13歳で亡くなった幼なじみの生まれ変わりを名乗る15歳の少女が28歳の僕の前に現れた 

岡 あこ

本編

第1話 プロローグ

15年前、僕の幼馴染は13歳で死んだ。

彼女は同級生で初恋の相手だった。


彼女は僕の目の前で、車にはねられて、死んだ。彼女は歩道をしっかりと歩いていたが、前から走ってきた人に突き飛ばされて車道に出てしまい死んだ。


彼女は最後に僕に向かって言葉を吐いた。

それは、願いの言葉か、呪いの言葉か、いなくなってしまった彼女にとってそれは願いであっても、残された僕にとってそれは、ただの呪いでしかなかった。15年間、僕はその呪いに縛られているのだから、何というか、僕ながら愚かな純愛だと思う。もしくは逃げるための言い訳か。


「空くん……私……例え死んでも……絶対にどうにかして君に会いに来るから、だから待っててね。」


それから15年、僕は、彼女の月命日の日に墓参りと事故現場に花を供えに来ていた。彼女が蘇ることもないことも知っているし、こんなことをしていたらもう孤独死まっしぐらの人生だから、そろそろ区切りをつけないといけないことは分かっている。でも、彼女の両親は死んでしまって、彼女の家族は生きている彼女の妹だけになってしまって、それで、僕が彼女のことを忘れれば、本当に彼女が消えてしまう気がして、ああ本当に痛いな。


その日も僕は墓参りをしてから、花をお供えに事故現場に向かった。

するとそこには見知らぬ少女がいた。もちろん、少女に知り合いなどいないので全員見知らぬが、制服を着ているからおそらく近くの高校の生徒だろう。今日は平日じゃん。


その少女はもうほとんどの人が忘れ去ってしまった事故現場で下を向いていた。少しその姿が昔の幼馴染と重なったが、多分それが今日が彼女の命日だからだろう。僕も疲れてるな。


そう思って、花を供えるために近づいた時に、その少女が顔を上げた、そして彼女の顔が目に映った。


そこには、容姿が幼馴染の天野 桜にそっくりな少女がいた。僕の記憶の13歳の彼女でその時よりは大人びているが、そっくりだった。

長く美しい黒色の髪、凛とした目を筆頭に整った容姿と整ったスタイル。それはどこからどう見ても、天野 桜に見えた。


「……っ」

思わず息が漏れた。意味が分からなかった。


その少女はゆっくりとこっちを見えると、少し目を見開いた。

そして可愛らしい笑顔で懐かしい笑顔で

「久しぶり15年ぶりの再会だぞ喜べ」

そう言った。


15年……15年……それは幼馴染が死んでからの時間だ。

どういうことだ……どういうことだ。生まれ変わり……そんなことは、ありえないだろ。


「何キョトンとした顔してるの?空くん、月野 空くん、言ったじゃん。私は絶対にまた会いに来るって、だから会いに来たのに、何その態度」

その少女は明るくそう僕に言った。その言葉は覚えがあった。


「ふう…………誰ですか?」


「もう、酷いな、私の名前は、星宮 楓。前世は君の幼馴染の天野 桜。やっぱり15年たつと背も伸びるけど、うんでも、すぐに空くんって分かったよ。」


「前世?そんな、えっ?」

混乱して言葉を繰り出すのが精一杯だった。


「まあ、とりあえず、前世に言えなかったことを君にいうよ。私と結婚を前提に付き合ってください。」

その少女は少し頬を赤くしながらそう言った。


「…………多分、人違いですよ」

そうだな、とりあえず、とりあえず、そうだ生まれ変わりなんてありえないしそれに、もし生まれ変わりだったら、彼女は15歳以下そんなのいろいろダメだ。


「な訳ないでしょ。ねえ、空くん。もう」

とりあえず、僕はその場を離れることにした。それが、僕と僕の死んだ幼馴染を名乗る少女、星宮 楓との出会いだった。

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