第2話

私が中学一年の梅雨の時期、母はテンション

高く、買い物から帰ってきた。

「ひかりちゃんにイイモノ買ってきたよ~!見てみてー!」


私に買ってきたイイモノとは傘だった。

普通の傘ならもっといい反応が出来ただろうけど、その時は、思わず目が点になり、フリーズしたのを覚えている。


ショッキングピンクの傘だった。

ヒラヒラした少し濃いピンクのレースが三層、傘に巻き付いていて、刺繍のような、ピンクの薔薇がプリントされている。


ロリータファッションの女の子が持っていたら似合うかもしれないが、普段、紺のセーラー服と眼鏡でショートカットの私が持つと明らかに傘だけが浮くだろう……。


私はこんな目立つ傘は持ちたくないと思い、やんわりと拒絶の言葉を発した。

しかし母は、自分のファッションセンスに絶対の自信を持っていて、

「間違いなく可愛い!似合うよ!」

と主張してきた。


そこそこのお値段がした上に、母が持つにはさすがに派手すぎる。

私に女きょうだいはいない。

仕方なく、私は本当に渋々その傘を使い始めることになった。

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