第7話 ハンバーグ屋スミレ


 買い物を済ませ、ひと段落着いたところで急にお腹が減った。周りには露店やレストランが立ち並び、賑わいをみせていた。


 何食べようかなーとか、日本にない食べ物ないかなーとかぶらぶら歩いてると、ハンバーグをメインにしてるっぽい看板を見つけ食べてみたいと思い店内に入った。


 中はカウンター5席しかなく女性のマスターが自ら焼いてくれるそうだ。すでに3席埋まっていたが、もう食べ終わっていてマスターも含めみんなで談笑している所だった。


 「あら、いらっしゃい。初めて見る顔ね。」


 「どうも。この席いいですか?」


 「こっちにいらっしゃい。」


 常連そうな客の邪魔してはいけないと思い、一つ開けた席に座ろうとすると隣に座るように言われたので仕方なくそうする事にした。


 「何グラムにする?」


 メニューを見てみるとハンバーグ一筋ひとすじのお店でグラム数だけ選べる形になっていた。また、トッピングも少しあった。


 「じゃあ、200グラム、目玉焼きトッピングで。」


 「パンでいいのかしら?うちしか置いてない白米もあるけど?」


 なんと!白米があるらしい!

 さっき市場でかなり探したがなかったのでこの世界にはないものだと思っていた。


 「白米で!!!」


 食い気味にそう言った。叫んだと言ってもいいかもしれない。米があると知らず入ったがいい選択だったようだ。


 「おっ、にいちゃん分かる口だね。みんなパンを選んで間に挟むんだよな。」


 常連っぽい1人が話しかけてきた。その人は門番と同じ衛兵の格好をしていて強そうだった。

 そうなんですね。もったいないですね。と相槌をうった。初対面かつ目上の人に対して敬語をやっぱり使ってしまう。これから直していかなきゃな。


 焼けるのを待ってる間に朝から見れてなかった携帯のアップデートの内容を確認しようと携帯を取り出した。

 画面には異世界用アップデート完了の文字、開くとプロフィール、鑑定カメラ、マップ、メモ、ジャヤネットの5個のアプリしか入ってなかった。

 プロフィールからタップしてみた。


 <ステータス>

 名前:コウイチ・マツシタ

 性別:男

 年齢:19

 称号:転移者、守人(カットマン)

 レベル:7

 能力:HP 65/65

 MP 42/42

 攻撃力 ――39

 防御力 ――27

 魔攻力 ――27

 魔防力―― 14

 速力 ―― 24

 スキル:鑑定 Lv1

 所持ヤン:41900ヤン


 いつのまにかレベルが上がってる。ストームウルフを倒したからかな?転移してからステータス見てなかったから上がった事にすら気づいてなかった。こまめにステータス確認しなきゃなと思いながらステータスアプリを閉じた。


 次にジャヤネットを開いてみた。通販とかなのかなと開いたら全然違ってた。ジャパ○ットの名前ってよく聞きなれてるからこそ通販とそう思うよね。

 ジャヤネットは検索サイトだった。試しにストームウルフを検索してみると写真と共にランクや生息地、特徴などが書かれていた。


 <魔物>

 名前:ストームウルフ

 ランクB

 生息地:ジャヤホールの西南部

 特徴1:食欲旺盛。誰にも食事を取られたくないので群れる事はない。

 特徴2:神出鬼没。風に乗って音も立てずに移動するので見つけづらいし倒しづらい。


 試しにいるのか知らないけど異世界によくいるあの生物らも検索してみよう。


 <魔物>

 名前:スライム

 ランクE,D,C

 生息地:ジャヤホール全域

 特徴1:多種多様。ありとあらゆる場所に存在し、場所に合わせて進化する。


 <魔物>

 名前:ゴブリン

 ランクE

 生息地:ジャヤホール全域

 特徴1:党利党略。他の生物の物を奪う。また、繁栄の為なら手段を選ばない。


 色々検索している間に焼き上がりそうだったので携帯をしまった。

 日本で食べてたハンバーグは真ん中を凹ませて火の通りをよくしていたがここのハンバーグは丸長く、とても中まで火が通ってるとは思えなかった。

 しかも焼く時間がかなり少なかった。


 「出来上がり。好きな焼き加減の魔力をこめてね。」


 俺はポカンとした顔でマスターを見ていたと思う。


 「そういえば初めてだったわね。ミディアム・レア、ミディアム、ウェルダンどれがいいかしら?今回は特別に私が魔力を込めてあげるわ。」


 「じゃあ、ウェルダンでお願いします。」


 そういうとマスターはハンバーグの上に手をかざした。数秒たってはい!出来上がり!と言われたので置いてあったナイフとフォークで切ってみると中までちゃんと火の通っていた。


 「なにしたんですか?」


 「ハンバーグの中にファイアントの魔石が入ってるから、魔石に魔力を通して熱を発生させたのよ。」


 マスターは白ご飯を平皿につぎながらそういった。そして召し上がれとご飯と味噌汁を置かれてハンバーグを一口食べた。


 熱い。そりゃそうだ。今焼き上がったのに冷ましてもないのに。しかしそれを忘れさせるほどの肉汁が溢れ出してきた。外を鉄板で焼いてコーティングし、後から中に火を通す事により肉汁を逃さずジューシーに仕上がっていた。

 異世界の食べ物すごい。


 ものすごい勢いで完食し、常連さんとマスターと少し話した後店を出た。値段は1300ヤンでめっちゃ大満足できた。

 ハンバーグ屋スミレ覚えておかなきゃな!

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