第20話 不審者 (星宮 楓視点)

インターホンが何故か鳴った。

空くんは鍵を持っているはずなのに?


「アイス、アイス。」

まあ気まぐれかな?真面目に勉強してたし、これでアイスはゲット出来る。空くん、勉強して無かったらアイスくれなさそうだしね。



案の定鍵を持っていたのか。玄関のドアが開いた。

「「空くん(兄)」」


見知らぬ女性が玄関の鍵を開けて家に入ろうとしていた。


「「不審者」」

声が重なった。空くんの知り合い?……恋人?


知り合いの可能性があっても恋人は無いと思う。そんな空気無かったし、めいちゃん先生曰く『空さんに恋人?いた事はあるけど1週間以上続いた事ないと思うけど知ってる限り』って言ってた。


じゃあ、知り合い?

空くんの知り合いはお店の常連さん。でも空くんのお店の常連さんにしては見た目が若すぎる気もする。


高校の同級生とか?でも空くんはわざわざ店に来るほど仲が良いのは1人だけって言ってたし。


じゃあ誰?


しばらくの睨み合いの後で

「「ストーカー?」」

また声が揃った。てか、私今不法侵入してるストーカー扱いされた。


「「誰ですか?」」

また声が揃った。ああ、何でこんなにああ、もう何なの。


「「……」」


「「その」」

おかしい。


「ここ私の家なんですけど。誰ですか?」

やっと声が被らなかった。その謎の人物はそう訳の分からない主張をした。


「何を言ってるんです?ここは、空くんの家ですよ。」

言ってやった。ストーカーか何か知らないけど不審者から家を守る為にガツンと言った。これはアイス2個貰って良いぐらいの働き。


「知ってますよ。空兄の家です。そして私、天野 椿の家です。それで、誰ですか?」


目の前の人物の名前を聞いて理解した。妹だ。

私の前世の妹だった。

待って、この状況、私が不利では?

この家の家主空くん。私、言ってしまえば他人。もう、こうなったら仕方ない。


「君の姉です。」

空くんは、生まれ変わりなんて信じないとか言ってるけど。私も何でみんなそんな信じるのか分からないけど。もうこれしか無かった。


「私には姉はいません、小さい頃に亡くなりました。そう言う冗談はやめて下さい。」

妹は凄い冷たい目でこっちを見ていた。よく見たら顔似てるな。背は妹の方が高くて、スタイルは妹の方が良かった。私もスタイル良い方だけどな…


「冗談じゃない。生まれ変わりなの。分かる?」

私は、携帯に保存した昔の写真を見せながら妹にそう言った。


「確かに顔は似てますね。写真にも私にも。で、何でここにいるんですか?」

妹はしばらく眺めてからそう言った。


「それは、私が空くんの幼馴染だからだよ。空くんの運命の相手だからね。」

そう高々と宣言した。まあとりあえず空くんに幼馴染認定して貰わないとだけどね。


「何年間幼馴染でしたか?」

妹がそんな良く分からない事を聞いて来た。


「13年だけど。」


「ふっ、はは。たった13年ですか?私は20年ですけど。姉さん。私の方が空兄の運命相手ですね」


あっ、敵だ。確信した。妹は敵である。確かに、その年月の観点から見れば負けている。


「あっ、でも20年あっても、振り向かすことが出来てないじゃない?妹さん。」

ここは一歩も引くわけには行かなかった。

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