい、地球防衛軍メサイアのおめぇがセミ人間に襲われている人間どもを見捨てちまっていいのか?」

 「黙れ!もとはと言えばお前がユーマを盾にしたからこうなったんだ!私は悪くない!」 

 「それを言ったら、まず最初に俺とユーマに攻撃してきたお前にも原因があるんじゃないか?」

 小室キエイの挑発に対してコックピット内の小林マスミの指が重火器のトリガーを引く。

 断罪王ツヴァイの全身から一斉に放たれた銃弾が断罪王アインを襲う。

 断罪王アインはまたもイソギンチャクユーマの体を盾にして断罪王ツヴァイの攻撃を防ぐ。

 イソギンチャクユーマの体から血しぶきと共に今度はエビに人間の四肢を生やしたような生命体が大量に飛びだし、セミ人間同様に地上の岡山県内の人々を男女問わず襲い交尾し始める。

 すでにセミ人間に襲われた岡山県民の人々の腹部が妊婦のように膨らみ始める。

 セミ人間に襲われた岡山県民の人々の腹を突き破って全身血液まみれのセミ人間が大量に出現して周りの人々を襲い始める。

 「このままでは人類が絶滅してしまう....」

 カレー大好き小林マスミはこれ以上セミ人間とエビ人間による被害を拡大させないために地上で暴れているセミ人間とエビ人間と、セミ人間とエビ人間に襲われている全ての人々に重火器の照準を合わせる。

 「おやおやいいのか?正義のスーパロボットである断罪王が人間を大量虐殺するなんて、メサイアの親父たちに知られたら処刑ものだぜ?」

 「うるさい!私はこの世界と家族をユーマと貴様のような裏切り者から守るためなら手段は選ばない!砲撃開始!」

 断罪王ツヴァイが岡山県民とセミ人間とエビ人間に向けて放った砲撃が岡山県内に降り注ぐ。

 そして断罪王ツヴァイは今度は上空に向けて重火器一斉射撃を放つ。

 爆撃がセミ人間とエビ人間と岡山県民だけではなく俺と、火元である断罪王ツヴァイ自身にも襲いかかる。

 「ちくしょう!小林マスミめ、自分のミスに動揺して断罪王ツヴァイごと俺とユーマ共を道ずれにするつもりか...」

 「たとえこの身を犠牲にしても私は人類の平和を守る!」

 断罪王ツヴァイの重火器一斉射撃から逃れたわずかなセミ人間とエビ人間が岡山県から全力疾走で脱出を始める。

 「逃がすものか!」

 自らの放った攻撃の影響で全身ボロボロの断罪王ツヴァイが岡山県から脱出しようとしているセミ人間とエビ人間に銃撃を放とうとした次の瞬間、断罪王ツヴァイの全身に断罪王アインの全力のタックルが直撃する。

 「おっと!俺のお楽しみを邪魔すんじゃねぇよ!」

 「貴様!それでも人類と地球の平和を守るメサイアの断罪王なのか?自分や自分の大切な人があの怪物共に襲われ孕まされても貴様は平気なのか?」

 「うるせぇ!とっとと銃撃をやめやがれ!必殺!狂撃の断罪インパクト!」

 断罪王アインの右手のひらから放たれた衝撃波が断罪王ツヴァイに直撃する。

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 カレー大好き小林マスミの脳内に頭痛と共に意味不明の文字と声、その名も『狂撃波動』が大量に流れ込んでくる。

 「うあああああああああっ!頭が痛い!気がおかしくなる!」

                *

 気がつけば小林マスミは全裸の状態で真っ暗な空間の中にいた。

 そして目の前には全裸状態の小室キエイが両目を閉じて空中で座禅を組みながら聞いたことのない言葉を念仏のようにつぶやいている。

 「これが狂撃の断罪インパクトだ」

 カレー大好き小林マスミの脳内に小室キエイの言葉がテレパシーのように直接流れ込んでくる。

 「この空間に連れてこられたお前にはもう勝ち目はない、だからあえて聞かせてもらう。お前達、専業主婦どもはなぜ自分達の旦那の収入で生活しているくせにフリーターを生活能力がないとバカにするんだ?お前たちだって結局のところ旦那の収入に依存して生活しているだろう、そんなヤツがなぜ、低収入のフリーターをバカにすることができるのか?俺がお前に真実を教えてやるよ!専業主婦よりフリーターのほうが社会的地位は上なんだよ‼いいか、わかったかバカ野郎!」

 「意味不明でふざけたことを言うな!専業主婦は外で働かない代わりに家事や育児をしている‼つまり、低収入のフリーターよりも専業主婦のほうが社会的地位は上なんだよ‼バカはお前だ大バカ野郎!」

 「では低収入のフリーターと家事育児しか能がない無収入の専業主婦、収入面ではいったいどちらのほうが上かな?」 

 「それは...」

 「どう考えても家事と育児を理由に外で働かない無収入の専業主婦よりも低収入のフリーターの方がえらいんだよ!いい加減理解しろよ!バカ野郎死ね!」

 「では小室キエイ、そういうお前はフリーターなのか?」 

 「んなわけねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼」

『龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘‼』

 「うああああああああああああああッ!頭が痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」

 空中で座禅を組んだ小室キエイの放つ狂撃波動に脳を破壊されたカレー大好き小林マスミは鼻と両目から大量の血を流して死んでしまった。

 「無収入の専業主婦より低収入フリーターの方がえらいんだよ!まぁ...俺は家事も育児もアルバイトも死ぬまで絶対にしないけどな!アッヒャッヒャッ!合掌」

                *

 空襲から生き延びたセミ人間とエビ人間が焼け野原と化した岡山県内から全力疾走で他県へ移動を開始した。

 操縦者が脳死した断罪王ツヴァイは焼け野原になってしまった岡山県内に仰向けに倒れている。

 「はい俺の完全勝利。ああ~腹減った~寿司が食いたい」

 変神を解いた小室キエイは全裸のまま、寿司屋に向かう。


第二話 断罪王アイン 対 断罪王フィーア!考えろ!人の心とその言葉‼女が寿司を握ってんじゃねぇよ‼寿司握る暇があるなら俺のソーセージ握るんだよ‼命とは死に至る病である!自分が死ぬのが嫌で子供にも死んでほしくないのであれば最初から子供なんか作るんじゃねぇよ!バカ野郎!子供だって最終的には死の恐怖に怯え苦しみながら死んでいくんだぜ!自らの欲望を満たすために罪なき命に死を伝染させるセックスは人殺しと同じなんだよ!


 断罪王ツヴァイの操縦者カレー大好き小林マスミに完全勝利した俺は焼け野原と化した岡山県から徒歩で大阪府に移動して『しゃかりきアニサキス』とかいうふざけた名前の寿司屋に入店した。

 寿司屋といっても、そこら辺の能なし専業主婦が働いているようなクソ雑魚百円寿司ではなく、ちゃんとした職人が握っている寿司屋である。

 しかし俺は入店から二秒であることに気づいてしまった。

 寿司を握っていたのがなんと女だったのだ!

 俺、小室キエイは怒りのあまりその寿司屋しゃかりきアニサキスで寿司を大量に食った後に食事代の支払いを拒否してしまった。

 「お客様、お金はしっかり払ってもらわないと困りますよ」

 「女が握った寿司は寿司じゃねぇ!つまり俺は寿司は食ってねぇ!寿司屋なのに客に寿司を提供しないおめぇが悪い!あとなんだしゃかりきアニサキスって」

 「そんなのあんまりです、アタシは北朝鮮の親方のもとでちゃんと修行して寿司職人になったんです!お金を払わないのであれば、警察に通報させていただきます」

 北朝鮮で修業してきたらしい美少女寿司職人が泣きながら俺にガチギレしてきた。

 「レッツ!ア~ン?ビーテクマ~イン?ビンビンビクビクビーテクマ~イン?」

 数秒後、サイレンの音と共に数人の警察官が全裸の俺を取り囲む。

 「じゃあ、ちょっと警察署までついてきてもらっていいですか?」

 キャバ嬢に二百万円ぐらい貢いでいそうな顔をした童貞丸出しの警察官の一人が俺の腕をつかむ。

 「なぁ、岡山県の焼肉酒屋あびすが爆発した事件の犯人、誰か知ってるか?」

 「い、いきなり何を言い出すんだ?」

 「その犯人俺なんだよ」

 もう、遅かった。

 「シンゴォォォォォォォォォッ!」

 寿司屋『しゃかりきアニサキス』は突然爆発を起こし、炎の中から深紅のボディが特徴的な巨大人型起動兵器・断罪王アインが出現する。

 断罪王アインの足元には爆発から瞬時に避難したと思われる美少女寿司職人が立っていた。

 自分の店、『しゃかりきアニサキス』を十九歳で無職の俺にぶっ壊されて悔しいのか、美少女寿司職人は下から憎しみのこもった表情で断罪王アインを睨みつけてくる。

 そして次の瞬間、美少女寿司職人が断罪王変神の呪文を大きな声で叫ぶ。 

 「シンゴォォォォォォォォォォォッ!」

 新川アワビの服がビリビリに破けると断罪王アインの前にピンク色のボディが特徴的な断罪王フィーアが出現する。 

 「これはたまげたなぁ~まさか美少女寿司職人のおめぇがあの、新川アワビだったとはな。寿司職人の制服と帽子のせいでまったく気づかなかった」

 「たまげたのはこちらも同じよ、あなたがメサイアを脱走した、あの小室キエイだったとはね...なぜ多くの人々を守ることができる断罪王の力を持ちながらメサイアを裏切ったの?」

 「メサイアを裏切っただと?俺はこの断罪王のすげぇ力をユーマ相手だけにしか使わないあのつまらねぇお利口ちゃん共に忠誠を誓ったことは一度もないぜ!」

  「アタシの夢は自分の握った寿司でみんなを笑顔にすることよ!その夢を叶えるためなら北朝鮮の親方の厳しい修行にだって耐えられたし、結果的には自分の店も持てた!なのに、あなたは女性が寿司を握っていたのが許せないとかふざけたことを言って、結果、私の店は潰れてしまった。アタシはあなたを絶対に許さない!」

 「誰がおめぇに許してくれって言ったんだバカ野郎‼とにかく女は寿司を握るな!握るなら俺のソーセージにしろ!」

 「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」

 一瞬で百体に増えた断罪王フィーアが四方八方から断罪王アインを攻撃してくる。

 「クッ...百対一だと...卑怯者!お前それでも人間かよ!」

 「あんただけには言われたくないわよ!」 

 総勢百体にも及ぶ断罪王フィーアの予測不可能、回避不可能の攻撃に断罪王アインはろくに反撃も出来ないまま、地面に仰向けに倒れる。

 「ダメだやっぱ...でも一回あたりの攻撃で発生するダメージは大したことないぜ‼」

 「でも、ひとつもけられないんじゃ、意味ないでしょ‼」

 断罪王フィーアの攻撃が再開される。

 断罪王フィーアのパンチとキックが四方八方からとどめとばかりに断罪王アインに襲い掛かる。

 全身に襲い掛かる激痛にお花畑を何度も直視する小室キエイ。

 しかし、全身を襲う激痛がそれまでなにもなかったようにいきなり停止した。

 よく見ると、目の前にいる断罪王フィーアが動きを止めていた。

 そして地球の守護神である断罪王アインと化した小室キエイの五感がユーマの出現を感知していた。

 「近くに間違いなくユーマがいるはず...なのになぜ視覚で捉えることができないんだ?」 

 目に見えないユーマの存在に小室キエイは困惑を隠せない。

 そして、突如動きを止めた断罪王フィーアの背中から左右に四本ずつ、合計八本の腕が出現する。

 「うああああああああああああッ!そんな...このアタシが目に見えないユーマに寄生されたというのか...」

 断罪王フィーアから放たれた美少女寿司職人・新川アワビの言葉に偏差値8の小室キエイは状況を理解する。

 「まさか、目に見えないユーマが断罪王フィーアの体に寄生して内側からコントロールしているというのか...‼俺はユーマに助けられたのか?」

 断罪王フィーアの胸部中心からテレビのバラエティー番組でおバカキャラが特徴的な宗教シンガー下地働助の顔が現れる。

 全部で十本の腕を持ち、胸部から下地働助の顔面が飛び出た断罪王フィーアの全身に無数の穴が開く。

 ユーマに寄生された断罪王フィーアの全身にできた無数の穴から上半身が下地働助で下半身がケンタウロスになっている生命体が奇怪な叫び声を上げながら飛び出して地上の大阪府民を襲い始める。

 「ブーンシャーカァァァァァァァァァッ‼」

 「セミ、エビの次は下地働助とはな」

 大阪府民を襲う下地働助に注意をそらされていた俺に向かってユーマに支配されている断罪王フィーアの十本の腕が伸びて襲い掛かってくる。 

 「ダメだやっぱ」

 小室キエイは全身に突き刺さる断罪王フィーアの手刀から断罪王アインを支配しようとする目に見えないエネルギーが体内に侵入してきたことを察して絶望する。

 このままでは断罪王フィーア同様に断罪王アインもユーマに寄生され内側から支配されてしまう。

 「相手が肉体を通して俺を支配しようとするなら俺も同じことをするまでだ!いちかばちか!くらいやがれぇッ!狂撃の断罪インパクト!」

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 断罪王フィーアが俺の体に突き刺さした十本の腕を通して俺は狂撃の断罪インパクトによる狂撃波動をユーマに寄生された断罪王フィーアの全身に注入する。

 「ブーンシャーカァァァァァァァァァッ!ブーンシャーカァァァァァァァァァァッ!」

 狂撃の断罪インパクトにより脳が破壊された断罪王フィーアから頭の悪そうな叫び声が上がる。

 地上では大量の下地働助ケンタウロスが健常者なら絶対に襲わなそうな見た目をした大阪府民の女性高齢者を襲って交尾している。

 「ユーマに寄生にされた断罪王フィーアだけじゃねぇ!この際、大阪府民の女性寿司職人共も全員皆殺しにしてやるぜぇぇぇぇッ!くらえよッ!狂撃のぉぉぉッ!断罪インパクトォォォッ!」

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 断罪王アインの全身から放たれた狂撃の断罪インパクトによる狂撃波動が大阪府内全ての女性寿司職人の脳内に流れ込み、鼻と両目から大量の血を流して死んでしまった。

 「どうして...女性が寿司を握っちゃいけないのよ...」

 ユーマにすべてを支配されてしまったはずの断罪王フィーアの操縦者で美少女寿司職人の新川アワビから祈りにも似た言葉が漏れる。

 「うるせぇ!総理大臣と寿司職人はな!女がなっちゃいけねぇんだよ!」

 断罪王アインはとどめとばかりに断罪王フィーアの胸部中心に出現した下地働助の顔面を右手で掴むと、そのまま引っこ抜いて握りつぶした。

 ユーマに寄生された断罪王フィーアが太陽光をあびたアイスのように溶けていく。

 「ブーンシャーカァァァァァッ!っていったいなんなんだよ‼」

 小室キエイの叫びに応えてくれる者は大阪府内には一人もいなかった。

  地上では破壊と殺戮の限りを尽くした下地働助ケンタウロスがよその県を支配するために移動を開始していた。


第三話 断罪王アイン 対 断罪王ズィーベン‼特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドが爆発‼欲しいものはすべて他人の金で手に入れる!三次元の女は何度裏切っても二次元の女は絶対に裏切らない!そんな俺たちの日常を伝えたくて書きました‼令和の童貞は強いぞ‼世界最高民族日本人から仕事を奪うクソバカ不法入国者は今すぐ0歳児が操縦するドクターヘリに乗って日本列島から出ていけ‼


 「腹減ったな~」

 俺、小室キエイは大阪府から徒歩で京都府にやってきた。 

 世界最高民族日本の魂が形になったかのような街並みと風景に俺は感動する。

 そして全裸のままで京都内を歩き回っていた俺の前に不法入国者みたいな一人の美少女が現れる。

 「お久しぶりですね、ニャットです。服を着ないと警察に捕まってしまいますよ」

 おそらくへドナムからの不法入国者であろう美少女ニャットがビニール包装してあるシャツと下着とズボンを俺に突き出してきた。

 「警察が来ても俺には勝てんぜ」

 俺は不法入国者へドナム人美少女ニャットが俺のために買ってきてくれた衣服を手に取ると思いっ切り地面に叩きつけて、歌を歌いながら何度も裸足で踏みつぶしてやった。

 「ソーセージッ‼ウインナーッ‼た・ま・ご・や・きッ‼」

 「ひどい...!」

 「ひどい?ひどいのはてめぇのほうだろ?どうして不法入国者が世界最高民族日本人の魂の故郷である京都府に足を踏み入れてるんだ?とっととへドナムに帰れバカ野郎‼日本人から仕事を奪ってんじゃねぇよ‼この寄生虫が‼なんで俺たち世界最高民族日本人が日本国内不法入国者ランキング2位のお前たちへドナム人のために飢え死にしなくてはいけないんだ‼フォーでも食ってろバカ野郎‼」

 「私、不法入国者じゃありません‼」

 突然泣き出した不法入国へドナム美少女ニャットは携帯ですぐに俺のことを警察に通報する。

 「おめぇら女はいつもそうだ!泣きゃあ、相手と周りから同情してもらえると思ってる‼」 

 すぐにパトカーが一台、俺と不法入国へドナム美少女のもとにやってくる。

 パトカーから降りた警察官が全裸の俺の手に手錠をかける。

 「公然わいせつ罪で貴様を逮捕する‼」

 「裸になって何が悪い!シンゴォォォォォォォォォッ‼」

 俺は断罪王変神の呪文を唱えるが、俺の体はなんの変化も起こさない。

 「お腹が減って力が出ない~」

 そう、先程の断罪王フィーアとの死闘で広範囲に狂撃の断罪インパクトを放ってしまった小室キエイはエネルギー不足で断罪王に変神できないのだ。 

 つぎの瞬間、俺の目の前は真っ暗になっていた。

                *

 目を開けると俺は見知らぬ個室のベットの上にいた。

 個室を出ると、そこには痴呆老人と思しき生産性のない税金泥棒共が談笑したり、本を読んでいたりテレビを見ていた。

 そして俺の目の間に介護士の制服を着た女性が姿を現した。

 「小室キエイ十九歳無職さん、ご気分はいかがですか?」

 その美少女介護士は俺を冤罪で警察に通報した不法入国へドナム人美少女ニャットだった。

 「刑務所や精神病院ならまだわかるが、なぜ、俺が老人ホームにいるんだ?俺は無職だがまだ十九歳だぜ?」

 「どうやら日本全国の精神病院はかくかくしかじかで全て満室らしいです。なので警察の方々がから、あなたをこの特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドに入居させるように指示がありまして」

 「うるせぇよへドナム人!よくわからんがこの際この状況を利用させてもらう!断罪王に変神するからメシよこせ‼」

 「ご飯はあげません。残念ながらあなたを断罪王に変神させるわけにはいきません、このまま飢え死にしてもらいます」

 「なんだと!」

 「あなたにはこの特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドで飢え死にしてもらいます」

 「ならこちらにも考えがある!」

 俺は美少女へドナム人介護士のニャットの体を全速力で横切ると、特別養護老人ホ―ム・バロムジェノサイドの痴呆老人共の頭と首と手足を噛みちぎり、断罪王の変神に必要なエネルギーを補給する。

 「痛てぇぇぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼」

 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁッ!誰か助けてぇぇぇぇぇぇッ!」

 「痛い痛い痛い痛い痛い‼痛いって言ってんだろぉぉぉぉぉぉッ‼」

 美少女へドナム人介護士のニャットは上着のポケットから取り出した拳銃の銃口を小室キエイに向ける。

 「今すぐ、無意味な殺戮をやめなさい!やめないとあなたが断罪王に変神する前に射殺します‼」

 美少女へドナム人介護士ニャットの卑劣な脅しに俺はまだ一口も口をつけていない女性痴呆老人を盾にする。

 「もし、お前が俺を断罪王に変神する前にその銃で撃つなら、俺はこの税金泥棒を床のゴミクズ共みたいに食い殺すぜ‼」

 特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドの床には全身の肉を小室キエイに噛み千切られた血塗れの痴呆老人の死体が散乱している。

 「あなたは人を殺してもなんとも思わないんですか?」

 「フン!どうせここにいる痴呆老人共は働きもしないくせに税金を健常者から搾取し、介護士の心まで腐らせる寄生虫だ‼俺が殺してるのは人間じゃない‼寄生虫だ‼虫を殺してなにが悪い‼この糞雑魚底辺職の不法滞在者が‼収容所で毒ガス浴びながら切腹すると同時にブレイクダンスしろ‼」

 「なら小室キエイ十九歳無職!あなただけを狙撃させてもらいます‼」

 「させるかよぉ!シンゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドが爆発する。

 焼け野原と化した特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドに小室キエイが変神した深紅のボディが特徴的な断罪王アインと美少女へドナム介護士のニャットが変神した黄緑色のボディが特徴的な断罪王ズィーベンの巨体が向き合っている。

 「断罪王に変神した俺から自分の身を守るために老人ホームバロムジェノサイドの痴呆老人共を見捨てて断罪王に変神したのか...介護士失格だな!」

 「利用者のみなさんを殺したのは私じゃない‼全部あなたのせいよ‼」

 「でも、お前が俺に変神に必要な食料を与えればこんなことにはならなかったかもしれない...ま、俺は国に寄生する害虫を殺して食っただけだ、むしろあの痴呆老人共はニートのくせに最後に俺に食い殺されることで生産性を得ることができたんだ‼介護スタッフと遺族にはむしろ感謝してほしいよな‼アッヒャッヒャッヒャッ‼」

 「貴様ァァァァァァァァァッ‼」

 断罪王ズィーベンが手に持った大剣が蛇のように伸びて俺に襲い掛かってくる。

  「なるほど、剣とムチ、両方の性質を持った武器か、おもしろい!」

 俺は断罪剣を異次元から出現させ手に持つと、断罪王ズィーベンの剣撃をかわして、断罪王ズィーベンに接近、斬撃をぶち込む。

 「無駄だ!十九歳無職‼」

 断罪王アインの斬撃は断罪王ズィーベンの体から発生した目に見えないバリアに弾き返される。

 自らが放った斬撃が断罪王アインに跳ね返り、断罪王アインの全身を切り裂く。

 「くっ...反射効果がある絶対無敵のバリアに伸びる大剣...どうやって戦えばいいんだ‼」

 悩んでいる間にも断罪王フィーアの伸縮性のある大剣が俺を襲ってくる。

 「まずい...よけるので精いっぱいだ...しかし!これならどうだ!狂撃のぉぉッ!断罪インパクトォォォォォォッ‼」

 「無駄だ!十九歳無職‼」

 俺の放った狂撃の断罪インパクトが断罪王ズィーベンのバリアによって断罪王アインに跳ね返ってくる。

 「狂撃のぉぉぉぉぉぉッ!断罪インパクトォォォォォォォォッ‼どりゃああああああああああああッ‼」

 俺は跳ね返ってくる狂撃の断罪インパクトに対してさらに狂撃の断罪インパクトを放つ。

 狂撃の断罪インパクト同士がぶつかり合うことで発生する狂撃波動が京都府内に広がっていく。

 「し、しまった!これでは京都府内の人々の頭がおかしくなってしまう!」

 俺はそのあとも断罪王ズィーベンの攻撃を避けて断罪王ズィーベンに狂撃の断罪インパクトを放ち、バリアによって跳ね返ってきた狂撃の断罪インパクトに対して新たな狂撃の断罪インパクトを放ち、狂撃波動を特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドを中心に京都府内に広げていく。

 「さあ!どうする!このままだと京都府から最終的に全世界の人々が狂撃波動を浴びて頭がおかしくなるか、目と鼻から血を流して脳死してしまうぞ!人類に全滅されて困るのであれば、いますぐバリアを解除して俺の狂撃の断罪インパクトをその身に受けろ!」

 「わ、わかった...だが忘れるな!メサイアが所有する断罪王はあと四体もある...お前に勝ち目はない....」

 「うるせぇよ...だいたいてめぇら介護士は毎日毎日、家族に捨てられた痴呆老人のウンコ見ていったい何が面白いんだ?」

 「うるさい!十九歳無職のお前に!働きもしないで親戚の収入で生活している貴様に!介護士を馬鹿にする権利はないんだよ!」

 「言ったな!へドナム人!狂撃の断罪インパクトォォォォォォォォォォォォッ‼」

 フルパワーの狂撃の断罪インパクトが断罪王ズィーベンに向かってくる。

 全世界の人々の命と尊厳を狂撃波動から守るために美少女へドナム人介護士のニャットは断罪王ズィーベンの絶対無敵のバリアを解除した。

 「メサイアのみんな...あとはたのみましたよ...」

 小室キエイが操縦する断罪王アインから放たれたフルパワーの狂撃の断罪インパクトが断罪王ズィーベンに直撃した。

『龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘‼』

 美少女へドナム介護士ニャットの脳内に気が狂いそうな狂撃波動が流れ込んでいく。 

 「パパ!ママ!助けてぇぇぇぇぇッ!頭が!頭が痛いよぉぉぉぉぉぉッ‼」

 「ざまぁ!ざまぁ!ざまぁ!ざまぁぁぁぁぁぁぁッ‼」

 爆発炎上する断罪王ズィーベンを見て小室キエイがつぶやく。

 「今日は炭酸飲料でも飲むか...」

 その日、全ての京都府民が目と鼻から血を流して死亡するという不可解な事件が発生した。




 第四話 断罪王アイン 対 断罪王ドライ‼戦慄‼フォレストフレンド学園‼俺達無職は犯罪者予備軍じゃねぇ‼無職や人間の出来損ないを人間扱いしない極悪卑劣な教育機関をぶっ壊せ‼戦争も環境問題も人類が抱える全ての問題は人類そのものが滅びれば全て解決する!真の倫理とは全人類が地球という天然自然の奇跡の星のために自らの手によって滅びる勇気を持ち、それを実行することである!

 

 京都を出た俺は全裸のまま徒歩で東京都に移動した。

 今は亡き京都府の時のようにエネルギー切れの隙を敵に突かれないように俺はホテルの従業員と客を全員食って個室のベットで休憩する。

 しかし、少々派手にやりすぎたせいかパトカーのサイレンの音が俺の眠りを妨げる。

 俺はホテルの屋上から付近のマンションの一室に不法侵入して、その部屋の住人だと思われる女性を食ってなんとか難を逃れた。

                  *

 夢を見ている。

 懐かしい夢。

 そうだ、おれの妹の予言でユーマの存在を知った父さんと母さんはユーマから地球と人類を守るために断罪王を遺跡から発掘して地球防衛軍メサイアを設立したんだ。

 父さんと母さんが言うには断罪王はかつて地球を悪しき生命体から救済したっていうけど、俺にはなんかしっくりこないんだよな。 

 そう、父さんと母さんにモルモットにされた俺は断罪王アインの操縦資格を得たんだ。 

 断罪王アインとリンクして俺がわかったことは断罪王が地球上から人間を滅ぼそうとしていることだった。

 だから、予知能力のある妹に夢中で俺の存在を無視したり、俺をモルモットにしたり、断罪王を間違った使い方をしている父さんと母さんを信用できなくなって俺はメサイアの基地を出て親戚の家に住むことになったんだ。

 親戚の人たちは父さんと母さんと違って俺にやさしかった。

 俺が十九歳無職でもうるさいことは何一つ言わない。

 それは、単純に俺を愛してくれているのか、それともただの無関心なのか、それとも、俺が断罪王の力を持っていることを知っているからなのか、親戚のいる自宅に帰れば答えはすぐにわかるかもしれない。

 でも、俺はもう父さんと母さんと妹が指揮しているメサイアの断罪王を三体も倒してしまった。

 それに俺のせいで岡山も大阪も京都もただの廃墟になってしまった。

 俺はただ許せなかったんだ、高齢者が車を運転していること、専業主婦がフリーターや無職を馬鹿にしていること、女が寿司を握っていること、痴呆老人のために国のお金が無駄使いされていること。

 だから俺は怒りに任せて、焼肉酒屋あびすを、寿司屋しゃかりきアニサキスを、特別養護老人ホーム・バロムジェノサイドを破壊した。

 俺は十九歳にもなって自分の感情をコントロールできない哀れな無職なんだ。

 だから俺は自分のやりたいように生きる。

 それのなにが悪い。

 人間だろうがユーマだろうがメサイアだろうが俺は自分の気に食わないものは全部、断罪王アインで破壊してやる。

 人を殴って何が悪い。

 人を殺して何が悪い。

 人を食って何が悪い。

 裸になって何が悪い。

                *

  目を覚ますと俺の目の前にメガネをかけたスーツ姿の美少女がいた。

 「俺は小室キエイだ」

 「ねぇ、あなた空き巣なら私の妹を知らない?」

 妹...ああ、そうか、俺が昨日食った女はコイツの妹だったのか。

 「知らない、とにかく俺はここで休憩させてもらう」

 「それはちょっと困るわね、なんなら警察呼びましょうか?」

 「ここ最近、奈良と大阪と京都が壊滅した事件は知っているか?」

 「ええ、ニュースで見たわ。あとエビとセミと下地働助みたいなユーマが各地で暴れているってこともね」

 「それは全部俺の仕業しわざなんだ、俺は断罪王アインに選ばれた十九歳無職なんだ、だから死にたくなかったら俺を怒らせない方がいい」

 「それなら私も言わせていただくけど、私はメサイアに断罪王ドライの操縦者に選ばれた教師の大保方バルゴよ」

 「もしかして、あの大保方バルゴなのか...お前、昔はメガネかけてなかったよな」

 「メサイアの代表であるあなたのお父さんとお母さんはあなたの悪行に関しては随分と寛大よ。でも私は私の妹を殺したあなたを許せない...」

 「なるほど、お前は妹の仇をとりたいがメサイアに裏切り者として処罰されるのが怖くて俺を殺すことができない。それでは戦士失格だな...」

 「私をあまりナメないほうがいいわね、それよりメサイアの代表、つまりあなたのお父様とお母さまからあなたにちゃんとした教育を受けさせて更生させるためにとある学校に入学させるように言われているわ」

 「なるほど、お前はそこの教師なんだな」

 「察しがいいわね、なら今すぐ私についてきなさい」

 俺は大保方バルゴに案内された都内の学校フォレストフレンド学園の校舎に全裸のまま足を踏み入れる。

 校舎の中には主に十代から六十代までの社会に適応できない無職と人間のできそこない共が学ランに身を包んで授業を受けていた。

 「このフォレストフレンド学園はね、社会に適応できない大人をあらゆる教育方法で社会に適応させることを目的とした施設なの」 

 「つまり、親に見放された無職や引きこもりを拉致してここで監禁しているわけか」

 「だって仕方ないでしょ、無職や引きこもりはこの国じゃ立派な犯罪者予備軍なんだから、親に捨てられ一般社会から隔離させられるのは当然のことよ」 

 「なるほど、俺みたいな無職やコイツらみたいな引きこもりやできそこないは最初からこの世界に産まれてこなければよかったと、お前は教育者でありながらそう言うんだな」

 「勘違いしないで、ここはあくまで社会不適合者を社会適合者にステップアップさせるための場所よ、閉鎖病棟じゃないわ」

 「同じだよ、働かなくてもここである程度の生活が保障されるなら、ここの出来損ないどもはあえて、社会に出ずにこの学園にずっと引きこもってるさ、そのほうがお前たちみたいな社会に適応している奴らにとっても都合がいい」

 「ま、確かにそこが最近問題になってるのは確かだけどね。でも野に放つより、ここで隔離しておけば少なくとも犯罪抑止力にはなるわ」

 「フフ...無職はみんな犯罪者か、まるでマスメディアだな...お前の子どもがせいぜい無職にならないように気をつけるんだな」

 「全力でそうさせてもらうわ」

 俺は全裸のまま、教室に入る。

 授業中にもかかわらず、学ランに身を包んだ四十代のハゲのおっさんが下半身を露出したまアイドルの歌を歌いながらソーセージをシコっている。

 周りの教師や生徒はもう見慣れてるのか、大したリアクションもせずに授業が再開される。

 そして数秒後、今度は生徒の一人であるメガネ君がいきなり奇声を上げながら教壇に立っている若い女教師の胸を両手で揉みはじめた。

 それを見たシコシコハゲジジイ四十歳のソーセージをしごく手の動きが速くなる。

 奇声おっぱい星人のメガネ君に両胸をもまれていた女性教師がスーツポケットの中に手を入れて何かのスイッチを押すとすぐに教室内に全身黒ずくめの特殊部隊が侵入してくる。

 特殊部隊に麻酔銃で撃たれた奇声おっぱい星人のメガネ君は担架に乗せられてどこかへと連れていかれる。

 それを見ていたソーセージシコシコハゲジジイ四十歳がソーセージをしごくのをやめていきなり上下にジャンプし始める。

 授業が再開される。

 太ったデブ女おそらく三十代がアニメソングを歌いながらブレイクダンスを踊り出す。

 教室に特殊部隊が突入する、授業中にブレイクダンスを踊っているデブが麻酔銃で撃たれて気絶する、担架でどこかへ運ばれる。

 授業中にガリガリメガネおそらく四十代が一人でカードゲームのバトルを開始する。

 教室に特殊部隊が突入する、カードゲーム大好きガリガリメガネおそらく四十代が麻酔銃で撃たれて気絶する、担架でどこかへ運ばれる。

 三十代と思われるチビデブハゲが教卓の上に登って呪文を唱えながらズボンとパンツを脱いでウンコし始める。

 教室に特殊部隊が突入する。教卓の上で呪文を唱えながらウンコし始めた三十代と思われるチビデブハゲが麻酔銃で撃たれて気絶する担架でどこかへ運ばれる。

 授業中にいきなり席を立った女性おそらく二十代がその場で側転をし始める。

 教室に特殊部隊が突入する。

 側転女が麻酔銃で撃たれて気絶する、担架でどこかへ運ばれる。

 授業中におそらく十代と思われる美少女が大声で世界の終わりを宣言し始める、麻酔銃で撃たれる、担架でどこかへ運ばれる。 

 授業中に交尾し始めた高齢カップルが

 授業中に席を立ってジャンプしているおっさんが

 授業中にイマジナリーフレンドと話しはじめたおっさんが

 授業中に幽霊と話しはじめた美少女が

 授業中にギターを引き始めたおっさんが

 授業中にラップバトルをし始めたおっさんと美少女が

 授業中にいきなり戦争の愚かさを唱え始めた美少女が

 授業中に突然、楽器でジャムセッションし始めたお兄さんとお姉さんが

 授業中にとうとう気が狂って泣き叫び始め暴れ出した女教師が

 特殊部隊に、麻酔銃で撃たれて、気絶して、担架で運ばれる。

 授業終了のチャイムが鳴る。

 俺は全裸のまま、教室を出る。

 俺は廊下に立っている大保方バルゴに問いつめる。

 「全裸でもおとなしくしてれば、特殊部隊に麻酔銃で撃たれないんですね」

 「それに関しては法則性はないわ、特殊部隊を教室に投入する判断基準はスイッチを持った教師の気分によって違うからね」

 「とにかく、これだけは言わせてせてもらう、たとえどんな理由があろうと俺たち社会不適合者は人間だ‼しかし、ここで行われているのはあまりにも人道に反している‼」

 「だったらどうするの?」

 「お前たち教師も、このフォレストフレンド学園とかいうふざけた名前の学校も俺が破壊する」

 「今、この学校を破壊すれば、ここの寮で生活している生徒もみんな死ぬわよ」

 「どっちにしろ、ここの生徒は皆、親に捨てられ、社会に居場所がない出来損ないどもだ、このまま人間扱いされずにここで生き続けるよりも、今ここで死んだ方が出来損ないどものためになる‼」

 「なら、私はここの生徒をあなたから守るわ!」

 「違うな!お前はそれを理由に妹の復讐をしたいだけだ!」

 「シンゴォォォォォォォォォォォォッ!」

 小室キエイと大保方バルゴがほぼ同時に叫んだ。

 フォレストフレンド学園が爆発した。

 瓦礫の山と化したフォレストフレンド学園に深紅のボディが特徴的な断罪王アインと黄色のボディが特徴的な断罪王ドライの巨体が向かい合っている。

  両手にカギ爪を装備した断罪王ドライが超高速移動で断罪王アインを翻弄する。

 小室キエイの視力では断罪王ドライの動きを捕らえることができない。

 だから。

 気がついた時にはもう断罪王ドライのクロー攻撃によって小室キエイの全身に何度も激痛が襲う。

 「ダメだ、やっぱ」

 狂撃の断罪インパクトを放つにしても敵が高速移動をしているのでうまく狙いを定めることができない。

 「おい、大保方バルゴ!今すぐ攻撃をやめないと断罪インパクトを世界中に向けて放つぞ‼」

 「フン、そんな脅しが私に通じると思っているのか?お前が断罪インパクトを放つ前に私がお前を殺してやる‼」

 気がついたらもう、大保方バルゴが操縦する断罪王ドライのカギ爪が断罪王アインの胸を貫通していた。

 断罪王アインの操縦席にいる小室キエイの口から大量の血が流れる。

 「あなたの家族には悪いけど妹の仇は打たせてもらうぞ...‼」

 断罪王ドライのカギ爪が断罪王アインの首を切り裂こうとした瞬間。

 断罪王ドライの両手が鮮血と共に宙を舞う。

 小室キエイと大保方バルゴの目の前に、二人とも見たことがない銀色の断罪王が姿を現す。

 「そんな...遺跡から発掘された断罪王は全部で八体のはず、メサイアの私ですら知らない九体目の断罪王が存在していたなんて‼」

 『我が名は...断罪王ヌル...』

 断罪王ヌルから発せられたと思われるテレパシーが虎夢路キエイと大保方バルゴの脳内に流れる。

 「断罪王ヌルだと....人類の守護者である断罪王に仇なす断罪王など...私は...私は認めないぞ!」

 両手を失った断罪王ドライから超高速で放たれるキックが断罪王ヌルを背後から襲う。

 しかし、断罪王ヌルは一瞬で断罪王ドライの背後に移動して、手刀で断罪王ドライの首を切断してしまう。

 「つ、強すぎる...‼」

 東京都内に断罪王ドライの首が転がる。

 断罪王ドライを超える機動力をもった断罪王ヌルの性能に小室キエイは圧倒される。

 「つ、次は俺が殺されるのか?嫌だ!俺はまだ...死にたくない、誰か、誰か助けてくれぇぇぇッ!」

 断罪王ヌルはボロボロの断罪王アインをしばらく凝視すると何もせずに、姿を消してしまう。

 「メサイアでも知らない断罪王...ヌル...いったいなんなんだよ...アイツは...」

 虎夢路キエイは突如、現れた謎の断罪王の存在に戦慄しつつも全てを終わらせるためにメサイアの本拠地がある静岡県へと移動を開始した。


第五話 断罪王アイン 対 断罪王フュンフ!断罪王ゼックス!断罪王アハト!そしてついに爆誕!超覚醒!断罪王Ω〈オメガ〉‼ バカの話は長い!バカの話はわかりにくい!おい、おめぇらよぉ!人間同士で傷つけあうこんなクソみたいな世の中に親の都合で無理矢理誕生させられて、本当に満足なのか!答えろ!答えろって言ってんだよぉぉぉぉぉぉぉ!


 地球防衛軍メサイアの基地は静岡県の富士山にある。 

 メサイアが設立されてすぐに富士山そのものが改造されて八体の断罪王を所有する軍事基地になってしまったのだ。 

 そのメサイアの断罪王も小室キエイの断罪王アインを含めてあと四体。

 先日、小室キエイの目の前に突如出現した謎の戦士、断罪王ヌルも含めれば、今この日本には全部で五機の断罪王がいることになる。

 しかし、五機の断罪王が激突し、一体の断罪王が生き残ったところで宇宙からの侵略者ユーマとの戦争が終るわけではない。

 小室キエイは断罪王同士の戦いが人類にとって無益な戦いであると知りながらも、あえて全ての始まりの場所でもあり最終決戦の地でもある、静岡県の富士山へと足を踏み入れた。

 静岡県は地獄と化していた。

 岡山県から逃げ出したセミ人間とエビ人間。 大阪府から逃げ出した下地働助ケンタウロス。

 この三体のユーマが静岡県内に集合し、静岡県民を犯したり、食い殺していた。

 そして大量のセミ人間、エビ人間、下地働助ケンタウロスは自らの敵であるメサイアの本拠地へと向かっていく。

 その数の中にはこれまでに各都道府県でユーマに犯された人間から誕生したセミ人間、エビ人間、下地働助ケンタウロスも含まれている。

 「なんだよ...あいつらも俺と同じでメサイアを潰しに来たのか...それより、あの断罪王ヌルとかいうやつ...!」

 (断罪王ヌル...あいつは俺の味方なのか?それとも敵...?)

 どちらにせよ静岡県は今、世界で一番危険な場所になってしまった。

 「シンゴォォォォォォォォォォォォォッ‼」

 断罪王アインに変神した俺はメサイアの本拠地である富士山に向かって右手のひらをかざす。

 「狂撃のぉぉぉぉッ!断罪インパクトォォォォォォォォォォッ‼」 

 断罪王アインの右手のひらから放たれた断罪インパクトが富士山に直撃、爆発が起きる。

 小室キエイが放った断罪インパクトが開けた穴から無数のセミ人間とエビ人間と下地働助ケンタウロスがメサイアの軍事基地に侵入して内部のスタッフを犯したり、食い殺している。

 突如侵入してきた、異形の襲撃にメサイアの本拠地は阿鼻叫喚と化す。

 内部で怒号と悲鳴が飛び交い激しい銃撃戦となっている状況が断罪王アインと化した俺の超聴力を通して伝わってくる。

 「これは思っていたよりも早くけりが着きそうだな...」

 「それはどうかな」

 その言葉が小室キエイに向けて放たれたのと同時に富士山が突然、大噴火を始める。

 富士山の山頂から流れ出した溶岩が山を削る、溶岩は俺が狂撃の断罪インパクトで開けた穴にも流れ出して軍事基地内部のセミ人間、エビ人間、下地働助ケンタウロスと、それらと戦っていたメサイアのスタッフの肉体を超高熱で溶かしてしまう。

 「妹のビザビドには確か予知能力があったはず...なのに、なにもせずに..スタッフを囮にして基地ごと大量のユーマ共を破壊するつもりなのか!どうなんだよ!人として!」 

 噴火を始めた富士山頂から三体の断罪王、小室キエイの父親・小室ガゴが操縦する茶色のボディが特徴的な断罪王フュンフ、母親・小室マゴが操縦する紫色のボディが特徴的な断罪王ゼックス、妹・小室ビザビドが操縦する水色のボディが特徴的な断罪王アハトが出現する。

 「どうもなにも、ビザビドの予言通りだよ、なぁ、マゴ?」

 「ええ、そうねガゴさん。それにしても随分と派手な帰宅ね、キエイ。ビザビドちゃんもきっとよろこんでいるわ」

 「久しぶりに会えてうれしいよ兄さん...また一緒にブルーギルを釣りに行こうね」

 「ビザビドの予知能力があればこうなることがわかっていたはずだ!なのにお前たちは、あの気色悪いユーマ共を全滅させるために、あえて基地のスタッフを避難させずに囮にしたのか?」

 「その通りだよキエイ、でも我々はビザビドの予言のおかげでこうして基地から脱出して愛する息子と再会できた‼」

 「それにこの事態を招いた原因はあなたにもあるのよキエイ」

 「なんだと‼」

 「母さんの言う通りだよ、兄さんが焼肉酒屋あびすや寿司屋しゃかりきアニサキスでガチキレして断罪王アインに変神していなかったら、セミ人間、エビ人間、下地働助ケンタウロスが日本中で暴れることもなかった...」

 「ビザビドの言う通りだよ...キエイ、そろそろ私たち家族のもとへ帰ってきなさい。新しい基地ならまた別の場所に作ればいい、それにユーマに唯一対抗できる断罪王を所有している我々家族はこの国では無敵の人だからね、今回のスタッフを囮にしてユーマを殲滅したことも国は見て見ぬふりをしてくれるから安心しなさい」

 「それに断罪王ドライにも勝てないあなたの断罪王アインでは私たちが操縦する三体もの断罪王に勝てるわけがないわ!」

 「うるせぇよ‼俺は今日、お前らをぶっ殺すためにここに来たんだ‼俺は何物にも縛られない‼俺は自由だ‼俺は神だ‼俺が最強なんだよぉぉッ‼くらえッ‼狂撃のぉぉぉッ‼断罪インパクトォォォォォォォォッ‼」

『龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘‼』 

  断罪王アインの手のひらから放たれた狂撃の断罪インパクトが断罪王フュンフ、ゼックス、アハトに直撃する。 

 「やったぜ‼」

 狂撃の断罪インパクトの直撃を受けた断罪王フュンフ、ゼックス、アハトとその操縦者である小室ガゴ・バコ・ビザビドは狂撃波動を脳に受けて死亡する...はずだった。

 しかし、つぎの瞬間、小室キエイは狂撃の断罪インパクトを放つ直前の時間軸に飛ばされていた。

 「なに?時間が巻き戻ったというのか‼」

 「その通りだよ、兄さん。僕の断罪王アハトは時間を巻き戻すことができる。僕は未来予知能力で相手の行動を未来予知できるし、仮に未来予知と違う現象が起きたら断罪王アハトの力で時間を巻き戻してなかったことにすることもできる‼」

 「とりあえず、聞き分けのわるい子にはお仕置きだな‼」

 「そうね、あなた‼」

 小室ガゴの操縦する断罪王フュンフの全身に装備された無数のレーザービーム砲から放たれたビームのシャワーが断罪王アインに降り注ぐ。

 「うあああああああああああああッ!」

 小室マゴの操縦する断罪王ゼックスの全身に装備された無数のドリルミサイルがビームのシャワーを浴びせかけられている断罪王アインに直撃する。

 「ぐあああああああああああああッ!」

 「兄さん、もう降参しなよ、僕たち人類の敵はユーマなんだ、今は人間同士で争っている場合じゃない」

 「基地のスタッフをセミ人間共と道ずれにしたお前たちにそんなことを俺に言う資格があるのか?」

 「そういう兄さんだって怒りに身を任せてこれまで大勢の人間を傷つけて殺して食ってきただろう?僕達人類は何も犠牲にせずに生きることはできないんだよ‼」

 「ならそうならないように、お前が断罪王アハトの力で時間を巻き戻せばいいだろ‼」

 「兄さんも知っているだろ?断罪王の力を使うにはかなり体力を使うことを。だから一日に何度も時間を巻き戻せるわけじゃない」

 「ビザビド、しゃべりすぎだぞ‼」

 「あなた、今のうちにキエイにとどめを‼」

 「残念だよ、兄さん...これでお別れみたいだ...」

 断罪王フュンフの無数のビーム攻撃と断罪王ゼックスの無数のドリルミサイル攻撃を同時受けた断罪王アインの巨体は黒焦げになり、全身穴だらけになった状態で地面に仰向けに倒れている。

 「ダメだ、やっぱ...俺は家族に殺されるのか...」

 その時、断罪王アハトを操縦していいたビザビドは空から落ちてくる雷を見た。

 そして、その雷が断罪王アハトに直撃して爆砕する未来を予知したビザビドはすぐさまその未来を回避するために断罪王アハトの力で時間を巻き戻そうとする。

 しかし、すこし遅かった。

 光の速さで頭上から突撃してくる雷は断罪王アハトの時間を巻き戻す能力が発動するわずか一秒前に断罪王アハトに直撃していた。

 「ビザビド‼」

 「ビザビドちゃん‼」

 鉄くずと化した断罪王アハトの上に断罪王ヌルが立っている。

 小室ビザビドの操縦する断罪王アハトを爆砕したのは雷ではなく断罪王ヌルだったのだ。

 「やはり来たか...断罪王ヌル!」

 「誰が操縦してるのかは知らんが、我々メサイアに無断で断罪王を使い、ビザビドまで殺しおって..貴様だけは絶対に許さんぞ‼」

 「断罪王ヌル...あなたの正体も目的はもわからないけれど...ビザビドちゃんの仇は絶対にとらせてもらうわよ‼」 

 小室ガゴの操縦する断罪王フュンフの全身から放たれた無数のビームと小室バコの操縦する断罪王ゼックスの全身から放たれた無数のドリルミサイルが断罪王ヌルに向かって一斉に放たれる。

俺は父さんと母さんの意識が断罪王ヌルに向いている隙を突いて、満身創痍の断罪王アインの狂撃の断罪インパクトを断罪王フュンフと断罪王ゼックスに向けて放つ。

 「もう時間を巻き戻せる断罪王アハトはいない‼くらえぇッ!狂撃のぉぉぉッ‼断罪インパクトォォォォォォォォォォッ‼」

 満身創痍の断罪王アインから放たれた全力の狂撃の断罪インパクトが小室キエイの両親が操縦する断罪王フュンフと断罪王ゼックスを直撃する。

 「キ、キエイ...お前は...親を殺すのか...!」

 「キエイ...ああ...あなたさえ産まれてこなければ...!」

 「お前たちだって俺を殺そうとしたじゃないか...‼それに俺は自分で選んでお前たちのもとに産まれてきたわけじゃない‼」

『龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘‼』

                *

 狂撃波動を脳内に受けた小室ガゴと小室マゴが目を覚ますと目の前に暗闇が広がっていた。

 暗闇の中で小室キエイが全裸のまま空中で座禅を組んでいる。

 そして小室キエイの声が頭の中にテレパシーのように聞こえてくる。

 「俺はずっと父さんと母さんとビザビドのことが憎かった。父さんと母さんはビザビドが生まれてビザビドに未来を予知する能力があるとわかった時から俺の存在なんてまるで最初からなかったみたいに無視して、ビザビドだけに愛情を注ぎ込むようになった‼そして嫌がる俺を無理矢理モルモットにして断罪王アインの操縦者にした‼だから俺はそんな家族に嫌気がさしてメサイアの基地から脱走してあなた達から距離を置いた‼」

 「そうよ...あんたさえ産まれてこなければ、こんなことにはならなかった‼」

 「やめないか、マゴ‼すまなかったなキエイ。我々はビザビドの予知能力と断罪王の力に魅せられて、親として、人として大事なことを忘れてしまっていたのかもしれない...でもキエイ...これでこの世界に存在する断罪王はお前のアインとヌルの二体だけになってしまった...お前たちだけで果たしてこれから地球を襲ってくるユーマに勝てるのか?」

 「父さんは俺のことを心配してくれてるんだね...ありがとう...でも大丈夫だよ、断罪王アインがね、変神するたびにいつも教えてくれるんだ、断罪王は地球の味方であっても人類の味方ではないって、地球に危険をもたらす存在がたとえ人類でも断罪王は地球から人類を滅ぼすんだって...俺にそう教えてくれるんだ」

 「わかっていた...わかっていたはずなのに...現に、遥か太古の昔に環境破壊を続ける人類は地球の意思の代弁者である黒の断罪王によって一度、滅びていた...私はそれを断罪王フュンフから教えられていても、断罪王をユーマから人類と家族を守るための盾にしたかった...」

 「父さん...」

 「宇宙の意思は我々人類が宇宙軍事開発を始めたことで宇宙全体に戦争が広がることを恐れて、宇宙からユーマを地球に投下して宇宙軍事開発を実行した人類と人類を作った地球を滅ぼそうとしたんだ」 

 「つまり、果てしなく争い続ける俺たち人類と人類を生んだ地球はもう、宇宙全体にとって必要のない存在なんだよ」

 小室ガゴと小室マゴの目の前に突然、大量のセミ人間とエビ人間と下地働助ケンタウロスが出現する。

 「父さん...母さん...さようなら...」

 大量のセミ人間とエビ人間と下地働助ケンタウロスが小室ガゴと小室マゴを取り囲み、体を触ってくる。

 「父さん...母さん...この特別な異次元空間で元気なユーマの子供を産んでね...」

                *

 そして現実の小室ガゴと小室マゴは黒こげになった断罪王フュンフと断罪王ゼックスのコックピットの中で両目と鼻から大量の血を流して死んでしまっていた。

 小室キエイは両親を殺して、地球防衛軍メサイアを壊滅させた。

 謎の戦士・断罪王ヌルは断罪王アインに何もせずにただ見つめている。

 しかし、激戦で大きなダメージを負った小室キエイと断罪王アインに断罪王ヌルと戦う力は残っていなかった。

                *

  断罪王ヌルがテレパシーで俺に聞いてくる。

 『お前は人間でありながら人類と断罪王を悪用していた人間たちを滅ぼそうとしていた』 

 「なんだ...?頭の中で声がする...」

 『だから、宇宙の意思が生み出した、断罪王ヌルはお前を助けた』

 「なるほど...なら断罪王ヌル、宇宙の意思が生み出したお前の目的は地球と人類の滅亡なんだな...」

 『その通りだ。人類であるお前には人類と地球を滅ぼす覚悟が本当にあるのか?』

 「その覚悟が俺になかったらお前は俺をどうするつもりなんだ?」

 『他の断罪王と同じく、滅ぼす』

 「なら安心しろよ!人類だろうが、地球だろうが俺が気に食わないものは全部俺がぶっ殺す‼」

                  *

 次の瞬間、断罪王ヌルと満身創痍の断罪王アインが光に包まれて一つになる。

 地球の意思が生み出した断罪王アインと宇宙の意思が生み出した断罪王ヌルが一つになる。

 小室キエイの全身にこの宇宙全ての力と情報がみなぎってくる。

 そうか...そういうことだったんだな...!

 そう、断罪王ヌルのヌルはドイツ語でゼロを意味する。

 ゼロは終わりでもあり始まりでもある。

 つまりゼロは可能性。

 断罪王ヌルは無限に進化する。

 小室キエイが全身にみなぎる無限の可能性に興奮する。

 やがて一つになった断罪王アインと断罪王ヌルを包んでいた光が消え、金色のボディが特徴的な新たな断罪王が地上に君臨する。

 「断罪王Ω〈オメガ〉...これが俺の新しい力...」

 俺は金色に光り輝く断罪王Ωの右手のひらを海の向こう側に向けてかざして叫ぶ。

 「狂撃のぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼断罪インパクトォォォォォォォォォッ‼」

 俺は断罪王Ωの超感覚によって海の向こうで狂撃波動を浴びた人びとの不幸を感知する。

 そして、すぐに全人類に対して敵対的な存在とみなされた断罪王Ωを破壊するために、各国の所有する謎の人型起動兵器12260機が日本に集結して断罪王Ωに一斉に襲いかかってくる。

 (なるほど...海外のやつらは断罪王が地球から一人残らずいなくなった時のことを考えてアレを開発していたのか...しかし‼)

 俺は断罪王Ωの右手のひらを謎の人型機動兵器12260機に向けてかざす。

 そして叫ぶ。

 「狂撃のぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼オメガ‼断罪インパクトォォォォォォォォッ‼」

『龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘‼』

 その時である、宇宙の意思そのものである断罪王Ωの誕生に導かれるように宇宙から大量のユーマが地上に向かって降下してきた。

 人類に逃げ場、ねンだわ。


  この物語はフィクションです。実在する人物及び団体には一切関係ありません。











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新‼地球救済戦記ダンザイオーΩ〈オメガ〉 ~極めてなにか生命に対する侮辱を感じる物語。全てにおいて不平等なこの世界を無職童貞反逆者の俺がぶっ壊す‼~ @final69

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