3-8 ★もういいか

 

 

  「屋台のオデン屋」

 、

 どうぞ遠慮なく、手を運んでくださいョ

 恋の始まりは一目惚れから始まることが多いね。

 そう、第一印象が輝いて見えるのです。

 見初めたその時から恋い焦がれるのです。

 居ても立ってもいられぬ恋慕の情の始まりだね。

 なぜ、恋をしちゃうのかと考えたときだがね。一般論として君はどう思っているかい。


 そうそう、その通りだ。

 いつまでもこの人の傍に居たいだろ。

 そして、自分が独りになった時など、逢いたくなって、逢いたくって居ても立ってもいられない。勉強も、仕事も、何もかもをもおろそかにしてでも逢いたくなるね。ほら、その証拠に君は最終電車の時間ぎりぎりまで逢っていた。君はすでに立派に恋の虜にはまっているのがこれでわかる。


 彼女と一緒に過ごす時、その刹那は時の流れを忘れるほど楽しく、仕合わせを想うものだ、幸せを共有したいという心が働くからだ。

 つまり、彼女の気を引くためならば命をも惜しまず一切の悔いがない。時を忘れて一緒にいたいと思う。一緒にいると心が癒される。安堵感に浸れる、だから、離れたくないし手放したくない。独占したい、彼女の人生の全てを盗んでまでもと・・そう思うのが恋心というものだよ。


 うん、その思う行動がだね、お相手からしてみれば拘束されて身動きが取れなくなっちゃうと思わせちゃうだろうよ、だろ。つまり・・常に見張られていては自由がない、息苦しくってしょうがない、となる。


 これは、この原因は嫉妬心から生じると思うよ。

 すると・・お相手は自由が欲しいと考えちゃう。

 ここから始まるよ、仲たがいがねぇ。


 言い合えば言い合うほどに反発し合うものだから不適切な言葉も使ってしまうなぁ。

 すると言葉尻、言葉のあやから生じた誤解を解こうと説得しても空回りだ。

 どうしてもお相手が受け入れてくれない、理解してくれない、となれば堂々巡りだよ、険悪な喧嘩になってしまう。よくあることだ!


 恋は音楽だと思うんだ、二人で奏でる音楽であるべきだと私は思っています。そして、人生そのものが音楽なのだとも思っています。共演する音楽でなければ私ら生きて行けません。音楽はこころと心との疎通を構築せよと促すのです。

 ですからあらゆる語彙を駆使した心の楽器、つまり・・言葉を駆使し、互いのこころを共鳴させて奏で合うのです。

 恋は音楽の存在無くして恋は成り立たない。だからね、心の想いを奏でるのは心の声だと想うのです。話し合う言葉の響きはなぜ心を揺さぶるのかがだがね、わかるかい。


 親っさん

 大根を一つづつ頂戴な

 あいよっ お粗末!


 二人の音が重なったとき神の声かと感じるほど神秘的な響きをかもし出すんだ。

 音楽は恐怖におとしいれることが出来るし、安らぐ心へと誘うことが出来る。

 喜びや不安とを歌う旋律に休符を織り交ぜて歌う。期待と不安、そして安堵の世界へと演出するのが、うん、そうです、休符号効果だ。休符という無音の間を置くとはだね、安堵へと導く間合いなんだ。これはまさに恋の成就へと近ずく恋路だネ。


 恋は叙情詩、アプローチするのは自分への興味を抱かせる手段なのです。他の男に寝取られたくないと思う心なのです。そう、それが恋することで、独占欲だよ。意識せずとも無意識のうちにお相手の全てを独占したいという意識が働く、それが恋する心の正体というものさ。この女を独り占めにしたいという本能です。

 つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る