第14話 謝罪


 通された応接室はソファーが2つと間に机がある部屋だった。俺は片方のソファーに座ってすぐに受付の職員とは違う制服を着た職員の方が水を持ってきた。


 「すみません、お水です。確認しておりますのでしばらくお待ちください。」


 そう言って応接室をあとにした。なんか大ごとになってきたなと思い水を飲みながら待った。お茶がよかったな。


 “ドンドン”

 「失礼します。」


 さっき、違う魔物と間違えた受付の女性が入ってきた。


 「先程はすみませんでした。ランクが低かったもので勝手に勘違いして鑑定もせずに見た目で判断してしまいました。」


 「他の人にはしないようこれから頑張ってくれ。」


 まー、そういう事だろうとは思ったけどな。受付の時の小言の事も言おうと思ってたが丁寧な謝罪だったため許すことにした。


 「報酬については上のものから話があると思います。私はこれで失礼します。」


 そう言って職員の方は戻っていった。するとすぐにドアを叩く音とカレンさんの声が聞こえてきた。


 “ドンドン”

 「失礼します。」


 カレンさんと一緒にゴツく、めちゃくちゃ怖そうな男の人が入ってきた。頬には無数の傷跡があり、片目が眼帯で抑えられている。


 「すまなかった。私の教育不足で命懸けで戦っている成果を無碍にしてしまうところだった。」


 土下座された。カレンさんもびっくりした顔で男の人を見ていた。


 「頭を上げてください。次から気をつけていただければ俺は大丈夫ですから。」


 「本当に申し訳ない。申し遅れたがギルドの管理、指導をやっているタイキだ。今後もよろしく頼む。」


 「冒険者のコウイチです。昨日異世界からやってきました。まだ転移したすぐで右も左も分からないですがよろしくお願いします。」


 モーガンに誰に対しても敬語使わなくて良いと言われたが偉そうな人と話すと敬語が出てしまう。徐々に慣れていけば良いだろう。


 「報酬の話をする前にコウイチのランクをDランクに上げようと思う。本当はもっと上のランクにあげたいのだが、規則として上のランクの冒険者と模擬試合をして認められたら上がる仕組みになっているのだ。」


 「そうなんですね。」


 「だからDランクで勘弁してほしい。」


 「分かりました。」


 「あと二つ名にパラバードキラーと下克上冒険者が加わったから。」


 ダサいと思ったことは心の中に秘めておこう。


 「報酬の件の話だが、カレンに聞いた話によると三体討伐したようだな。それも二体は素材残しで。出してもらえるか?」


 俺はリュックから胸を貫いたパラバードの胴体、クチバシがない貫通してる胴体、翼三つをだした。魔石と羽はさっき受付で出したので手元にない。


 「確かにパラバードだな。大きさも鋭さもハートとは段違いで違うのに…。謝罪分の金額も含めて、報酬はさっき受付で受け取った魔石を500万ヤン、翼を1,000万ヤンで買い取ろう。」


 「は?今何とおっしゃいました?」


 「聞こえなかったか、魔石500万ヤン、翼を1,000万ヤンで買い取ろうと言ったのだ。」


 いや、聞こえてたよ、聞こえてたけどさ。金額間違えてない?相場300万ヤンって聞いてたんだけど。


 「ここに出してもらったパラバードの部位はすまんが、ここじゃ買い取れない。中央都市か水車街なら大丈夫だと思う。」


 もうすでにカードにはお金を入れてあるからと受付で出したギルドカードを受け取った。一瞬にして大金持ちになった。


 「いくらか現金で渡そうか、受付では誰が聞き耳立てているか分からんからな。ここでは心配ない。」


 「あっ、じゃあお願いします。」


 俺はギルドカードを渡した。


 「100万ヤンでいいか?」


 「はい。」


 言われるがままに初めて見る現金のエメラルド金貨を受け取り、100万ヤン減ったギルドカードを受け取り応接室を後にした。その間カレンさんは固まってると言っても過言でないくらいポカンと固まっていた。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 |    ~ギルドカード~     |

 |                 |

 |名前:コウイチ・マツシタ     |

 |性別:男             |

 |ランク:D            |

 |使用武器:斧           |

 |二つ名:パラバードキラー     |

 |    下克上冒険者       |

 |所持ヤン:15,039,200    |

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る