第23話 子供じゃない

「空くん。ブラックコーヒーが飲みたいです。」

朝ご飯の時間自称幼馴染がそんな事を言って来た。まあたまには良いか。


「別に良いですけど。飲めるんですか?」

僕の知っている幼馴染は苦い物とか飲めなかった。砂糖をたくさん入れたコーヒーを飲み、コーヒー飲めるって言っていた。まあ彼女が幼馴染の生まれ変わりであろうが無かろうが、絶対に飲めないと思う。


「もちろんです。私を侮らないで下さいよ。」


「まあ良いけど。」

飲めなかったら、僕が飲めば良いだけどの話だしな。


「それで妹さんは?」

コーヒーを淹れる準備を始めた僕に自称幼馴染は、話し始めた。


「椿は多分寝てますよ。」


「大学生って良いですね。」

それには賛成する。


「今日は学校ないって言ってましたよ。今朝。」


「今朝?」

自称幼馴染は目を丸くしていた。


「僕が起きて来るまでゲームしてましたよ。椿。」

髪の毛を乾かした後で、ゲーム機の話をしたらゲームを初めていた。腕前は自称幼馴染と同じぐらいだった。まあ楽しそうだったから関係ないのか。


「空くん怒らないんですか?」


「いや、20歳だし。学校休みなら良いでしょ。」

大学生に夜遅くまでゲームするなって言って嫌われたくない。実質妹に『ウザイ』って言われたくない。


「空くんのエコ贔屓。私には怒るのに」


「だって、君高校あるじゃん。高校には有咲さんいるでしょ。」

有咲さんは、自称幼馴染だけじゃなくて僕にも怒る。


「でも怒るべきです。妹みたいな相手にウザく思われたくなくても怒るべきですよ。空くん。」


「じゃあ、仕方ないから後で怒っておくよ」

何か見透かされている気がして凄く嫌だった。


「それで良いんだよ。空くん。」


「それじゃあ、君も朝起こしに行かなくて良いですね。」


「……空くん今日は起きたよ。」

彼女はドヤ顔だったが、起こしに行く日の方が多かった。


「でも結構、起こしてますよね。」


「それは……空くんが私を起こしたいかなって思って」

彼女は遠くを見ていた。


「まあ良いんだよ。君は高校生でまだ子供だからね。別に起こすぐらいは、謙虚に感謝してください。」

完成したコーヒーを机に置き、欠伸をした。


「空くん私子供じゃないもん。」

何か彼女は拗ねていた。


「いや15歳は子供ですよ。」


「前世を合わせたら28歳ですから。だから、恋愛対象年齢ですよ。空くんの」

何か言っていた。いや、それは無理があるでしょ。


「寝ぼけてるみたいなのでコーヒー飲んで下さい。」


彼女は、ジッとブラックコーヒーを見てそれから、深呼吸をしていた。それからゆっくりとカップを持ち、それから少し飲んだ。それから、苦そうな顔をした。


「苦っくないです。ああ、美味しいな空くん」

もう顔が苦くて堪らないって顔をしていた。無理をしているのは分かった。


「顔が苦そうですよ。」


「そんな事ないもん。子供じゃないからコーヒーぐらい飲めるんだよ、私。空くん」

そう言って更に一口飲み涙目になっていた。


「コーヒー飲める=大人って発想がもう子供ですけどね。まあ、飲めないなら置いててください。僕が残りは飲むので」


僕がそう言う彼女は立ち上がり

「……やっぱり、空くんロリコンじゃん。もう、学校に行くから」

そう言って学校に行ってしまった。


しばらくして理解した。

「ああ、間接キスって事ね。」

うるさそうなので別のカップに移して飲む事にした。洗い物が一つ増えた。

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