第19話 電話1

コンビニでアイスをたんまり買った。なんか地味に恥ずかしかった。しょうがない。さっさと帰ろう。じゃないと自称幼馴染の楓さんに文句を言われる。


「もしもし、空兄」

そんな時に、天野 椿から電話がかかって来た。天野 椿、幼馴染の妹でまあ歳は離れているがある意味では彼女も幼馴染だった。まあどっちかと言うと妹だけど。


仕方ないけど立ち止まり電話に出た。

「急にどうかした?」

急に電話が来るなんて珍しかった。


「いや、空兄。別に何とも無いけど。いやウソ。その言う事があって迷ったんだけど。」


椿が相談事……相談事って言えば

最近の友人2人を思い浮かべた。

ストーカー容疑者の前田 修二だったが、マンションが同じらしい。あっちが後から引っ越して来たから完全な白らしかった。いや、そんな事では無くて、流れ的に相談事は恋愛事だろう。


「…好きな人でも出来たの?」

最近の流れではこれだと思う。


「…違う。その実家に帰ろうかなって。家からでも大学行けるし」

何か、怒っていた。ウザい事言ったのかな?これが思春期の父親の気持ちなのかも知れない。

そっか、戻って来るのか……うん?不味くね。自称幼馴染の事、なんて言うの?


「えっ、いや。えっ。一人暮ししたいって、家から出ていったじゃん。」

なんか意志が固かったのだ。幼馴染の家を喫茶店にした都合で、うちで2人暮らしをしていた。でも、大学に入学した時に一人暮らしを始めると言い出したから一人暮らしをしていた。それが急に戻って来るって言った。うん、分からない。


「帰って来て欲しくないの?空兄。一人暮らししたいって言ったのはそうだけど。それがあんまり意味なかったって言うか。マイナスだった事に気がついて。」

なんか一人暮らしの夢を打ち砕かれたらしい。

帰って来て欲しい。まあ大事な妹みたいなものだし。でも、タイミング悪いな。


「はぁ」


「まあとにかく寂しいから帰る事にしたの。分かった、空兄。」

なんかやけに高いテンションの声が聞こえた。なんか姉妹って似てるよな。


「…いつ?」

まあ、帰って来るならいろいろ考えないと行けないし、準備がまあ何日かあれば出来るしな。


「今」

電話越しから絶望が届いた。

どうしようか?なんて説明する?椿に「ロリコン」って見下されるのは嫌だな。実質妹に、見下されるのはダメージが大きい。幼馴染の生まれ変わりって妄言信じてくれるかな?無理だろ。とりあえず、急いで帰ろう。


「それで椿、今?何処にいるの?」


「もうすぐ着くよ。荷物はあんまりなかったから郵送したから。」

終わった。どうしようか?


「今ですか。」


「さっきも言ったよ。空兄。びっくりしました?やっぱりいきなりサプライズの方が良かったですかね?」

なんか凄い椿はご機嫌だし、テンション高いところから落ちた時が1番大変なんだよな。


「ははは、なんかテンション高くね。」


「そう?まあ電話切るね空兄」

電話も切られた。


「…マズイ」

とりあえず走って帰る事にした。


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