第2話 星宮 楓という名の少女1

「なぜ、僕の後に付いてくる?」

そう僕が自称幼馴染に言うと彼女は首を傾げてこちらを見た。


「それは、私が幼馴染だからですよ。幼馴染は君の今の生活に興味があります。だからついていきます。それに返事を貰ってません。」

そう言ってどや顔を決めていた。何というかこの傍若無人、天真爛漫な感じに凄まじく幼馴染と重なるが気のせいだろう、そうだ気のせいだ。


「お帰りください。というか平日にこんな所に高校生の君は何をしてるんですか?」

そう僕が言うと彼女はどや顔を決めた。


「今日は、休みました。私、今は一人暮らしなので親に何か言われる心配もないのでお休み出来るのですよ。」


そう言ったが、「さぼるなよ」と率直にそう思った。

そんなことで、走って逃げてみたが、後ろをついてくる少女を振り切ることが出来なかった。ああ、マジで歳をとったな。


それで、結局家の前に少女を連れて来てしまった。

「君の家は昔のまんまなんだね。てか、まだ実家ぐらしなの?それに私の家の場所喫茶店になってるじゃん。」

僕と幼馴染の家は隣にあった。

そんなことを幼馴染を名乗る少女は言っていた……まじで本当に生まれ変わりの可能性が出てきたが、それは一度見なかったことにしよう。ただ、少女の発言に間違いがあった。


「そこの少女よ、君は間違っていることがいくつかある。1つ、僕は実家暮らしだが僕の両親はもう既に亡くなっている。だから、1人暮らしの僕の家だ。」

そう僕が言った。僕の両親は既に亡くなった、それは、もうあっさりと。僕の悲しさは、それなりにあったけど、でもそれでもその悲しみは、事故死などではなかったから、幼馴染ほどではなくて、何とか立ち直ることが出来ていた。それから一息おいてから


「次に、君の……僕の幼馴染の家の喫茶店は僕の店だ。幼馴染の妹から借りているような状態だ。だからあそこは正確に言えば、幼馴染の妹の持ち物だ。」


そう僕が言い終えてふと彼女を見ると、少女は目を赤くしていた。何も考えていなかった。いや、だって生まれ変わりなんて……まあこれはそんな事関係なく配慮が足りないか。


「ごめん、ごめんね、空くんのこと考えなくて、ごめんなさい。空君のお母さんとお父さんはもう…。それで、その妹の家って言うのは、もしかして私の両親も。」


そう言って少女が泣いていた。その姿は、幼馴染のものと酷似していた。ああ、やめてほしい、僕が悪者みたいになってしまう。それに彼女の言葉に答えると多分彼女はさらに泣くだろう。


「それは……」

そう言葉を濁すと彼女はこちらを睨んで涙目で


「言って、空くん。言ってよ。言いなさい。」

その様子を見て、僕は答える決意をした。それから僕はゆっくり深呼吸をした。


「天野 桜の両親ももう亡くなりました。」


そう僕が言うと彼女は、しばらく黙りこみ、涙目になりながら

「そうなのね、少しそんな気はしてたんだけど。空くん、君の店で何か奢りなさい。」

そう言ってこっちを睨んだ。


「今日は定休日なんですけど……分かりました。でも、一つ聞いても良いですか?僕と僕の幼馴染の関係は?」


そう僕が言うと彼女は、涙を拭いながらニコリと笑い

「ふふふ、そんなこと聞くなんて、相思相愛で主従関係でしょ。」

そう言った。その言葉の感じは僕の知っている幼馴染そのものだった。

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