第71話 朝ドラゴン⑥
『おはよう、ブランカ。よく寝ていたね、もうお昼近いよ』
僕はブランカの自慰行為には知らないフリをして、あえて明るく声をかける。
「……え?あ、おはよう……」
ぎこちなく返事をするブランカ。しかし、だんだんと自慰行為を見られたことを理解し始めたのか、ブランカの顔が真っ赤に染まっていく。
「こ、これは、違くて……」
ブランカの力無い声が小さく響く。
『起きたのなら早くご飯食べに行こうよ。僕はもうお腹ペコペコだよ』
恥ずかしがるブランカをつつき回したい欲求を捻じ伏せて、あえて知らないフリしてあげる。僕って優しいね。まぁこうなったのも元を正せば僕が原因なんだけどさ。
実は、あれからずっとブランカの胸のポッチを弄繰り回していたんだ。ブランカがなかなか起きないものだから、かなり長い時間ずっと弄り回していた。その間、一度も達していないから、ブランカの中で欲情の炎は大きく燃え盛っていることだろう。思わず自慰行為をしてしまうくらいには。
「そ、そうね。ご飯食べに行きましょう。んっ…!」
触れられたくない話題なのだろう。話を逸らしてあげると、ブランカは飛び付くように乗ってきた。しかし、ベッドから降りようと体を動かした時に、小さく嬌声を漏らす。たぶん、胸のポッチがワンピースに擦れたのだろう。今のブランカの胸のポッチは、充血して勃起し、とても敏感になっているはずだ。
顔を赤らめたブランカが、ワンピースの胸元を引っ張った。胸のポッチとワンピースが接触しないようにしたいのだろう。本人はさりげなくしているつもりだろうが、十分に不審な行為だ。
『どうして引っ張ってるの?服が伸びちゃうよ』
僕が声をかけると、ブランカはビクリと大きく体を震わせて、絶望したような悲し気な表情を浮かべる。なぜかすごくドキドキする表情だ。
「え、あ、うん……」
ブランカがおずおずとワンピースの胸元から手を離す。すると、ブランカの胸元には、2つのポッチが薄いワンピースの生地を押し上げて、くっきりと自己主張しているのが見えた。もしかしたらブランカは、これを見られたくなくてワンピースの胸元を引っ張っていたのかもしれない。
恥ずかしそうに顔を伏せ、僕に背を向けてベッドから降りるブランカ。僕はその様子を“神の目”を使ってブランカを下から眺める。この視点ヤバイな。ノーパンのお股も、顔を真っ赤にして、眉をハの字にし、口を固く結んだ何かに耐えるような表情も丸見えだ。おそらく、ポッチがワンピースの生地に擦れる刺激に耐えているのだろう。どうやらブランカのポッチはかなり感度がいいらしい。
「んっ…ごほっごほっ。さぁご飯食べに行くわよ!」
漏れ出た甘い吐息を咳で誤魔化して、ブランカが元気に言った。
◇
「こんな贅沢、いいのかしら…?」
屋台で売られていた串焼きを両手に持ったブランカが、喜んでいるのか困っているのかよく分からない微妙な表情を浮かべて呟いた。
『もう買っちゃったんだし、食べちゃいなよ』
僕も両手で持ったホットドックみたいな料理をパクつきながら答える。
「そうよね。もう仕方ないのよね…!」
ブランカの中で何かふっ切れたのか、串焼きに齧り付いて幸せそうな表情でモグモグするブランカ。
『ブランカ、この後だけど、僕に付き合ってよ。今日は買い物をしよう』
「買い物?」
『うん。いろいろと足りない物があるからね。』
「足りない物?あなた、なんでも持ってるじゃない」
ブランカはそう信じているのか、不思議そうな顔で僕を見る。足りない物があるなんて信じられないといった表情だ。
『なんでもは持ってないよ。持ってる物だけ』
「ふーん……」
ブランカはまだ信じられないのか、気の無い返事をする。
『例えば、僕はご飯や食材の類は持ってないよ』
僕はグルメなドラゴンとして知られていたから、食材を贈られることはよくあったけど、食材の類は僕ではなく料理長が保管していた。なので、僕は食べ物を持っていない。
「そう言えばそうね。他には?」
『お金も持ってないね』
「あれだけ物を持ってるのにお金を持ってないなんて……」
僕用の歳費はあったけど、それを管理していたのは僕ではなく巫女さんだからね。だから僕は直接お金を管理していなかったので持っていない。まぁ持っていたとしても、ここで使えるかどうかは分からないけどね。お金に信用が無ければ価値は無いのだ。紙幣とか紙屑でしかないね。
金貨や銀貨、銅貨など、貴金属が使われている硬貨なら、その分の価値はあることになるのかな。だから、国を跨いだ貿易などには、貴金属を使った硬貨が使われることが多い。
紙幣もあるにはあったけど、その利用できる範囲は限定的だった。只の紙である紙幣に価値を持たせる信用というものが未だ限定的なのだ。
なのでこの世界では、金本位制、もしくは銀本位制の国がほとんどだ。おそらく例外は無い。
『だから意外と持ってない物も多いんだ。もうお昼だし、今日はこのまま買い物の日にしちゃおう』
「そういうことなら……でも!必要ない物は買わないわよ!」
そう言って決意の固そうな顔をするブランカを説得するのは大変そうだなぁ……。僕はそっとため息を吐くのだった。
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