第22話 椿姫

あれからいろいろあって、椿を説得する事が出来た。


「空兄もっとちゃんと肩揉んでよ。」

その代わりに椿の態度が大きいものになっていた。椿は僕の言わなかた謝罪の代わりに肩を揉めと要求してきた。こんな横柄な子に育てた記憶は無いんだけどな。 


ちなみに自称幼馴染は、椿を何とか説得して、明日も学校だから寝るって言ってアイスを食べて、いろいろして自分の部屋に向かった。


「それで空兄?この高校生の女の子が姉さんの生まれかりだとして、あの子どうするの?真面目に」

椿は、肩を揉まれながら優雅にアイスを食べていた。


「どうすれば良いのかな?」

分からないから聞いてみた。まあ、自分一人で考えてても仕方ないし、家族に頼る事にした。


「知らないよ。その……空兄はまだ幼馴染の事が好きなの?」


幼馴染の事か。もう好きとかそう言う類の物ではない。呪いとかもうそっちの方が近いかも知れない。

「幼馴染は、間違いなく初恋だけど。今も好きかって言われたら分からない。」


「分からないって何?空兄。」


「懐かしいと思うし、嫌いでは無い。でもせっかく生まれ変わったら、もっといろんな選択肢があっても良いと思ってる。まあ生まれ変わりだったらね。」

まあ、懐かしいし楽しいから追い出せないんだけどね。


「……それは、相手の事を考えてでしょ。そう言うの無しに空兄自身はどう思ってるの?」


「流石に15歳には、恋愛感情は湧かないでしょ。犯罪だし。親心みたいなのはある。」

ロリコンでは無かった。でも、自称幼馴染の事は心配だった。


「まあ、空兄はロリコンじゃないもんね。」


「何で、自称幼馴染がロリコンって言っているのか分からない。子供時代に子供のキャラとかが好きでもロリコンじゃないでしょ。」

まあその記憶がもしかしたら自称幼馴染にはあるのかも知れない。


「……そうですよね。空兄の恋愛対象って普通ですもんね。ふふふふ」


「何で、めっちゃ笑ってるの?」

何かすっごい椿が上機嫌になっていた。謎である。椿はたまによく分からない挙動をするんだよな。


「空兄は気にしないで。」


「それで、椿は何で急に帰って来たの?」

僕もしっかりと聞く事にした。今は上機嫌だし、答えてくれそうだ。


「それは……空兄の孤独死を心配したからだよ。優しいでしょ。私。」

どこまでが本気かは分からないが、まあ妹のような椿に言われると少し嬉しいもんである。それ以上に


「恩着せがましの間違いだよ。別に孤独死でも良いですけどね。」


「良くないよ。……空兄はその、好きな人とかいないの?」

横柄な子になったとか思った事を椿に謝りたい。何て優しい子に育ったのだろう。皆さん、椿は良い子に育ちました。

まあ、それはそれとして、好きな人か。もう恋愛とか無理でしょ。誰かを好きになったら事故が起きそうで怖い。もう良いんだよ、そう言うのは。友愛程度で十分だ。


「男子中学生みたいな事聞かないでよ。いないよ。」


「……そうだね。空兄、肩を揉むのはやめて良いよ。私お風呂入って来るから。髪を乾かす準備をして待っておきなさい。」


やっぱり横柄だった。そして姉妹だった。

「はぁ、仰せのままに椿姫」

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