2-8★もういいか
「屋台」
オヤッさん、こんばんは、どうもご無沙汰でした。
あっは、例によってまたまた訳ありの晩だよ。
ん、そそ、こちらの若い方も訳ありでネ、ご同様だわ。
まぁ、お掛けなさい。おでんを肴に一杯どうだい。
今夜は、冷えるネェ。
こう冷えるときは燗酒に温かいオデンに限る。だろ。
私は・・それと、そう、つみれ、ちくわ、それに、昆布だな。
あなたも好きなものをたのみなさい。なぁに、遠慮は要らない、わたしのおごりですよ。
そうだ、深刻なデートの帰でしたネェ。僕にも経験があります。
君の話を聴かずの今、何が分かるかと思うだろうが、君は岐路に立たされていると思うのです。
恋路という岐路です、この岐路に佇んでいる間は・・そう、まだ彼女との縁が切れてしまったわけではないのであれば、修復は可能だと思うよ。失敗すれば、この僕のように後年、醜態を晒すことになると思います。
ヘ~イ お粗末。
おう、これこれ、これですネェ、うん。
恋することは、とても大切なことですが、同時に怖いことなのですョ。
恋人との仕合わせに浸っていますが同時に不安や心配事が進行しているのですがネ、それには中々気付かないものですよ。ヤジロベイの如くバランスを保たにゃならんからね、経験者である僕はこれで失敗をしちゃいました。
兆候があったはずだが・・
そうだねぇ、遠距離恋愛と言うことは・・この半年以内に・・語り合う彼女の表情のそこかしこに見え隠れする不吉を想わせる兆候があったと思うのだがね。もっとも、それに気づいたとしても、この仕合わせを引き裂かれたくないという思いが強く働く、これは気のせいだろうと目を逸らしてしまうのです。
ぞっこん惚れ込んでいるさ中の恋とはそういうものです。ですから、恐れていたことが現実となったこの今、君らの恋を引き裂く悪魔が暴れ始めた訳だ。こうした場合、恋の轍を検証する必要があるな。共に歩んだ恋路という轍を、です。君らを取り巻く多くの環境を冷静に、心を落ち着かせて検証すると現実を見いだせるョ。悪魔に負けぬ為には冷静に考えることですョ。
辛いことかも知れないが、襲い掛かる現実を理解し、仲を裂こうとする悪魔を退治せねば解決しないと思う。それとも、それをせず彼女を諦めるかい。気まずさに立つということは、仕合せな人生を歩む為の分岐点に立たされているということですョ。
どちらを選ぶかで今後の人生は変わるが、どちらを選んでも君の人生も相手の人生も其々の人生だ、人生に変わりない。と僕は思います。
結論を急がずに恋について少々語り合おうかね。
つづく
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